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三日で用意しな! と、どこか旅立ちのさいには言われてみたい台詞を吐いたの言葉と同時に、散るように三人が城を飛び出していき時刻は既にお昼時を迎えていた。
くぅ、と可愛い音を鳴らしたトモエが力尽きたように机に突っ伏していた。
「うぅ、そういえば昨日のお昼から全然御飯してなかったよ」
「すまない、俺も忘れてたわ」
「ちょっと!? なんでそんな呑気に会話しているの? むしろ私にムゴゴゴゴゴゴ」
うるさいので、容赦なくチェアに縛っていたトコロテンの口に布を詰め込んで見せる。
「テン、さん……」
そんな姿を見てトモエは不憫そうに名を呼ぶも、そういえばとトコロテンのことよりもと机の上のノートパソコンを守に突き出していた。
「これ、遅くなったけど」
「ん……たった一晩で作ったのか?」
「ええ、計算処理だけだから何とか。ちょっと画像とかつける余力はなかった」
「どれ……上出来、すごく良い」
「へへ、任せて」
コンソール画面に表示されているのは、文字と数字のみ。そこにはこんな表示がされていた。
『資源管理
食料資源
食:980 (消費:10 補充:1 スピード:-9) 残100日
水資源
水:370 (消費:11 補充:0 スピード:-11)残 33日
森林資源
材木:1008(消費:50 補充:0 スピード:-50)残 20日
鉱物資源
鉱物:8091(消費:50 補充:0 スピード:-50)残161日
海底資源
メタンハイドレート:0(消費:0 補充:0) 残 0日
人的資源
人口:142 (消費:1 補充:0 スピード:-1) 残1.42万人
』
と、表示されている。ボタンを押せば、それぞれさらに詳細が見える構造になる予定だが、今はこの大きな数値だけで十分である。
「ありがとうトモエ」
守はこれで自分にもザックリなんて感覚だけではなく、頭が良くない自分でも数値化してハッキリと国の管理が出来るというものである。
「それにしても、木材が本気でヤバイな。続いて水も対策をうたなきゃ後が無い」
「そう、ね。こうやって単純な数値化にしてみるといよいよ後が無いってわかっちゃうわね」
「アノー、お腹ペコリんなのに仕事の話再開ってドンダケー? ゲロゲロ」
何だよその語尾、それに自力で口に突っ込まれた布を吐き出すとかそれこそドンダケー? と突っ込みをいれようとする若者二人だがそれはさておき。
「んだな、あいつらの受け入れ準備をする前に飯にするか」
「賛成」
「えっ、ちょっと!? 何で二人で立ち上がっちゃってるの!? 私は、私はどうなるの!?」
守とトモエは顔を合わせると、笑いながらトコロテンを開放するのであった。
そしてファミリーレストラン、ディフェンダーへと足を運んだ三人だがここでもまたトコロテンがはしゃぎだしていた。
「へぇ、すごいじゃない? 私の世界とはやっぱり違うのね。あっ、ナポリタン三つください!」
何勝手に三人前注文しているんだ、と突っ込みをいれようとするも諦めている二人である。
「ほら、私小食だから三つだけにしといたげる。で、マモルとトモエも決まったのかしら? 届いたら先に食べちゃうわよ」
「良いよ、先に食っとけ。俺たちは『一人前』で十分だからな」
守もトモエも、トコロテンの食欲に若干引きながらも食料資源の消費スピードが上がるのではないか、とそんな事を気にしていた。
「それにしても、テンさんって本当に何者なの?」
「わからん、わからんし本当は雇い入れたくは無いんだが……」
守もまた、決断を下していた。木から出てきた自称三十四のどうみても幼い女の子が、何の因果関係か国のための行動を起こしているのだ。仮に他の国のスパイだろうが、得体のしれない存在だろうが、今の守達だけでは詰んでいた状況に光を差し込んだコレを無下には出来ないでいた。
「それはそうと、勝手に朝方に花火をあげるなんてどういう了見だったんだ?」
野村、招来、影身の三人はそれぞれがピンク色に輝く空をみて、ここに集ったという証言はとっている。確かに城の中に花火の備蓄はあったと記憶の片隅にあるが、何故このタイミングでそんな事をして結果をだしているのかが気がかりだった。
「花火? えっと、それは『夜中』に行った禁術の間違いじゃないかしら。あれは私の……うおっと! これがナポリタン、いただきまぁす!」
話の最中に届いたナポリタンを前に、フォークを突き刺すとすくうようにパスタを口元に運んではすすって食べだす。
「……まぁいい、トコロさんも内で働く、それで良いんだよな?」
「ふぁいふぁいぃ、んぐ、はいな。どうせこの世界に知り合いなんて居ないし、何ならマモルのお嫁さんになってあげても」
『ダンッ』
水の入ったグラスからいくらかの水が零れる勢いで机にたたきつけていたのはトモエだった。
「テンさん、『私の』守に手をださないで。次言ったら死刑よ!」
トモエが真顔で私の、と強調してくるあたり、トコロテンも慌てて訂正をした。
「重い! 重すぎる! う、嘘よ、冗談よ!」
内心、マモルも良いかもと思っているトコロテンだったが、そんな心情は隠してパスタを口に運んでいた。
第一希望の男は、確かに希望通りだった。ある一点を除けば。
そして第二希望のイケメン高校生! 男子高校生! 知的でイケメン! だが、年齢が法外で無念。
そして第三希望のナイト様、確かにイケメンだったが年下が好みなので御免なさい。
と、すべてがミスマッチをおこしてトコロテンは三人が帰った後泣いて騒いで、煩かったので縛られていたわけだが。
「まぁお前の奇行のおかげで、人材確保が進んだ。本当にありがとう」
さりげなく、感謝の気持ちを伝える守の言葉はほとんどスルーするトコロテンには、そんな自分勝手な行動の結果に過ぎなくまぁ良いや、程度に食事をすすめるのだった。




