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方尖石学園の劣等生(序) I

用語の不備を一部修正しました。

その一声で通行人たちの視線がどんどん集まり、結鶴を始め、とうとう全員が居た堪らなさを覚えてきた。

「CADを起動している冒険者だ!ここで戦うのか?」

「うそ!よく見たら方尖石学園の生徒じゃない!?かっこういい」

「嘉上さん!応援してます!サインください」

と、このように、鞄からノートだの差し出してサインをねだる者まで現れ、スマホで撮影する者も後を絶たない。

手がドラゴンの縫いぐるみで塞ぎ込んでいる薫はサインを免れたが、橙子は仕方なく対応に回った。

「結鶴、あの二人って……」

リベラは言い方を悩みながら試しに、と口にしたものの、最後はで言う勇気はなかった。

「ランカー。薫は46位で、橙子は14位。大変だよね、有名人って」

結鶴の回答に先越された。

淡々した結鶴の態度を見て、リベラは何かいいたそうだが、結局なにが言いたいかがわからず、仕方なく黙った。

「ほら、学園上位者のチャットグループもあるよ。あ、またグループ名が変わった。今朝はこうじゃなかったよなぁ」

と、結鶴はスマホを出し、チャットルームをリベラに見せた。

「へ、へえ……知らなかった……」

リベラは更に言葉を失うことになる。

ランカー。

それは、地域で分かれた「ブロック」において、冒険者同士が競い合うランキング、通称「Logs」にて、一定の順位を取得した冒険者に与えられる称号である。

これは大災害の前の、旧世代の遺産のシステムであり、冒険者たちにとって、もっともゲームらしいシステムでもある。

ランキングに参加するかどうか、戦闘データをランキングに提出するかどうかは自己申告だから、リベラのような競争を嫌うため、不参加している冒険者もたくさんいる。

それでも、ランキングに名を連ねる者は輝かしい存在である。

だから、徐々に二人といっしょにいる結鶴とリベラにまで視線が集まってきた。

「あのう!プロの冒険者の方ですか?武装しているようですが、任務ですか!」

「すみません!同じエンブレムを持っていますが、竜崎さんのご学友ですか!スタイルは?ランクは?」

と、このように二人にも声が飛んでくる。

そろそろ橙子と薫をこの場から救出しないと、もとい、そろそろこの場を抜け出さないと、任務に支障が出てしまう。頃合いを図った結鶴はリーダー面を持ち出した。

「はいはいここまで。私は篠原結鶴。二人の友達だ」

大人の笑みで薫と橙子の間に立った結鶴は野次馬たちを牽制した。

「スタイルはサポートヒーラー。だからランクはないよ」

そう聞いた人混みは一瞬、静まった。

そして、

「それって落ちこぼれじゃん」

「能無しかよ」

「なんでランカーの方々と一緒にいるんだよ」

と、批判の音が殺到した。

「だからこうして、補習に付き合ってもらってるの」

薫が向けてくれる心配の眼差しを無視して、今にも飛び出しそうとする橙子の腕を引っ張って注意しつつ、結鶴は自己紹介を続けた。

すると指摘の声が更に沸騰した。

「勉強しか脳のない役立たずが方尖石学園の名を飾らないでよね」

「マスコットはマスコットらしく可愛く振る舞えよブス」

結鶴にとっては聞き慣れた罵声だから別に気にしていないが、仲間のメンタルのためにも早くこの場を抜け出さなければならないとも、彼女は状況を理解している。

「さて、みんな、そろそろ時間だ。」

結鶴は橙子の腕を離し、リベラの方にも目を配った。

「最後のファンサービスと行こう」

結鶴は仲間全員が視野に入るように一歩下がり、結鶴の意図を理解した橙子と薫も少し距離を取った。

「臨時パーティでも流儀ってものがある。アヴァロンの清き風、戦闘準備」

「おうよ」

「いこういこう」

「準備OKよ」

ほぼ同時に、仲間たちから元気な返事が上がった。

日本出身の冒険者、または日本で活動する冒険者は基本的に「Logs」で「日本ブロック」に所属する。所属ブロックは理論上では変更可能だが、必要性のなさから実際に試みる者はめったにいない。

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