四十一
「ようこそいらっしゃいました!」
既にエメラダ王女まで出迎えている。
「エメラダ、はしたない。ようこそ、バークス公国へ。エルグスを通過するということでどうなるかと思っておりましたが、よかったです」
「ご心配いただくほどではない」
王太子の高飛車な対応に、バークス公国の国主の眉が動いた。
「わざわざのお出迎えありがとうございます。国主ご夫婦並びにエメラダ王女、お久しゅうございます」
にっこり微笑んでセシル殿下が言う。少しは緊張が和らいだと見えた。
「一応、エルド・ラド国並びに我がカーン帝国で本日の空路と理由は全世界に発信しております。そこで襲えばエルド・ラド国からの非難と、バークス公国並びにカーン帝国を敵に回すようなもの。そのような馬鹿はおりますまい」
「さすがカーン帝国、抜かりは無いと見えた。嘘偽りなく、我が公国への武器輸入に関する条約締結に感謝いたします」
本日の外交、半分以上セシル殿下が行うと見た。
「幾つもの境界線を跨いで来るのです。このような巨大輸送機も見てしまえば緊張してしまうというもの。偵察機や哨戒機くらいは仕方ないでしょう。それから、貴国でもわざわざ戦艦を出していただき、ありがとうございます」
「……よくご存知で」
「ひたすらに視力のいい部下がおりますから」
そこまで言うと王宮内へ向かっていく。
「あら、まだ顔の傷治っておりませんの?」
「ご心配おかけして申し訳ございません。なかなか治らないもので」
「お顔だけのお怪我っておかしくございません?」
やっぱりこの会話がきたか。
「身体の方にも火傷等ありますよ」
今までの戦闘と訓練で怪我は沢山ある。
「お大事になさってくださいませ。あ、今日から四日間舞踏会があるのですけど、わたくしをエスコートしていただけません?」
「ご婚約者がいらっしゃるとお聞きしましたが」
それを言うと、エメラダ王女は不機嫌になっていった。
「あの方は父と兄が勝手に決めましたの。もう少しわたくしは自由ですわ」
「……お相手してやりなさい」
「セシル様かしこまりました。私のつたないエスコートでよろしければ」
何でこうも予想通りの会話しかこの女性は出来ないのかな。セシル殿下も既に呆れている。
国主がエメラダ王女を無理やり下げると、すぐに商談へと変わっていく。トーマスはあくまで後ろに控えているだけ。座っているのは王太子とセシル殿下。すぐ背後に開発室から派遣された数人とダレル大佐にオスカー大尉の二人。
もともと決められた話のため、すぐに終わった。




