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最終作戦(改)その2

 元帥の魂の憑依したR-39SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル、核ミサイル)を奪取する最終作戦(改)。

 しかし意外なことが起きる。発令所に続くすべてのハッチが閉鎖される。

「え、どういうことなのっ」

「大和姉、おそらく私たちの作戦が蘇生したタイフーンにバレたんすよっ。私たちを帰さないつもりっすよ」

「コンソールから開けられないかしら?」

「これは電子戦機のEC-1なら朝飯前ですが、私には無理っす」

「こうなったら力ずくで行くしかないわ」

「まあ仕方ないっすよね、えーいままよっ」

 そして大和とF-4EJはハッチにとりつき、開閉ハンドルを力ずくで回す。

 F-4EJが「回れーっ」と大和が「このおお」と叫ぶ。タイフーンのハッチを閉めようとする力と大和たちの開けようとする力で、ハッチと開閉ハンドルが軋み音を上げる。

 大和は「くそっ」とハッチを蹴るがビクともしない。

 そこにハッチの向こう側から大和へと叫ぶ声が聞こえてくる。

「大和姉、大丈夫ですか?」

「護衛艦『たちかぜ』ね、お願い一緒にハッチを開けて」

 「たちかぜ」は「イエスマム(了解)」と言って三人がかりでハッチの開閉ハンドルを回す。さすがに3人がかりではタイフーン級のハッチも持ちこたえられず開いた。

「大和姉、R-39の発射口は解放されています。早くR-39の回収に」

 大和が「わかったわ」と告げると3人は急いでハッチから艦外へ出る。

 外に出ると相変わらず、警備員と兵器の魂たちが乱闘を繰り広げていた。もちろん、警備員は機械の肉体である兵器の魂に力でも反射神経でも負ける。

 しかしいくら警備員を気絶させても、次々と警備員がやってくる。兵器の魂たちはそれに抗しつつ解放された発射口を死守している。

 そこにCH-53E大型輸送ヘリ3機が爆音を響かせてやってきた。これは人型の肉体を持った兵器の魂ではなく、実機だ。3機のヘリの底部からは3本のワイヤーか伸びている。

「さっ、さっさと済ませるわよっ、ワイヤーのフックをR-39に接続して回収するわよっ」

 大和がそう言うと兵器の魂たちも「イエスマム」と答える。

 兵器の魂たちがすばやくR-39と三本のワイヤーを接続する。周囲ではまだほかの兵器の魂たちが警備員と交戦している。

「いいわよ、上昇して」

 大和がそう令すると、CH-53Eは上昇し始める、それにともないワイヤーで接続されたR-39も出てくる。タイフーン級の発射機から全長16メートル、太さ2,4メートルのR-39の巨体が姿をあらわす。

「なんかめちゃデカいっすね。元帥君の可愛い顔と性格には似合わないっす」

「まあそうね」

 その間も兵器の魂たちは警備員と交戦しているが、警備員はCH-53Eへも攻撃を開始する。主に小銃でだが、携帯式地対空ミサイルを構えている者もいる。兵器の魂たちはそれを優先して排除する。

 大和が「いいわよっ、CH-53E離脱してっ」と令するとヘリは造船所を離脱する。といってもCH-53Eは重量30トン以上のうえに、燃料がないとはいえ大重量のR-39を抱えている。なかなか速度がでない。しかも3機でR-39を吊り下げているから、各機間の距離は短く、操縦にも繊細さが求められる。

 それを援護する大和たち。兵器の魂は機械の体だけあって戦闘における反射神経は秀逸だ。警備員が携帯式地対空ミサイルを構えると即、麻酔銃を発射する。

 この頃になるとさすがに警備員も底をついてきたらしいく、新手が来なくなってきた。大和は頃合いを見計る。

 そして満を持して「さ、私たちもずらかるわよっ」と令する。

 大和がそう言うと兵器の魂たちはタイフーン級の甲板から海に降り、泳いで離脱する。

 しかし最後の敵が待ち受けていた。

 タイフーン級には携帯式地対空ミサイル発射機が装備されている。それが離脱最終局面のCH-53Eに向けて発射される。

「CH-53E、タイフーン級が携帯式地対空ミサイルで攻撃してきたわっ」

 大和はそう警告を促し、CH-53Eはミサイルを撹乱するフレアを発射する。しかしタイフーンの方が一枚上手だった。複数発の携帯地対空ミサイルを1機のCH-53Eに集中して狙った。フレアで回避しきれなかった1機が被弾する。

 火を噴くエンジン、操縦不能になり回転する機体。そして最悪なことに他の2機のCH-53Eを巻き込んで火災が発生、3機で墜落していった。

 当然吊り下げていたR-39も落下していく。ただ、幸いにもR-39は海面に対して垂直に落下したので大して破損していない。

「大和姉、どうするんすかっ、もうR-39を回収するのは無理っすよ。ミッションアボート(任務失敗)っす」

「わかっているわF-4EJ。次の手を打つわ。原潜(原子力潜水艦)艦隊、出番よっ」

 大和がそう言うと十体ほどの兵器の魂が外海から泳いでやってくる。しかしそのいでたちが異様だ。全身真っ黒。世界各国の原潜の魂たちだ。

「まさか原潜でR-39を曳航するんすかっ?」

「ご名答。彼女たちは原子力で動く、すなわち水中でも長時間動けるから今回の任務には持って来いなの」

「え、人間とほぼ同寸法の肉体に原子炉なんて……」

「いえ、ただの原子力電池よ。私たちは普通のバッテリーだから、長時間動けない。そこで原潜というわけ」

 すると原潜の魂たちは、沈みゆくR-39にとりつき文字通り泳いでR-39を曳航する。

「大和姉、これって……完全離脱までめちゃ時間が掛かるんじゃないっすか?」

「でもこれが確実な方法よ」

「ではCH-53Eはあまり意味がなかったと……」

「いえ、R-39をタイフーン級の発射機から搬出するにはヘリが必要だし、ある程度距離が稼げただけで目論見通りよ」

「大和姉って相変わらず合理主義っすよねえ」

「誉め言葉として受け取っておくわ、では総員帰還」

 面々は「ラジャー」と返答し泳いで離脱する。

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