第17話 スキルのお披露目
「うん?」
部屋を片付けていると扉の向こうから話し声が聞こえる。
女性従業員が掃除の続きでもしに来たのかな?
「ミオちゃん、ただいま」
「いま帰って来たでー」
部屋の扉が開いてサラとティナが帰って来た。
「サラ、ティナ、お帰りなさい。って僕が聞いてた時間より早かったね」
今朝2人が出掛ける時には外が暗くなる前に帰るって聞いていた。
もうそんな時間なのかなと窓の外を見たけれどまだまだ明るい。
「サラ、何かあったの?」
少し落ち込んでいる様子のサラに聞いてみる。
「私の剣が壊れちゃってあまりダンジョンに潜れなかったの……」
「前の戦闘でだいぶヤバかったもんなぁ」
2人に話を聞くとダンジョンに潜って数戦したところでポッキリ折れてしまったらしい。
武器が無ければどうにもできないために早々にダンジョンを出て街の鍛冶屋で武器の修理をお願いして帰って来たんだとか。
「そっか……、それは大変だったね」
確かに今朝まで腰に差してあった剣が無くなって、今は代わりに護身用の短剣が腰に差してあった。
「はぁ……」
冒険者にとって武器は命の次に大事な物だしこれが無ければお金を稼ぐこともできないのでサラの落ち込み具合も半端ない。
「今日は武器の修理代と回復薬を買うのに少し金がかかるから夕食に回せる金が少ないねん。うちらは慣れてるけどミオはしっかり食べるんやで?」
ティナが2本の肉串を僕に渡してくれる。
2人の肉串を見ると僕よりも安い方の肉串が1本ずつだった。
「僕が一緒だから宿代も食費もかかってごめんね……」
「ミオちゃんは気にしなくてもいいんだよ?」
「そうやで。ミオと一緒になってうちらも楽しいしな」
そう言われると僕も嬉しいけれど2人に迷惑をかけているのは間違い無いので余計に心苦しい。
「僕は奴隷の身分だし大変なのはサラとティナなんだから2人で食べてよ」
見た目は子供でも中身は25歳の大人だしな。
さすがに外で仕事をしている2人を差し置いて僕が食べるのは気が引ける。
2本の肉串を2人に渡そうとするとティナに手で遮られた。
「気にせんでええよ」
「そうだよ? これはミオちゃんのために買ったんだもん。それに私たちはコレがあるからね」
サラとティナが僕に見せてくれたのは木のコップに入ったエールだ。
「そうやで。うちらはエールも食事やしな」
「逆に心配をかけちゃってごめんね」
そう言って笑いながらエールをグイッと飲むティナと安い肉串を食べながら僕に笑顔を向けるサラ。
何とかしてあげたいんだけれど子供の僕にできることは何も無い。
「……あ、そうだ!」
こんな時のためにあのスキルがあったことを思い出す。
サラとティナに出会って2日ほどしか経っていないけれど色々と話をして2人が悪い人物ではないと確信してる。
それなら僕のスキルを少しは見せても大丈夫だよな。
「サラとティナってパンは食べれる?」
「ええ、もちろん食べるよ?」
「うちも食べるけど硬くてパサパサしてるのがな。昔に食べた白くて柔らかいパンは最高やった!」
「あれは美味しかったよね! 確か貴族様の探し物を手伝った時にもらったのかな。ところでそれがどうしたの?」
サラもティナもパンが食べられると聞いて安心した。
嫌いだったら目も当てられないところだったよ。
「えっと驚かないでよく見ててね?」
2人に見えるように両手を前に出して手のひらを上にする。
それじゃいくよ?と念を押して今日の成果を披露する。
「パンを<創造>して!」
僕が魔法を唱えると手の上には4個の白いパンが乗っていた。
イメージする時に数を指定することも可能だとわかったのだ。
「味は僕が保証するから大丈夫だよ」
サラとティナを見るけれどパンを見つめたまま呆然としている。
「「……」」
さすがに魔法でパンを作り出したから驚いたかな。
だけど危険な物じゃないしぜひ食べてほしい。
「ミオちゃん……、これって?」
「ミ、ミオ、何をしたんや?」
「怪しい物じゃないよ。これは僕の魔法で作ったパンだから」
白いパンだけじゃ少ないかな?
ついでに食パンを焼いた状態で作り出して見せる。
あの後、実験したらトーストしたパンも作れたんだよね。
「温かいうちに召し上がれ」
僕がお皿にパンを乗せてサラとティナの前に差し出す。
「「ええぇぇーーっっ!?」」
部屋の中に2人の声が響き渡った。
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