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戦争を語る仔  作者:
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9/80

9 客人

 秋比古は立ち上がった。

 空夜はそれを見て、

「なんだ? それだけ言うために来たのか? これからリヴンに帰るのか?」

「いや、どこかで宿を探す。リヴンであんなことがあったから、街を出てきたんだ。つまり、逃げてきた。あそこの港で軍が網を張ってる」

「じゃぁ、ここに泊まっていけばいい」

 そう言うと、秋比古は照れたように頭をかいた。手を広げて、手荷物が何もないことをアピールする。

「実を言うと、お前を当てにしてきたんだ。居候させてもらおうと思って」

「じゃぁ、」

「でも、悪いよ。彼女がいるし、部屋は狭いし、床は抜けそうだし……」

「……泊めてほしいんなら、もう少し遠慮してものを言え」

「だから他を探すって」

 そう言って秋比古が身を引くと、今まで黙っていた桐珂が微笑んで言った。

「ここに泊まっていけばいいわ、秋比古。部屋が狭くても構わないなら」

 彼女は立ち上がった。

「毛布を用意するわ」

「あ、いや、でもほんとに……」

「泊まっていけばいいよ」

 空夜は秋比古の慌てぶりに笑いながら言った。

「まだ一組、寝袋があるから」

「いや、そんな、この寒いのにお前を寝袋で寝させるなんて……」

「寝袋で寝るのはお前だ」

「俺は客だぞ」

「招待した覚えはないし、居候ってどうせ無銭宿泊なんだろ?」

「……実は、借金も抱えてる。お前の付けにしてリンと飲んできた」

「……」                                      


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