第八話 風紀委員
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冒険者のアイドル化計画の一つ、冒険者の二つ名制度――。
上位に行く程、アドレナリンに忠実なバトルマニア化する冒険者達の綱紀粛正を図るための新制度だ。
人の形をした暴力装置の馬鹿共に社会常識、礼儀作法を身に付けさせ、母親の子宮の中に置き忘れてきたお行儀というものを今一度改めさせる。
そのご褒美が中二臭く、仰々しい二つ名である。
将来的には依頼の受諾条件や追加報酬条件に、二つ名持ちであることが加えられることが検討されている。
「倉澤先生! 僕も破邪の龍殺しの教え子に相応しい二つ名持ち冒険者を目指します!」
生徒達の無邪気な笑顔が辛いが、冒険者達のモチベーションアップには繋がっているので歓迎すべきことかも知れない。
だが――、
「ブチ殺されてぇか雌ガキッ!!」
「ぐだぐだ喚いてんじゃねぇよ、ブオトコが!!」
二つ名制度がギルドから公布されて数日、上位の冒険者たちは相も変わらずだ。
この手の馬鹿が、地上から絶滅する気配すら見えなかった。
ソウブルーの地下迷宮の調査が再開されて以来、よく見かけるようになった光景だ。
地下十一階よりも下の階層から発見された魔術兵装や魔術書は、ソウブルー行政が高額で買い取ってくれるということもあり、多くの冒険者がひっきりなしに往来していたが、それもほんの数日。
この手の馬鹿が地下迷宮を独占するかのような振る舞いをするか、第三者を巻き込み、安置されている書物や魔術兵装に被害が出るのもお構いなしに大暴れしている。
まず真っ先にやる気を無くしたのが、二つ名候補の真面目な冒険者達だ。
冒険者ギルドは綱紀粛正のためにSランク冒険者を中心とする警備部隊を結成。
闘争自体を求め続けて最上位に到達した気違い共は、何を勘違いしたのか上位冒険者と公的に戦うことが出来ると、問題行動の有無に関わらず喜び勇んで無差別な襲撃を繰り出した。
幸いにも……と言って良いか定かでは無いが、被害は評判の悪いAランク三人と、Sランク一人が命を落とすだけに留まった。
二つ名候補の冒険者に被害が出ていないのが不幸中の幸いだった、ということらしい。
腕さえ良ければ万事良しでは無いということを再認識した冒険者ギルドと、ソウブルー行政。
そこで自分で言うのも変な話だが、自分をはじめとした真面目な上位冒険者で警部部隊が再編制されることになった。
迷宮内で揉め事を起こす冒険者を一人無力化して衛兵団に突き出せば基本報酬とは別に、追加報酬として金貨千枚が支払われることになっている。
しかし、この期に及んで問題を起こす馬鹿とは言え、迷宮内をうろついている時点で自分と同格以上の冒険者である事から追加報酬が絶妙に美味しくない。
さて純粋な殺し合いならSランクに劣らない自信があるが、一応、殺しはご法度ということになっている。
レーベインベルグで斬り合いをするのはOKだが、原初の火の召喚は厳禁。
人間に向けて放った場合、今までグレーゾーン扱いされていたレーベインベルグは封印指定魔術兵装として没収され、サマーダム大学に封印されることになった。
しかし、原初の火抜きで上位冒険者二人を相手にした場合の勝率は、高く見積もって四割程度。
馬鹿同士潰し合っているところに介入して一気に無力化するのが確実だろうか。
「ハァイ、ムシケラ共」
剣呑な気配を撒き散らしながら罵り合う冒険者の様子を見ていると新手の馬鹿が現れた。
自分の手に負えないタイプの馬鹿だ。
その馬鹿は雌豹のような印象を与えるレザー製の全身スーツを身に纏った金色の瞳の女だ。
獣人の血が入っているらしく、瞳孔は縦に裂け、歩き方も何処と無く獣を思わせるしなやかさがあった。
それでいて、その雰囲気は狂暴な猛獣を想起させ、何処まで暴力的だ。
ムシケラ呼ばわりされていきり立つ冒険者二人も、その圧倒的な存在感に罵声を返すどころか息を呑んで大人しくなった。
「じゃれ合うのは勝手だけど場所を考えないとオシオキされるわよ? 怖~い、風紀委員長さんにね」
壁越しにレザー女の、数秒遅れて遅れて盆暗冒険者二人の視線を感じた。
奇襲は無理そうだ。観念して三人の前に姿を見せることにした。
ソウブルー地下迷宮警部部隊、通称風紀委員――。
「どーも、風紀委員長です」
因みに風紀委員長というのは、迷宮内で乱暴狼藉を働く冒険者を取り締まっている内に定着した呼び名だ。
「この迷宮の調査が一刻も早く終わることを依頼主――、ソウブルー要塞の偉大なる支配者バーグリフは望んでいます。それを阻害するような振る舞いを冒険者ギルドと、ソウブルー行政は望まず、許容しません。どうか此処は矛を収め、冒険者の本分を全うしては頂けませんでしょうか」
「だってさ?」
偶には穏便に済ませようと思って下手に出ると、レザー女は盆暗二人を挑発するような口調で問いかけた。
「き、聞いたことがある。風紀委員長に睨まれたら、女子供でも問答無用で容赦なく炭屑にされるって!」
ブ男呼ばわりされていた冒険者が蒼褪めた表情に冷や汗を流し、悲鳴混じりに言った。
失礼極まりない男だ。こんな連中に言葉の通用しない手合い扱いされるの憤慨の極みだ。
第一、人類種を炭屑にしたことは、ただの一度も無かった筈だ。確か。多分。
「……ってことは、こっちは鬼の副委員長メアリ!?」
豚がレザー女改め、メアリを指差す。
迷宮の内外に関わらず、自分よりも遥かに高い知名度を誇るのが、鬼の副委員長ことメアリ。
ついでに言えば、風紀委員が恐れられているのは八割がた彼女のせい……もとい、お蔭だ。
冒険者ギルド、ソウブルー支店で唯一の最高位冒険者、SSランクのメアリ。
「あ、アタイは風紀委員にはもう逆らうつもりねーし!? このブ男に絡まれてただけで他の奴等の迷惑になるようなこともしてねーからっ!!」
「あら、もう委員長さんが調教済みだったの。それは残念ね。そっちの貴方はどうかしら?」
調教とは人聞きの悪い。そもそも自分が仕置きしたかどうかさえも定かで無いと言うのに。
「いや、降参だ。降参する。俺も命は惜しい」
「そう、それは残念ね」
「問題行動を助長しないでください」
「あら? 私もオシオキされちゃうのかしら?」
メアリが蛇の様に長い舌を唇に這わせて淫靡に笑みを浮かべる。
周囲の気温が三度程下がったような気がしたのは自分だけでは無いらしく、問題児二人がガクガクと震え出す。
だが、この女を躾けるのは今のところは難しくない。
「問題を起こすようなら、ご褒美は無しです」
「そんな!?」
メアリが絶望的な表情を浮かべて愕然とする。
ご褒美と言っても相手はバトルジャンキーだ。金銭的なことでも無ければ、色事でも無い。
原初の火アリ、体内直接召喚アリの対魔人モードの自分と戦う権利、それがご褒美だ。
以前、迷宮内でメアリに戦いを挑まれ――、
「戦うまでも無く、結果は決まっています。殺し合いなら自分の方が上ですが、純粋な勝負なら貴女の方が上です」
そう言って断ると――、
「私に一方的に殺されると分かっても同じことが言える?」
と食い下がって来たので――、
「対魔人モードで戦ったら装備が没収されてしまいます。そうなったら魔人に付け狙われている自分は死んだも同然です。ですから、貴女に一矢報いる為に無抵抗で殺されてあげることにしますよ」
バトルマニアが嫌がるであるセリフを吐き捨ててから数日後――、
「死霊の石って知ってる? 持ち主の死を一度だけキャンセルしてくれる魔術兵装なんだけど」
――と、メアリがドヤ顔で再び現れた。
「バーグリフとギルドに確認したんだけど、コレがあればお互いに本気で殺し合っても良いってお墨付きが出たわ」
「周到ですね。自分がその殺し合いに付き合う理由が無いということを除けばですが」
「え?」
「では、失礼します」
適当にあしらっていたのが良くなかったようで、兎に角彼女は執拗だった。
問題を起こしている冒険者がいると聞いて迷宮に降りると、メアリが冒険者達に乱暴狼藉を働いているところに出くわし――、
「ヘイ、パース」
と、死霊の石を投げ渡してきて、両腰にぶら下げた鉄扇を自分に突き付けて来た。
「自分の力では、SSランクの暴徒を鎮圧するのは無理なので、Sランクの皆さんにお任せしますね」
「何故!?」
こういったやり取りを繰り返して丸め込めていたはずが、気付けば自分がやり込められていた上に、副委員長になっていた。
とは言え、自分と殺し合う権利を手放す気は更々ないらしく、『言うことを聞かないなら殺し合いは無しだ』と言っておけば、躾の生き届いた犬のように大人しくなる。
「それで? 揉め事の原因は何だったのです?」
「それは……」
ブ男呼ばわりされていた冒険者が口ごもり、雌ガキ呼ばわりされていた冒険者がギリリと目を吊り上げて、ブ男を睨み付ける。
雌ガキ呼ばわりされていた方は以前、風紀委員にこってりと絞られたという口振りをしていたし、問題を起こしたのはブ男の方か。
「四カ月程前のことです」
「へ?」
「自分が冒険者になる前、ソウブルーを目指している最中、旅の同行者にこんな話を聞かされたことがあります。能力がある者は馬鹿正直でいる方が多くの利益を得ることが出来、得る物の無い無能は悪に落ち、最後は命を落とす、と」
大分、脚色と脅しが加わっているが、この世界の悪党が恐ろしく弱いことに驚いていた時にリディリアさんから聞かされた言葉を、赤熱化したレーベインベルグの切っ先と共に突き付ける。
「さて、貴方は有能な正直者ですか? それとも愚かな虚言者ですか?」
――嘘を吐く悪人に、命は要りませんよね?
「わ、分かった……! 話す! 全部話すから命だけは……!」
「ええ、では伺いましょうか」
収集品の強奪が目的か、それとも占有権を主張して金を騙し取ろうとしたのか、どちらにせよ小物の出来心だろう。
そんな自分の予想の大きく斜め下をいく答えが返って来た。
「地下迷宮で発見された魔術兵装の横流し、ですか」
「そうだ! サマーダム大学に保管されるような封印指定級の魔術兵装なら金貨二百万枚を出すって言われたんだ!」
「二百万ですか。その話を持ち掛けてきた人物は随分と景気の良いようですね」
「あ? アレ?」
――馬鹿が。
今頃になって都合の良過ぎる儲け話ということに気付いたようだ。
この調子だと下手人の詳細は期待出来そうにない。
それにしても、レーベインベルグの鑑定評価額とほぼ同等の金貨二百万という金額が実に悩ましい。
実のところ、Sランク冒険者どころか、Aランク冒険者でも無理と時間を重ねれば手が届く金額で、装備費用として考えたら、決して非現実的な数字では無い。
しかも、自分と同じような経緯で、レーベインベルグに匹敵するグレーゾーン級の魔術兵装を手に入れるという話は、割とよくある話だ。
その事から、下手人が冒険者である可能性は外して良い。
上位に上がれる程の実力があるなら自力で何とかする。
それだけの力と、頭がある。
「へい?」
――自力で何とかする、頭と、力が、ある、筈、だ。……多分。
転売益を得る商人という可能性はどうだろうか?
可能性を考慮した直後で何だが、有り得ない。
買い手が付く前に盗賊ギルドに消されるのがオチだ。
――いや、もう少し考えてみようか。
氷の団にも武器を卸している獣人の商売人である可能性――というのはどうだろうか?
ソウブルーを襲撃した際に氷の団は壊滅的な被害を被ったと言う。
減少した兵力を封印指定級の魔術兵装で補う――。
本当にあるかどうか定かでないというのに態々危険を犯すか?
と言うか、背後に氷の団が存在していると仮定しよう――動きが早過ぎやしないだろうか?
密偵くらいは潜り込ませているとは思うが、それにしても情報の伝達と意思決定、行動に移すのが早過ぎる。
まさか、また邪教徒――か? いかがわしい会合で寄付金を募り溜まりに溜まった金貨二百万枚。
強力な魔術兵装を入手してソウブルーを恐怖のどん底へ……!!
いやいやいや、連中も一応は自分達が信仰する神を邪神から主神にしようとしている。
一過性のテロ活動は成功するかも知れないが、即刻殲滅されて只でさえ少ない信者を失うだけだ。
一部の邪神はそれすら構わずに面白半分で信者を破滅させることに走る傾向にあるが、主流になることを目論んでいる邪神の方が大半で、信者達が自ら破滅を望むことはしない筈だ。多分。
「委員長、考えるよりもコイツを殺して死霊術で吐かせた方が早くない?」
長考が過ぎたらしく、退屈したメアリが物騒極まりない提案をしてきた。
「ひっ……!? こ、殺すのか、俺を? 知っていることは全部話した! 本当だ! 頼む、殺さないでくれ!」
ブ男呼ばわりされていた冒険者が必死の形相で助命を乞う。少し豚っぽい。いや、豚の方が三十倍くらいキュートだ。
「大切な情報提供者です。殺すなんて勿体無いことをしないでくださいよ。その代わり手伝ってもらいたいことがあります。宜しいでしょうか?」
「て、手伝う! 手伝うから! だから、殺さないでくれ!」
「メアリ」
「従順になったんだから良いじゃない」
釘を刺すがメアリは悪びれるどころか、得意気に胸を張って無邪気な笑みを浮かべた。
反論しようと思ったが、自分以外の上位冒険者に常識を期待する方が間違っているのだ。諦めよう。
「その話を持ち掛けて来た方を自分にも紹介しては頂けませんか? そうですね……報酬の金貨二百万に目が眩んだということにでもしておきましょうか」
「それは……」
「出来ませんか? 当代の龍殺しが興味を持っていると言えば向こうも食い付いて来ると思いますよ」
情報が敏感で資金があり、武力を必要としている存在――、恐らくオライオン派の貴族だ。
そして、情報が早いのであれば彼等は間違いなく自分を取り込みに来る筈だ。
そうなることを狙っていたつもりは更々無いが、まず間違いなく自分の思想がオライオン派に極めて近いと勘違いされている。
「風紀委員長には何が見えているのかしら?」
「まだ全てが見えているわけではありませんよ。限りなく高い可能性に心当たりがあるというだけです。そう言えば、まだ名前を伺っていませんでしたね。お名前をお聞かせ願えますか?」
「ダドリアル、Aランクだ」
ブ男呼ばわりされていた冒険者改め、ダドリアルが警戒心を滲ませた声を絞り出す。
今のところ彼に害意は無いので怯えられるのは心外だ。仲間意識を持たれても困るので別に構わないが。
「ダドリアルさん、もし封印指定級の魔術兵装を発見したら、一度だけ裏取引を行うことを許します」
「へ、い?」
「但し、他の冒険者や一般人を巻き込まないこと。裏取引前に自分に報告を行うこと。それが条件です。良いですね?」
「拒否権なんて無いんだから、そんな言い方しなきゃ良いのにねぇ?」
「え、ええと……」
雌ガキ呼ばわりされていた女冒険者がメアリに絡まれどうして良いか分からないといった態度で目線を泳がせている。
可哀想だが、今のところ彼女に用は無い。もう暫くメアリの玩具になってもらおう。
「わ、分かった。条件を呑む」
「では、裏取引前に報告に来てください。追って指示を出します」
調書を取って二人の冒険者を開放し、メアリを伴い迷宮の探索を再開する。
「ねぇ、委員長さん?」
暫く歩いているとメアリが声をかけてきた。
「今回の件、誰が糸を引いているのか、何で見当が付いたのか聞いてみたいんだけど?」
「おや、珍しい。戦うことにしか興味が無いと思っていましたよ」
「まあ……無いわね。ただ今の気分は……そうね、やきもちを妬いているようなものよ」
「はあ……」
流石は戦闘狂のSSランク。言っている意味が分からない。思わず気の無い返事をしてしまう。
だが、メアリは機嫌を損ねるどころか意味あり気な笑みを浮かべる。
「だって魔術兵装の横流しをしようとしている鼠を一網打尽にして皆殺しにするでしょ?」
「好き好んで殺すつもりはありませんが、自分は手加減が出来る程の力は持ち合わせていません。自分の身を危険に晒してまで、犯罪者の命を保護しようなどと思い上がってもいません」
「そうやってまだ見ぬ敵に思いを馳せて、どうやって殺すかを真剣に考えている。そんな顔をしているのに、すぐ側にいる私をどうやって殺すのかは全く考えてくれていないでしょう? 酷く妬ましいわね。どうやったら貴方にそんな風に思ってもらえるのか、そんな顔をしてもらえるのか。それが分からないから、委員長さんの考え方を知ってみたいと思ったのよ」
こんなに嬉しくないやきもちの妬かれ方は生まれて初めてだ。
出来ることならこのまま何処か遠くの世界へ消えていってもらいたい。
「貴女が明確な敵なら殺しますよ。自分や親しい人に危害を加えるような存在なら喜んで殺しましょう。ですが、社会的なリスクを負ってまで敵に回したいと思える程、上等な存在ですか? 自分は」
「社会的なリスクなんてものはどうでも良いけど、委員長さんとは敵対するよりも付き纏っていた方が良さそう。たった三ヶ月で二体の魔人に二柱の邪神と遭遇する強運の持ち主ですもの、分け前は期待出来そうよねぇ」
「降りかかる火の粉を払う分には止めませんよ」
そう言えば、元々は魔人の確実な殺し方が発見出来次第、この手の戦闘狂に魔人退治を任せる腹積もりだった。
言うなれば彼女は鉄砲玉だ。もう少し、ちゃんと面倒を見てやった方が良いかも知れない。
この世界に来た直後は胡桃さんのことだけを気にしていれば良かった。
だが、今になって思う。大切な人が随分と増えてしまった。
肩書や立場も出来た。この風紀委員会を自分の勢力として囲い込むことは出来ないだろうか?
「何にせよ、まずは迷宮の調査を終えるのが先決です」
「退屈ねぇ」
「どうでしょうね。多分、退屈はしませんよ」
「理由を聞いても?」
メアリは上体を低くして、自分の顔を覗き込んだ。
「バーグリフは自分のことを強大な敵や大事件を引き寄せる運命にあると言いましたが、自分ではありません。遥か太古に対魔人要塞と呼ばれた、このソウブルーこそが敵を引き寄せているのです。そして、既に敵が現れる予兆は出ています。まだまだ大きな敵が手ぐすね引いて時が来るのを待っていますよ」
「それは良いわね」
メアリが上機嫌で前を行き、振り返る。
「この暗い迷宮の先が炎よりも明るく、閃光よりも眩い闘争に続いていると思ったら苦も苦にならないわね」
その闘争を未然に潰すために動いているのだが……言わない方が華か。
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Copyright © 2017-2019 芥川一刀 All Rights Reserved.
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