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戦艦大和の思い

 最終作戦会議(改)は続く。

「確かに理論上は大和姉の言う通りっすけどねえ……」

「アメリカ州からはこの作戦の承認を連絡してきたわ。彼らにもお手上げらしいの」

「ただ、この作戦、タイフーンにバレたら確実に阻止されるっすよね」

「おそらく完全にタイフーンにはバレるわね。自身の体がどう改造されているかなんてバレバレなんだから、民生化されているなんてすぐに気づく」

「んじゃどうするんすか? この作戦は意味がないんじゃ……」

「簡単よ。UAKがこちらの意図通りに作業しても、アリヨール社に止める術はないわ。ロシア政府とUAK社がこちらの味方をしてくれれば、タイフーンに実力行使で止める方法はない」

「まあそれしかないっすかあ……んで元帥君、というよりR-39はどうやって回収するんすか?」

「そこが難問なの。再就役式典が終わればタイフーン級はすぐに出港してしまう。もちろん民生品としてだけど。そうなると手が出せない。だからタイフーン級の民生化がすんで再就役が宣言された後、タイフーン級が出港する前にR-39を確保しないといけないわ」

「でもさすがにロシア政府もUAKもそこまで協力はしてくれない。では再就役式典に殴り込むんすか?」

「そう言うこと、造船所を急襲してR-39を回収するしかないわ」

「……しかし今頃、元帥君はどうしているんすかねえ?」

「おそらくこの異世界のタイフーンの魂と同化しているはず。ただ意識はあるはずよ、タイフーンと同じ、景色を見、音を聞き、感触を感じている。しかし何一つ外へ発することはできない」

「私たち兵器はいつも人間に操縦されているから、そんなのに慣れていますっけど、人間の元帥君には厳しいっすよね……」

「……彼が来てもう一年近くが経つのよねえ」

「最初は可愛い顔をした男の子だと思って興味本位で見ていたけど、結構数奇な運命をもった子だったんすよね」

「まあ、ある意味かわいそうな子でもあるわ。病気で苦しんで、タイフーンに体を改造されて、殺されて、この異世界で魂まで奪われたんだから」

「そうっすよねえ」

「しかし元帥君も悲しいことばかりではなかったかもしれないわ。童貞だったけど、この異世界ではハーレム状態だったわけだし、みんなと楽しく色々とやれたし、結構兵器の魂のエッチな格好も見れたし」

「しかし、それだけじゃ割に合わないっしょ」

「まあそうよね」

「こういう時に御神慮は何もしてくれないわけっすかあ……」

「そもそも御神慮は私たちが勝手に定義しているだけで、実際に存在するかは分からないわ。そもそも転生できる出来ないを分けていたのは、魂の軽重だったわけだし」

「神様はいなかったわけかあ」

「ただ、そうとも言い切れないわ。もしこの最後の希望作戦が完遂できれば、神様が存在するのかもしれないわ」

「でも大和姉も、ある程度の確度で作戦が成功することを推測しているんしょ。なら神様なんて……」

「たしかに今回の作戦はうまくいく確率が高いと踏んでいるわ。リアル世界の米露両政府を動かせれば、タイフーンもタイフーン級も逃げ切れないはず」

「まあ、そうっすね」

「でもいままでそうやって作戦を立て続けてきたけど、全部裏目に出てタイフーンにしてやられたわ。それに、もしこの作戦でリアル世界の米露両政府が動いてくれなかったら、作戦は完全に頓挫してしまうわ」

「もし私たちの作戦が失敗して、蘇生したタイフーンの魂が憑依したタイフーン級が出港してしまったら、無人のタイフーン級には食料も必要ない。だから原子炉の寿命が尽きるまで補給が必要ないから、今後数十年はほぼお手上げになってしまうという事っすね」

「それか、各国政府がタイフーンの恫喝を拒否して、タイフーン級が核ミサイルを全て撃ち尽くすまで。そうなったら最悪数千万の人間が死ぬことになるわ」

「それは最悪っすね。確かに各国政府も折れるとは言い切れませんっすしね」

「そうなの。だから神様もバカにはできないの」

「確かに言われてみるとそうっすね。しかしもし神様がいなかったら、元帥君は悲惨っすよね。永遠にタイフーンの魂の中から出てこれないんすから」

「確かにそうだけど、私たちには手がないこともないわ」

「と言いうとなんすか?」

「私たち兵器の魂は死ぬことも寿命もないから、永遠に抵抗活動をし続けることができる。ただ、ロシア製最新鋭兵器が来たらかなり動きは制限される」

「確かにそうすねえ。いまのロシア県にすら負けるのに、ロシア製最新鋭兵器に来られたら私たちは手も足も出ないっす」

「しかしそれも時間が解決してくれる。時代が進めば、日本街にも新しい兵器の魂が転生してくるわ。そうすれば、日本街の戦力も向上する。偶然の要素が強いけど、事故などでも兵器が転生してくるかもしれない」

「そう考えると希望がないわけではないと?」

「それに時間があれば、私にも取れる手がいくらか出てくる。他に作戦を思いつくかもしれないわね」

「長期戦すかあ……」

「でも、これはあくまで私たちの都合なの。もしそうなると、元帥君は極めて長い時間タイフーンに捕らわれ続ける。彼がタイフーンの魂の中で抑圧されている可能性も考えると、あまり悠長なこともしていられないわ」

「となると今回の作戦でケリをつけたいってのが大和姉の考えっすね」

「そう、私は太平洋戦争で多くの日本人を守れなかった。だから今回こそは日本人である元帥君を守り抜いてみたいの、それに元帥君は少なからず私に思いを寄せてくれていたそうだから」

「えっ、そうなんすか。それは初耳っすね」

「まあ本人がポロッと吐露しただけだから何とも言えないけど。ただ他のみんなに対するのとは違う特別な感情を持ってくれていたのは確か見たいね、戦艦大和として光栄だわ」

「そうなんすかあ」

「んじゃこれで最終作戦会議は終了ね。私は作戦実行に向けて準備をします」

「ラジャー」

 こうして最終作戦会議(改)は終わった。

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