開店前
キャバクラの店舗にはキャバクラ嬢の他にボーイ又は黒服と呼ばれる男性がいる。
ここではボーイとよぼう。
ボーイにはお酒や食べ物を運ぶ給仕、女の子のつけ回し、管理などの仕事がある。
女の子の管理をする人は女の子から『担当』とよばれ、一人で複数の女の子の管理をするという面倒くさい仕事だ。
先ほど私に話しかけたのは通称てんちょうと呼ばれている私の担当だ。
はっきりいって、私は男に生まれたら絶対したくない職業にこのボーイが含まれる。
面倒くさいのだ。
くっそワガママなキャバクラ嬢達の出勤調整や愚痴、悩み、お客様の対応などなど…
面倒くさい。
担当さん、いつもすまない…と思いながらお客様へ連絡するのを怠る私はいつも迷惑かけている。
ごめん、てんちょう…明日レッドブル差し入れるね…
と思う毎日である。
店舗によって差はあるが、私の店舗にはヘアメイクさんがいる。
出勤してから待機室でヘアメイクさんに髪の毛をセットしてもらうのだ。
「りょうさん今日はどうします~?」
「ストレートで」
「りょうさんいつもそれですよね…」
ヘアメイクさんは三人いるのだが、今日のヘアメイクさんは何かと巻き髪にしたがる女性風の男性禿ちゃんだ。
化粧をし、髪の毛をセットし、無駄に布面積の少ない服を着たらキャバクラ嬢『りょう』の完成だ。
正直に言おう。キャバクラ嬢なんて詐欺だ。
整形なんてしなくても、あの薄暗い店舗の中、化粧なんて盛り放題である。
太陽光の下で歩いたらドラキュラのごとく化粧というなの仮面が溶けるであろう。
キャバクラ嬢イコール可愛いなんて幻想だ。
わが店舗は17時開店、25時閉店なのでそろそろ開店である。
さあ、『ドリーム』
諭吉と引き換えに夢を売る時間が始まる。
『いらっしゃいませ』
ボーイ達の声とともにお客様のご来店だ。




