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キミが僕の腕の中で。  作者: るりか
第一章 やっと逢えたね
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「…行かないって言ってるでしょ」


彼の目力が怖くて、恐る恐る小さな声で答えると、スッと彼が彼女から離れた。


どうやら結愛を連れて行くことを諦めたのか、そのまま一人で門から出ていく。


張り詰めていた糸が緩まり、ほっとした彼女が深い息を吐き捨てる。

どうして諦めたのかわからなかったが、これで家に帰れる。


男の人と話すのが苦手な彼女にとって、今日が厄日だと感じることは仕方ない。


もしかしたら、またリクが追ってくるかもしれないと思った結愛は、警戒しながらも早足で学校の門をくぐり抜けた。


だけど――それは違っていた。



何が違っていたかというと、心配すべきは“リク”ではなかった。彼ではなく、別のことを心配すべきだったこと。


だけど、警戒していたお陰で、いつもよりは少し――ほんの少し早く気付くことができたであろう。



「みーつけた」


気付いたときには時既に遅しだったけれど。



一瞬だけ見えた。屋根の上にいたヤツの姿が。

前と同じく一見“普通”に見える姿で、彼女がくるのを待っていたのが見えた。


だけどそれは本当に一瞬の事で、ヤツはすぐに屋根からいなくなり、彼女の背後から声を掛ける。


「あちこち探したよ~。酷いなあ、僕に何も言わずに引っ越すなんて」


耳元で囁かれ、一気に鳥肌が立つ。


逃げなきゃ―――そう思うのにまるで石になったかのように、全然足が動かない。


呼吸が荒くなる、酸素が薄い――あたしは今日ここでキエルんだろうか…

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