青春失恋計画の会議は放課後のカフェで1
エピソード1からの続きです。
放課後の帰り道、カフェの一席に男女が二人座っている、
傍目から見れば、青春の1ページに見えるだろう。
「私が君を好きになるために必要な具体的な案と、君に恋人を用意するための案を出す会議を、始めましょう。まずはさっきの詩にゃんさんを恋人にするための協力なんてどうかしら? とっても仲がよろしそうだったわよ」
声のトーンが爽やかで前向きな響きに聞こえる。
「君を好きになる努力をするから、君は他の人を好きになる努力をしてね、って言う人初めてみたわー」
「ここにいるじゃない! 本気よ? 奏に私以外の恋人にしたい人を作って、私が君を引き留めようとするの。でも、あなたは新しい恋人を選んで、私は無様に振られる……。完璧! 想像しただけで、もうご飯三杯はいけるわ!」
椿は「えっへん」と胸を張る。揺れる二つの山と、眩しすぎる笑顔。
誰かがかの光景を目にしても、この美少女が今、「自分の彼氏(仮)を寝取らせるための戦略」を熱っぽく語っているなんて。
「奏、協力は惜しまないわ。まずはあの子の連絡先をゲットしましょう。ラブレターの代筆だってお手の物よ? 私、美少女だから『女心』には詳しいもの!」
「お前みたいな『女心』を持ってる奴は、世界に二人といないから参考にならない。……だいたい、俺にその気がなきゃ意味ないだろ」
「あら、そうなの? 詩にゃんさんって愛称をつけるほどの相手なら、奏の『ひとりぼっち症候群』も治るかもしれないのに。……ふふ、でもいいわ」
真鈴は身を乗り出し、俺の鼻先に自分の鼻が触れそうな距離まで顔を近づけた。
甘い、バニラの香りが鼻腔をくすぐる。
「私、頑張ってあなたを好きになるから。奏も頑張って、私に失恋を教えてね」
ウィンク。そして、屈託のない満面の笑み。
周囲からは、幸せの絶頂にいる恋人たちに見えることだろう。




