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クロスオーバー  作者: 連鎖
あーちゃん(夏の海)
20/98

亮平

 旅行の当日、浅見ひかりはアパート前の駐車場で、

 ボーナスを使いローンを組んだピンクの軽自動車を準備していた。


 今日も日差しが強く、暑い一日になりそうなので、

 エンジンをかけ、エアコンを入れながら、ふと助手席を見つめていた。


 今日は、藤間咲良の息子である亮平と海に行く予定だった。


 11歳の亮平は、最近は少しませてきて、

 最近特に女性に興味を持ち始めていることに気づいていた。


 最初に会った時は、可愛い弟のように思えて嬉しかったが、

 今ではその変化に少し不安を感じるようになっていた。


 そんな彼がまだ来ないので、

 ひかりは車から降りて彼を迎えに行こうとすると、

 遠くから元気な声が響いてきた。


「おはよう、ひかりちゃん!オレ、参上!」


 亮平が来てくれて嬉しい気持ちもあるが、

 勢いよく駆け寄ってくる彼のテンションはいつも以上で、

 その姿に、ひかりは思わず圧倒されていた。


「ちょっと、亮平くん!落ち着いて!」


 もちろん、旅行が楽しみなのは分かるが、

 アパートの前で大声を出されてしまうのは困るので声をかけていた。


 しかし、亮平は勢いよく彼女に飛びついてきて、

 腕がひかりの腰に巻き付き、力いっぱい強く抱きしめてきた。


 最近、こんなふうに触れてくることが増えたため、

 ひかりは軽く呆れながら注意を始めていた。


「ちょっと、離れて!何をしているの!亮平くん?ゴツン。」


 すぐに亮平を押しのけると、軽く頭にゲンコツを落としたが、

 彼は無邪気な顔で笑っていた。


 彼は、まるで小さな子供が母親に甘える時のように、

 額をひかりのお腹に当てて、腰に手を回して抱きついてきた。


 これは、最初にひかりが甘く対応してしまったせいかもしれない。


 最初は子どもだからと笑って我慢していたが、

 今でもこうして挨拶をしてくることに困っていた。


「だって、お姉ちゃんは、スタイルがいいんだもん!

 それに、その服って新しいでしょ?嬉しいなぁあ。よく似合うよぉお。」


 彼が見ているのは、

 夏らしい服装とはいえ、デニム地のローライズホットパンツに、

 へそが出そうなくらい短いTシャツという格好で、


 26歳のひかりが着たのなら、

 だいぶ冒険していると亮平も気付いていた。


 そのままでは流石に、人前に出るのが恥ずかしかったらしく、

 上にはフード付きのフロントジッパーのパーカーを羽織っていた。


 それだとTシャツが見えなくなりそうだが、

 この暑さには耐えられずに、胸元までジッパーを下げていたので、

 Gカップ以上はありそうな巨大な乳房が、前を向いて主張していた。


 そんな格好のひかりに、亮平が強く抱き着いてきたのだから、

 思いっきりビンタをしてもいいハズだが、彼の事を許しているのだろう、

 不機嫌そうな顔をして、軽くげんこつを落とすだけにしていた。


「触ったらダメ!お母さんからもちゃんと注意されてるはずよ。」


 亮平は少し怯んだように目をそらし、小さな声で謝る。


「ごめんなさい。嬉しくて、つい。。。」


 元気いっぱいだった亮平が、しょんぼりしているのを見て、

 ひかりは言い過ぎたと感じ、ため息をついていた。


「ふぅ。名前もね、いつも言ってるでしょ?いつも言ってるよね。

 いい?「浅見さん。」か「お姉さん。」って呼びなさい!

 それ以外で呼んだら、もう海には連れて行かないわよ。」


 本気で怒っているような声で言っているので、亮平は慌てて謝り始めた。


「ごめん!お姉さん!もうふざけないから!

 ボブが子どもの挨拶って言うからさ。だってボブがだよ。ボブぅウゥ。」


 彼の言葉に、ひかりは呆れたように微笑んでいた。


「はいはい。ボブのせいね。でも、今回は許すけど、

 次はないからね。さあ、早く車に乗って。」


 ひかりが車のドアを開けると、

 亮平は助手席に乗り込み、シートベルトを素直に締めていた。


 この着ている服だって、佐々木さんが似合うと言って選んでくれた物で、

 露出が多く恥ずかしかったけれど、亮平が喜んでくれたのが嬉しかった。


 亮平が言っていたボブは、アパートの隣に住む黒人男性で、

 体格が良く少し威圧感があるが、実際は気さくで可愛いい人で、

 ひかりは、彼に食事を作ってあげるくらいに仲の良い友達だった。


 亮平の行動に、ボブの影響が確かにあると感じてしまうと、

 ひかりは思わずため息が漏れそうになっていた。


「さあ、海に向けて出発よ。」「うん、楽しみ!」


 亮平の嬉しそうな顔と、夏の強い日差しを浴びた海を想像しながら、

 ひかりも自然と笑みを浮かべていた。



 亮平

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