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権利とそれを行使する為の責任

あるすじの極度の対人恐怖症を修正予定

△ 権利と責任 ▽


「適当に煽ってみたが、お主も儂と同じくらいの時期に生まれたのかのう?ちなみに、儂は、脳波感知のVRMMORPGをやっておったがな。お主も同郷のものであろう?ただし、転移自体はお主より、ずっと前に飛ばされていたようじゃが」


「なっ!」


「驚く事は無かろう。異世界への転移では、転移先がどの時代なのかまでは分からぬ。お主と同時に飛ばされたものが居ても、お主と同じ時代に飛ばされるか分からぬ。再開したとしても、向こうは二十年くらい経過している可能性は十分あるのじゃ」


「君何歳だよ。マジで」


女子(おなご)に年齢を聞くとは失礼なやつじゃ」


頬を可愛く膨らまして、プンスカしている。


「若返りの術でも知っているのか?はたまた、すごい化粧術の神か」


「失敬な!儂の権能の一つは、【リインカーネーション】といって、同一個体に転生する事じゃ。現在はうら若き女子高生と同じ、十七歳の乙女じゃぞ」


「現在は……。本当は超ババアってことじゃねーか」


「キー」


怒り方が昭和だよ。


「まあいい。それでは協定は結ばれた。俺は君らをかえりみることなく、東方の防衛に当たれるわけだ。上手くいけば、君らも東を気にせづ他を防衛できる」


不満顔の人気女神は、最後に自分の胸の谷間から、小瓶にはいった種を取り出す。


「パルソニは、軍神であり、己のスキル値向上の為、多くの血を流させようとしておる。これが力となるか分からぬが使ってくれ。それと、『敵をしり、己を知れば百戦あやうからず』という言葉があるように、己を知る事も大事じゃぞ。自分の能力を【占術士】にでも確認すれば、数値化できたりもするから試してみるのじゃな。それでは、死ぬなよ」


瓶の説明をうけた後、彼女は地下室に引っ込んでしまった。

【転移門】を駆使しながら、超速で帰路につく。


社は、深夜というのに篝火がたかれており、たまにパチパチと音がなる。

表には多くのテントや、簡易的な家が作られ、避難民は寝ているのだろう。


社の中に入ると、そこには俺の布団で寝ているルカがいた。

俺の匂いが染みついている布団に寝るなんて。

特に枕に自分の顔を埋めていた。

ま、まさかクンカクンカをしたのかな?ちょっと匂いフェチっぽいところあるからな。

彼女は、動物に例えると犬の様なところがある……。

ちなみに、妹のルナは、どちらかというと猫だ。

俺が入ってきたことにより、気配で起きてしまったのだろう。

少し焦っている。


「お、お帰りなさいませ。お風呂を焚いてまいります」


寝巻のまま、風呂を焚きにいった。

暫くすると湯気が立った風呂に入る事ができた。


風呂から上がり、用意された着物に着替える。

ルカはそのままそこに控えていた。


「今日は、ルナも頑張り疲れて寝ています。あちらに戻るのは憚られます」


少し顔を赤くしながら、今夜は親かえって来ません的な言い方やめてよ。


「では、布団の方で寝よ。我は、ここでよい」


夏の様な気候になり、布団を掛けなくても十分眠れる。


「お疲れでしょうに、どうか今宵だけは、(とこ)へお入りください。私がそちらで構いませんので……」


縋りつくように懇願される。

断る理由もなく、ルカを地べたに寝かせるわけにもいかず、一緒に床にはいってしまう。

俺は神だ、神だ。

何度も自制心を奮い立たせる。

腹のたるんだおっさんのどこがいいのか?

そうか、これが宗教にどはまりしている女の姿か……。

まあ、妹の命の恩人でもあるか……。


完全な引きこもりの時は感じなかった、誰かに頼られるプレッシャーと、それに答えたときの高揚感を覚えてしまった。人は、誰かの役に立った時、誰かから役割を与えられたときに、喜びを感じるモノなのだろう。

 

ネトゲの世界でも同じだった。俺は廃人ほどはまるわけでもなく、金が無かったので適度な課金しかしていなかった。もともとゲームセンスもない事から、レイドボスもあまり倒せる訳でもなかった。でもそんな奴はいっぱいいて、そいつらとビギナーズギルドを開いて、初心者や中級者を支援していた。当然メンバーの入れ替わりも激しくて、でも本当に楽しかった。誰かの役に立てたからだ。リアルでは味わえなかったから、尚更。


しかし、今はリアルであり、人を導く力も与えられた。責任感は、ゲームの比では無い。人の命が掛かってくる場面もある。でも、その力を行使できるものは、その権利と引き換えに義務を負わなければならない。


隣で、寄り添い気持ちよさそうな顔で寝ているルカをみて、彼女の期待に応える事が出来ればと思うのである。たぶん、彼女は今のままでも俺をうけいれてくれる。敵がせめて来たら、妹と一緒に逃げようと提案すれば、それに嫌な顔一つせず従ってくれるだろう。

でも、俺はそれでは嫌なんだ。彼女の前では、少しでいいからカッコいいところを見せたい。たぶん、今一番俺を信頼してくれている人なのだから。


俺の腕にしがみつき、鼻をスンスンしながら、心地よさそうに寝言をいう。


「良いのですよ。あなたは、あなたの早さで……」

妹を諭す夢を見ているのだろう。

その言葉を、我がものとしてから、あきれた声で呟く。


「のんきなものだよ」


彼女がまた幸せそうに、スンと鼻を鳴らす。

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