第12話 新しい加護
「ミ……ちゃ……!」
遠くで僕を呼ぶ声が聞こえる。
「……う、うーん」
ゆっくり目を開けるとサラとティナが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「……えっとサラ、ティナ?」
「やっと気付いたのね!? はぁ、よかったよ」
「ミオが祈り始めた途端に倒れたからびっくりしたで?」
どうもメラッド様に会っている間に倒れていたみたい。
上体を起こそうとして柔らかくて温かい何かに頭を乗せていたことに気付く。
(これって膝枕だよな?)
まさか異世界で初めて膝枕を経験してしまった。
自分の置かれている状況を考えて思わず照れる。
「ミオちゃん、大丈夫?」
僕の髪を撫でながら額に置かれている手が冷たくて気持ちいい。
もう少しサラの膝枕を堪能したいけれど心配をかけたみたいだし早く起きないと。
「サラ、ティナ、心配かけてごめんね」
「ミオちゃんが無事なら別にいいよ。だけど急にどうしたの?」
女神様のことって話しても大丈夫なのかな?
まあサラに嘘はつけないから簡単に説明しておく。
「女神様から神託があったんだ。この場所以外にも女神像があるから祈りを捧げなさいだって。あとは強くなれって言われたかな」
「えっ、女神様?」
「ホンマに女神様っておるん?」
僕が女神様から神託があったと伝えたら驚いていた。
魔物や魔法が存在している世界でも女神様は珍しいのかな?
「おめでとう……でいいのかな?」
「ま、まぁ、よかったやん」
戸惑う2人にお礼を言ってメラッド様の言葉を思い出す。
確か新しい加護を授かったみたいだし女神像の前を離れる前にステータスの確認だけしておこうかな。
幸いにもこの場には3人しかいないし。
「ここで自分のステータスを確認してもいいかな?」
「ええ、もちろん」
サラの承諾をもらって自分の中に意識を向ける。
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名前 :ミオ(人間族)
職業 :奴隷
魔法 :創造
スキル:鑑定、収納
ギフト:女神の加護
加護 :光の神アラミオン
:豊穣の女神メラッド
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各項目を確認していると加護の欄に女神様の名前が増えていた。
「ミオちゃん、どうだった?」
「新しい項目が増えてたよ。僕のステータスの確認する?」
「ううん、必要ないよ。ステータスは大切な情報だからね」
「そうやで? いつかミオが冒険者を始めてパーティーを組むようになったらメンバーに見せてあげたらええよ」
やっぱり魔法やスキルはリーディエルでも個人情報なんだ。
ティナの言うように信頼できる相手にだけ見せる方がいいかもね。
(そう言えばメラッド様に出会ったことで<創造>に変化ってあるのかな?)
念のために使ってみると何も起こらないけれど体が温かく感じる。
これは宿に戻ってから詳しく調べる必要がありそうだ。
――グゥゥ。
ホッとしたら誰かのお腹から大きな音が聞こえる。
振り返るとサラが赤い顔をして俯いていた。
「ミオの用事が終わったんやったら露店に買いに行くか?」
「……そうね、そうしましょう」
「僕もお腹がペコペコだよ」
3人でひとしきり笑うと教会を後にする。
後日談としてこの日から女神像が光ることは無くなった。
☆☆☆
「さて、何を食べようか?」
教会を出て街の中央へ歩いて行くとたくさんの露店が並んでいた。
夜更けにもかかわらず大勢の住人や冒険者で賑わっている。
「お店がたくさん並んでるんだね!」
リーディエルに来てからまともな食事をしていないことに気が付くと、美味しそうな匂いに釣られて僕のお腹も盛大に動き出す。
「やっぱり食べるならあの店やな」
「そうね……っとミオちゃんはお肉とか食べれる? 苦手なら他のお店もあるよ?」
「あ、そうやった。肉が苦手な種族もおるしな」
サラとティナが心配そうに僕を見るけれど問題ない。
リーディエルの肉がどんな味なのかそっちの方が楽しみだよ。
「大丈夫だよ。肉も魚も野菜も大好きだしね」
僕がそう答えると嬉しそうな顔をするサラとティナ。
「魚も大好きやなんて嬉しいわ。久しく魚なんて食べてないから思い出しただけで涎が出るで」
「内陸の街だと魚は厳しいかな。いつか海に面した街へ行くことがあれば一緒に食べに行こうね」
生魚は腐りやすいから保存しながら運ぶのは大変なのかもね。
雑談をしながら歩いて行くと1件の露店に到着する。
「おっちゃん、また買いに来たで?」
「おっ、ティナちゃんにサラちゃんじゃないか。おや、その子供は?」
「おじさん初めまして、ミオって言います。お姉ちゃんたちがこの店が美味しいって言ってたから連れて来てもらいました」
僕が挨拶をすると驚くおじさんとお姉ちゃんと呼ばれて照れているのか顔が赤いサラとティナ。
「子供なのに礼儀正しくてしっかりしてるな!?」
「そうやろ? うちの子供時代なんて見せられへんで」
「ティナは今も昔も変わってないよ?」
頬を膨らませて赤くなるティナを見て笑ってしまった。
「今日は少し高めの肉串にするわ!」
「ミオちゃんが私たちのところへ来たお祝いね」
ティナが指を指す方向には串に刺さった肉がいい感じに焼けている。
油が落ちて炎に当たるとジュッと音がして香ばしい匂いが僕のお腹を刺激する。
「はいよ、ティナちゃん。6本で銅貨12枚ね。今日はお祝いらしいからこっちの安い肉串はサービスだ」
「おっちゃん、ありがとう!」
「気にするなって! ダンジョンで儲けたらたくさん買いに来てくれよ」
露店のおじさんにお礼を言って宿屋へと帰る。
両手にたくさんの肉串を持って。
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