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クロスオーバー  作者: 連鎖
黄昏
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卒業②

 ドサッ。


 誰も来なくなった小学校で、美琴の衝撃的な告白を理解したくない僕は、

 ざらついた土の上に彼女を押し倒した。


「……いいの?」「ふふ。何回か、したじゃない…」


 押し倒した彼女の上に、僕は覆いかぶさっていくが、

 そんな事をされても、嫌がったり、逃げたりもしない美琴。


 二人の距離が近づき唇が触れ合うほど近づくと、彼女の息が頬を撫でた。


 歳の差は十以上。ダメな僕は、大人の彼女に何を求めていたんだろうか。


 わからない。


 ただ、申し訳なさそうな顔をしていたのは、たぶん確かな気がした。


 ――ごめん。


 そんな僕を、彼女はそっと微笑んで許した。

 ああ、そうだ。確かに、彼女は何度も僕を慰めてくれた。


 傷ついた僕を、癒やすように。優しく穏やかな声と行動で…


 僕はその優しさに、何を返せたのだろう。

 戸惑っているだけの僕に、彼女はまた、背中を押してくる。


「……」「来て」


 これが僕の愛情なのか、

 男たちに弄ばれ続けている彼女が受けている行為を、

 ただ塗りつぶしたいと求めたエゴなのか――自分には、わからなかった。


 ただ、無心で唇を重ねる。


 少しでも長く、美琴と同じ場所にいたいと抱きしめ、

 もう二度と離したくないと舌を絡めた。


「みこ……」「いいよ」


 身体に熱がこもる。胸元の膨らみが、指先からも伝わってくる。


 僕は、彼女に近づきたかった。もっと彼女を僕の物にしたかった。


「……ッ」


 触れた瞬間、彼女が甘く喘いだ。その声が、校庭に広がっていく。


 こんなに響くのは、夜の静けさのせいか。

 それとも、彼女の経験がそうさせているのか。


 わからない。


 でも。――僕が美琴を感じさせているんだと、そう信じたかった。


 指先で、彼女が跳ねる場所を確かめる。


 舌を這わせ、熱を飲み込み、震える彼女の身体を肌で感じるたびに、

 胸のつかえが少しずつ解けていった。


「もう、来て……」「なに?」「卒業……」


 彼女が本当に何を求めていたのか、僕にはわからなかった。


 その言葉の意味や感情さえも、この時の僕は、まだ知らない。


「……」「……うん。ちょっと待ってて、取ってくるから」


 ゆっくりと僕の身体を押しのけて、彼女は立ち上がった。


 浴衣の帯はほどけて、肩に羽織っているだけ。


 少しだけ、悲しそうな顔をして…遠くに落ちていた巾着袋を拾いに行く。


 スル、カサ……


 袋から取り出した小さな箱を見た瞬間、胸の奥がきしんだ。


「……どうする? 私が、着けてあげようか?」


 暗がりの中、諦めにも似た表情で、

 さっきまで抱き合っていた彼女と、とても同じ人とは思えなかった。


 僕は、黙って立ち尽くしていた。

 喉の奥が焼けるように痛くて、言葉が出ない。


 ――違う。みこ。そうじゃない。


 ただ、その言葉だけが頭を埋め尽くす。


「……いいわよ、別に。私、こういうのも得意だから」


 本当に、慣れているのだろう。

 彼女は笑って、箱の中から取り出したものを破いて指先でつまむ。


 近づいてきた美琴の大きな胸が、僕の場所に触れ、

 さっきまで重ねていた場所も、同じく包みこんでくれる。


 違うんだ…そうじゃない…やめてくれ…美琴


 その行為を見ているだけで、すぐに心が悲鳴を上げていた。


「うふふ。もう、おっきくなったね、たっくん」


 その後は、器用にアレを口に入れ、

 彼女はそれを僕に履かせていく――。仕事のように淡々と…笑いながら。



 卒業②

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