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私の考え

『おい!突っ込むな!』

私は、優の注意を無視して蜘蛛に突っ込んだ。

『姉ちゃん危ない!』

呂都丸にも止められる。でも私は、走り続けた。

鳥さんの姿が見える。1人で戦ってる。

『おい!天音羽!危な…』

「強いな。…鳥さん。」

『…は?』

『姉ちゃん、危ないよ。…』

『天音羽、あいつに任せて、一度休め。…怪我してるだろ。』

優に言われて初めて気付いた。私は、足に怪我をしていた。細長く開いた傷から血が流れている。そういえば、さっき枝に引っ掛けたんだった。

『…万全な状態にしてから…』

「それじゃあ、間に合わないよ!」

『でも、あいつもいるし…』

確かに、鳥さんはまだ普通に動いている。でもそれは、私達から見た場合の普通で、きっと鳥さんからしてみれば、普通はもっと上で、今の状態は相当不調だ。

「…強いな。」

私は、もう一度呟いた。鳥さんの戦いを見る。大量の矢が空を舞う。鳥さんの影が蜘蛛の合間を縫うように切り抜け、その軌跡上の蜘蛛はドロリと消える。…これで、不調なんだ。

何度も観た姿…私がそこに辿り着くのは、何十年後だろうか。

「…鳥さんは強いけど、でも、1人では戦わせられない!…このままじゃ、鳥さんが倒れちゃうよ!」

『天音羽…』

走りながら、鳥さんを観察する。

「…ねぇ優。気のせいかもしれないけど…」

『どうした?』

「鳥さん、腕から霧が出ている気がする。」

『…本当だ!』

呂都丸が声をあげる。

『…天音羽。もしかしたら…』

優が、イヤホンから囁いた。


「…!そういうことか!」

『もし、天音羽の言う通りなら、さらに勝てる確率は低くなる…!一度引いて…』

「大丈夫!私、ちゃんと考えたから!」

鳥さんを、助ける。私だけじゃ、蜘蛛には勝てない。でも、一度蜘蛛の集団の中から鳥さんを出すことならできる。

「昔、優が教えてくれたでしょ!」

『…何を?』

優はきっと覚えてない。でも、私は覚えてる。昔、優はいろんな知識を教えてくれた。その中に、

「優が、蜘蛛の弱点も教えてくれた!」

小学生のころ、虫が怖かった私に、言ってくれた。

「虫にも弱点がある…蜘蛛の弱点は関節…!」

『…!そんなピンポイントを…!』

私は、目をキラリと光らせ、足元に広がる蜘蛛に鍵爪を向ける。

「…呂都丸、視力も上がってるよね?」

『…!うん!』

「…なら、イケる。」

私は、殻に覆われた蜘蛛の体の隙間に鍵爪を突っ込んだ。蜘蛛の関節がとれる。落ちた蜘蛛の足を、私は震える手で拾い上げた。

「…呂都丸、足に最大の力、入れる。」

『…わかった!』

私は、ありったけの力を足に込め、ドンッと地を蹴った。数メートル先にいる鳥さんのところまで、一気に跳ぶ。

目の前に、驚いたような金色の目が映る。

腕を伸ばし、鳥さんの腕を掴んだ。黒い霧に覆われた鳥さんに、初めて身体があると感じた。意外にガッチリとした筋肉があり、少し驚いた。

暮れ時の太陽が、眩しく私達を照らす。

一瞬、時が止まったように感じた。

私は、腕を両手で抱え込み、空を蹴る。

その勢いで反対側のビルまで跳び、ヒラリと屋上に着地した。

「鳥さん、大丈夫?」

「…おい。お前は…邪魔だと、言ったはずだ…」

口調は相変わらず鋭いが、いつものような怖さはない。冷たい鉄製の地面に座り込み、キレギレと声を出している。

「…おい!お前は…」

鳥さんが苛立ったように声を荒らげた。

「鳥さん、毒でキツいでしょ。」

「…お前に…は、関係…ない。」

「鳥さん、私わかっちゃった。」

私は、しゃがみ込み、鳥さんに話しかける。

…私は、テストはできないけど、その代わりに、観察眼は誰よりも鋭い。それに、一人じゃない。

「…あなたの弱点は、私たちが見つけたよ。」

私は、鳥さんを見つめてそう言った。

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