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戦争を語る仔  作者:
3/80

3 変化の予兆

「今から?」

「あぁ」

 はっきりとうなづく秋比古に、空夜はためらった。

 この街の郊外、繁華街とは反対側のところに空夜の住みかはある。小さな街なのでそれほど遠いわけではない。でも、

 その素振りを一瞬で解したらしい秋比古は、驚いた目で空夜を見た。

「あ、まさか女を囲ってるとか?」

「……」

 はっきり違うとも言えず、しかし肯定もできないまま、空夜は曖昧に眉をしかめた。

「あぁ、そりゃ悪い。だったら、どっか近くの酒場でいいんだけど」

「……いいよ。でも僕の仕事が終わってから一緒に行こう」

「いや、無理は言わないんだけど」

「構わないよ」

 秋比古はしきりに遠慮しているが、本当に構わなかった。ただ、ひとりで見知らぬ人間が部屋に入ると危ない、それだけのことだった。

「何かあるんだろう?」

「実は、軍がらみだ」

 彼はそれだけ言った。それだけで十分だと思っているように。そして確かにそれだけで十分だった。

 空夜にはその言葉が意味する深刻さの度合いを認識していた。

「分かった。少し待っててくれ」

「何?」

「次の奴に連絡を入れる。早く来るようにってさ」

「いいのか?」

 空夜はこっくりと確実にうなづいて見せて、娼館の階段を降りていった。通信端末を探すつもりだった。


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