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Crafter  作者: 絶英
3/14

始まった物語と条件

 家に籠ってからShiroさんは出てこない。外から声をかけると少し時間が欲しいという一言だけだ。ということで俺だけでゲームクリアとハッキング犯発見に動くことにした。

 プレイヤーがゲーム内でゲーム外と連絡する方法はない。が、プレイヤー同士が連絡する方法はあるのだ。掲示板である。

 掲示板には攻略情報などが書き綴られている。それを見て有力な情報を探した。ギルドについての事も掲示板に書き込んだ。

 もしかしたら、ギルドという団体を残しておくことで攻略への糸口が見つかるかもしれない、そう思ったのだ。

 また近郊を開拓し、新規プレイヤーの誘致活動をした。単独で動くことは危険だが、夜でなければモンスターは出てこない。

「とりあえずこれでいいか」

 近郊はひとまず開拓できた。整地をして綺麗にして歩道を作り、そこに電灯の変わりに柵を使ったテクニックで電灯みたいなのを作った。

 また、食料確保のため農地も作り大量の食糧が生産できるよう整備した。

「次は洞窟探検か……」

 これだけは単独でしたくなかったのだ。洞窟探検は1人と、2人以上でやるのとは生存率が目に見えて違うのだ。白カニさんを殺した極悪非道の仕掛けが幾つも施されているのだから。

 だが、Shiroさんが動かない以上は俺がやるしかない。そう思い、準備を始める。とにかく現在揃えられる最強の装備を揃えた。といっても鉄製防具であるがないよりは断然ましだ。武器は少し強化してルビー製にした。ルビー製の装備はダイヤモンドに並ぶ性能らしい。だが、数が少ないので武器しか作れなかったのだ。

 アイテムも村人の交易で手に入れたHP少量回復ポーションを1個予備に持ってきている。準備は万端だ。

「行くか」

 俺は前行った洞窟に向かった。

 洞窟は殆どの場所に松明がついておりすんなりと進んだ。ついていないところもありモンスターが湧いていたがルビー製の剣で軽々と粉砕した。流石ルビーだ。

 ただ、1つ攻略掲示板にも載っていないところを見つけてしまったのだ。

「なんだここ……?」

 俺の目の前には渓谷が広がっていた。

 底は深すぎて視認できない。ただ、マグマが所々に点在している。少し遠くには滝のようにマグマが溢れているところがある。

「渓谷……?」

 一応マグマ対策としてバケツに水を汲んだものをアイテム蘭に幾つもいれてある。マグマには水が有効で、水は広範囲に広がっていくためそれだけ表面のマグマを固めることができるのだ。

「とりあえず下に降りよう」

 真下彫りしながら側面に梯子を掛けながら下りていく。幸いにも最下層に下りれたようだ。

「す、すごい……」

 そこは鉱石の宝庫だった。地表からは鉱石が幾つも出ており取るのに時間がかなりかかるだろう。今まで取れなかった希少鉱石もちらほら見えている。

 とりあえず、携帯用ワークBOXで石を石ブロックに加工する。そうることで重力に逆らい設置することができるようになる。

「よし探検するか」

 

 探検を初めて3時間。何とかマグマに水を掛け終わり地表のマグマをなくした。それにより一気に暗くなった渓谷に松明を付けて回り最下層あたりは明るくすることができた。そして、鉱石を掘った。とにかく掘った。結果、鉱石がアイテム覧を埋め尽くしたのだった。

 鉄鉱石209個、石炭270個、金鉱石が23個、レッドストーン鉱石が111個、ラピスラズリ鉱石が48個、ダイヤ3個、ルビー・サファイア・グリーンサファイア鉱石が合計55個とまだまだ鉱石が採れている。もう紹介するのも面倒になってしまうぐらいだ。

 これだけあれば当分は暮らしていけるだろう。特に石炭は物を焼くために必要で暮らしに欠かせない物だ。石炭不足に困ることもないだろう。また、天国鉱石、地獄鉱石が大量に採れている。どっちの異世界にも行けるだけの鉱石が集まっている。が、単騎で突っ込むのは無謀すぎる。当面はそっちに行かなくてもいいだろう。頭の中でまとめた。

 家に帰る頃には既に昼過ぎになっていた。

 国は少し賑わっているのに、俺たちの心はどんよりと落ち込んでいた。何でこんなゲームに参加することになったのだろうか。今でもよく分からない。

 俺はShiroさんの家の前にいた。

「お~い。Shiroさん、ポストに色々入れておくから使っておいてくださいね」

 聞こえるだろうか。少し不安になりながらも俺は叫んだ。

 聞こえたようで、ドアが少し開いた。ドアの隙間から小柄な手が現れ手招きしていた。俺はそちらの方へ行った。

「入ってね」

 微かな弱弱しい声で呟く。俺は少し躊躇ったが入ることにした。

「話があるから聞いてね」

 玄関に立ったままのShiroさんはさっきのような口調で言った。

「ごめんね、今まで1人で戦わせて。怖かったのよね。皆みたいに死ぬのが。でも決心したから聞いてね

「は、はい」

 Shiroさんはパッと顔をあげ言った。

「私も戦う。ユウ君と一緒に戦うね」

「Shiroさん……。ありがとうございます! 頑張りましょう」

「後、敬語じゃなくて良いよ。シロって呼んでね」

 俺は嬉しかった。Shiroさんが俺に心を開いてくれた気がした。たぶんそれは間違っていない。その歓喜のあまりに少しだけ涙ぐんでいたのは秘密だ。

「そういえば、Shiroさん。あっ、シロって女性?」

「そうだね。こっちからも質問。前ユウ君高校生って言ってたけどあれって本当?」

 そんなことをぽろっ言った気がする。詳しくは覚えていないが……。

「本当かな。Shiroさんは?」

「本当で良かった」

 一息おいてShiroはこう言った。


「私も高校生かな」


 俺は嬉しさを隠しきれなかった。少しにやけていたかも知れない。

 その後、Shiroの家で少しお茶をして――もちろん近況報告して俺も家に帰った。

 

 次の日から、Shiroと一緒に行動するようになった。整地中に発見した炭鉱に行ったりした。近郊の少し高い山に見張り台を立てたりした。各地につながる歩道を整えてプレイヤーが来るのを待った。

 そんなこんなでデスゲームが始まってかれこれ1か月が経った。

 俺たちが平和に過ごしていた間にもゲームは進んでいた。死者は5000人を超えた。

 掲示板でも天国世界・地獄世界に行ったというプレイヤーが少しずつ現れ始めた。プレイヤーが天国世界・地獄世界に行きその感想を掲示板に残した。


≪無惨すぎる。鉄装備で行ったらモンスター1体相手でもきつい。幸い俺は半分ルビー装備で行ったから助かったけど、鉄装備の仲間が6人死んだ≫


 これには俺たちも絶句した。まさか、こんなに強いとは思っていなかったのだ。

「ゆっくり装備を集めよう」

 俺は掲示板を閉じそう言った。

「そうだね。また洞窟探検開始だね」

 そんな会話をしているときその告知は不意に訪れた。


運営より。ゲームクリア条件が判明しました。クリア条件は以下の事の達成です。

第一条件

・天国世界のBOSSの撃破

・地獄世界のBOSSの撃破

・黄昏世界のBOSSの撃破

・極寒世界のBOSSの撃破

・機械世界のBOSSの撃破

・暗黒世界のBOSSの撃破

これらを達成後。

・終焉世界のBOSSの撃破


第二条件

・ワールドの開拓。

これによりゲームクリアすることが判明いたしましたので通知いたします。




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