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五十一
ここはどこだ?
暗闇と静寂が支配するところだ。
――…………――
どれくらい時間がたったのか。静寂を破るのはノイズ音のみ。
「うるさい……僕は戻らなきゃいけないんだ」
皆のため、大戦をおこさないため、「方舟」を動かさないため。
何故? 何故ここで「方舟」が出て来る?
「僕は……僕は……信じてくれる沢山の人を守りたいんだ」
――…………――
自身にとってかけがえのない存在は、あの第二特別特殊部隊と開発室の面々。あの人たちがいなかったら、自分はここに立っていない。存在すらなかったかもしれない。
――……あなた……何?――
「僕にとって世界は、皆と生きていくところだ!!」
――ふふっ。トーマスも面白い子を連れてきたわね。あなたの思い人たちを見せてあげる――
次々に映される映像。何だこれは。
セシル殿下がどこかへ向かっている。それをダレル大佐が支えている。イーユン中佐はオスカー、アーロン大尉、ビル中尉、マルドゥラと共に巨体に乗っている。
「セシル殿下!」
絶対に負けない。




