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戦争を語る仔  作者:
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30/80

30 武器 楽園の

 中央の興味は、自国内の復興とクレア・エバの監視に終始している、と彼は書いている。ユーリ・エバはそれに対して何の反応もなく、一切の公的関係を遮断したまま独自の文化を進行させていた。

 カッセルは左遷生活を今のところ何の過不足もなくこなしており、彼に対する地方の評価は悪くはない。しかし、彼はここ数日間で自分の周りの警備を強化しており、それゆえ近付きがたくなっていることは確かだ。

 クレッフェの試験部隊については中央では禁忌のひとつになっており、そのためにここでの情報収集は実りがない。サベンコは不満そうにそうつづった。

 そうして最後に、サベンコはユーリ・エバについて簡単に触れていた。

 ユーリ・エバで、戦争中にクレア・エバで放棄されたままの『武器』が見つかったらしい、という内容だった。それについてはまだ詳しいことは分からないと前置きして、しかし、これはドニ中央政府の中では極秘扱いであることから、クレア・エバには見つかってほしくない『武器』である可能性が高い、と付け加えられていた。

 必要としていたクレッフェの試験部隊についての報告は皆無に等しかった。

 もちろんサベンコが最大限の都合をしてこれだけの情報をかき集めてきたことは分かっている。しかし、不満がないと言っては嘘になるだろう。

 クレッフェの試験部隊の生き残りを捜すことなど、不可能なのだろうか。

 タナカは、どこか分からないところにそう問いながら、思案した。


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