第30話 モンスタートラップ
「凄い……」
あれからダンジョンを歩き出して数分ほどで初めての魔物に出会う。
敵は巨大な鼠と言われる鼠の魔物だった。
(いくら何でもデカすぎないかっ!?)
元世界でもカピバラと言う名の愛らしい鼠の仲間の動物がいる。
しかし目の前の魔物はカピバラの2倍ほどもあって襲ってくるのだ。
(こ、怖い……)
小型犬でも歯を剥き出しにして唸れば怖いのにデカい鼠が威嚇しながら大きな爪と歯で襲って来るのはかなりの恐怖を感じる。
「これが冒険者なんだ」
サラとティナは声をかけながら魔物の攻撃を躱して確実にダメージを与えていく。
2人の戦闘スタイルはどちらも前衛だけれどサラの方が敵を引き付けて背後からティナが仕留めるって感じか。
武器はどちらも片手剣を使っているけれど若干ティナの方がセンスが良い。
『ギギイィィィーーッ……』
2人の攻撃によりジャイアントラットは断末魔をあげてその場に倒れた。
「サラもティナも凄かったよ!」
「そ、そうか?」
「ふふっ、ミオちゃんありがとう」
実際に魔物と戦う姿を見たら凄いと言う言葉しか出てこない。
これで2人はFランク冒険者なんだから上のランクになるとどんな戦い方をするのか凄く興味が湧いてくる。
「サラ、こいつはどないする?」
「うーん、今日の獲物は2階層のアイツだし魔核だけ取ろうか」
何を言ってるんだろう?
倒した魔物を持ち帰らずにその場で解体を始めるサラ。
そして小指の先ほどの紫色に光るアイテムを取り出すと魔法の鞄に入れていく。
「その魔物は持ち帰らないの? それとも素材が取れないとか?」
倒した魔物を冒険者ギルドに持ち帰れば素材や肉を買取りできるってソフィアさんが言っていたはず。
これだけ大きな魔物なら他にも素材がありそうなんだけれど。
「ミオちゃんの言う通りなんだけどマジックバッグの容量がね……」
「金が貯まったら大きいサイズを買わんとな」
どうも冒険者御用達のマジックバッグが小さくてあまり入らないらしい。
今まで倒した魔物も高価な素材だけを持ち帰るようにしているとか。
「私たちが使ってるのは20個のアイテムが入る小さいマジックバッグなの」
「他にも50個、100個のアイテムが入るのもあるけど値段が高いねん」
ふむ、そう言うことね。
それなら僕のスキルが役に立ちそうだ。
「2人がよければ僕が持ち帰っても大丈夫?」
「あっ、ミオちゃんのスキルで<収納>ってあるんだよね?」
「うん。生きてる物はダメだけど倒した魔物なら問題ないと思う」
「それじゃ、お願いできるかな? でも無理しちゃダメだよ?」
サラの了承を得られたのでジャイアントラットに手を添えて<収納>するイメージを浮かべると目の前から魔物の姿が消える。
念のためにリストを確認すると「ジャイアントラットx1」となっていた。
「大丈夫みたいだよ」
一応、取り出しできるか試したけれど問題無し。
「ミオちゃん、ありがとう」
「それじゃ次の魔物を探すで!」
そのままティナの<狩猟>スキルで魔物を探して倒していく。
もちろん倒した魔物はそのまま僕の<収納>へ入れてある。
☆☆☆
「ティナ! 後方から歩く樹木が2体接近中!」
「りょーかい!」
「サラ! 今のジャイアントラットを倒したら後方から炎魔法で援護して!」
「わかった!」
2人に指示を出すと目の前を飛んでいた巨大な蝙蝠に剣を突き刺して仕留める。
そのまま次のジャイアントバットに狙いを定める。
(くそっ、なかなか当たらないっ!)
ジャイアントバットを相手に剣を振るうが相手が早過ぎて当たらない。
小型犬ほどの大きさだから適当に振り回しても当たりそうなのに寸前で避けられてしまう。
(日本人の時は剣を振るうなんて無かったし)
今度、時間がある時に2人から剣の扱い方を教えてもらおう。
リーディエルで生きて行くには僕自身も強くなる必要があるしな。
「ミオっ、大丈夫かっ!?」
「こっちは平気だからティナはウォークツリーを頼んだよ! サラの魔法は残り何回いける?」
「私の炎魔法は残り2回だよ、ミオちゃん」
「わかった!」
3人で声を掛け合いながら湧き出る魔物を殲滅していく。
ここは「魔物の罠の部屋」と言ってダンジョンでも数少ない部屋らしい。
歩き回っていると知らずに部屋に入り込んで罠にかかったらしく、気付いた時には扉が石壁で塞がれて魔物が湧いてきた。
(もうダメかもと2人に言われた時は焦ったけど何とかなるか?)
すぐに2人に指示を飛ばして戦闘を開始して今に至る。
ゲームでも野良パーティーは普通だったしな。
まさかあの時の経験がリーディエルで生かせるとはね。
(……と、まだ戦闘は終わってないんだ)
ゲームだとお金が減るか経験値が減るだけで済むがリーディエルで負けは死と同じ。
調子に乗って死んだら悔やんでも悔やみきれない。
「ミオちゃん、危ないっ!」
サラの声にハッとして顔を上げると目の前にジャイアントバットが迫っていた。
考え事をして見落としていたらしい。
すぐに剣を振って回避しようとするが間に合わないかも!
――ザシュ!
僕に噛みつこうとする寸前に剣で斬られて地面に落ちるジャイアントバット。
「ミオ、油断したらあかんで?」
顔を上げるとティナが笑顔で立っていた。
足元にはジャイアントバットが羽をバタつかせながら動かなくなる。
「あ、ありがとう……」
「もう少しやからミオも頑張ってや!」
そう言ってもう1匹のウォークツリーと対峙するティナ。
横では炎魔法を放ちながら僕に笑顔を向けるサラ。
(よしっ、やるぞ!)
自分の頬をパンと叩いて気合を入れ直す。
残りの魔物は4体。
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