20 疑問符 彼らの立ち位置
「クレッフェを動かすとなると、軍のかなりお偉い方が動いているに違いないしな。あるいは、カッセルが直接動いているかも知れない。俺達の直属の上司だったわけだし」
「カッセル参謀は生きているのか?」
「生きている。もっとも中央軍からは異動になったみたいだ。ザゼルの悲劇を引き起こして、中央連盟の戦時中の汚点を造ったんだから、軍としては当然彼を手もとに置いておきたくなかったんだろう」
さも哀れっぽく言っておいて、秋比古は皮肉く鼻で笑って見せた。
「どこへとばされたかは知らないが、どこを飛んでいたって、天国にいる部隊の人間に撃ち落とされているさ」
「中央軍が動くわけがないよ。政府と一緒で、あれほどクレッフェの試験部隊を消したがっていたんだ。カッセル参謀が独断で動いてるに違いない。戦争中、彼はクレッフェの必要性をあれほど主張していたんだ。それを命令とは言え、戦争が終わったらああも簡単に手放すなんて、おかしかった」
「奴はクレッフェを使って、この国でクーデターでも起こそうって言うのか? それともまた戦争か?」
「分からない。リンが何か知っているかな。聞いてみよう」
「難しいお話ね」
それまで聞き役にまわっていた桐珂が静かに言った。
空夜と秋比古は、彼女が話したのを聞いて黙り込んだ。




