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第300話 猫カフェにようこそエルフさん

 車から降りると冷たい風に吹かれて、思わず空を見上げる。旅人から衣服を奪おうとしたのは北風だったかな。そのときは暖かな太陽の圧勝であったが、今日はあいにくの曇り空だ。


 空気は乾燥しつつあり、吐き出した息は白く染まる。不思議なことに、寒くなるにつれてシンと静まってゆく気がする。慣れ親しんだ雪深い地を思い出して、僕は再び白い息を吐く。


「寒い……」

「やっぱり東京は暖かいな。あ、ごめん。なにか言った?」


 そう言って振り返ると、少しだけふてくされた顔が待っている。もこもこのニット帽をかむったマリーは、薄紫色の瞳でじっと僕を見た。


「どうやらあなたの鈍感さは肉体にも影響を及ぼしているようね」

「そうしみじみ言われると、ほんの少しだけ悲しくなるね」


 鈍感なのかというと、実はそんなこともない気がする。恋愛に奥手だっただけであり、しかし彼女との日々の交際を通じて慣れつつある。

 ん、と言って差し出された手をにぎる。やはり彼女の手は冷たくて、マフラーだけでなく近いうちに手袋も必要だと思った。


「そういうマリーも実は鈍感だと思うけどな」

「私が? ふふ、まさか。あなたってたまに面白いことを言うのね」


 くつくつとおかしそうに笑い、少女は腕にしがみついてくる。しかし恋人らしい仕草というわけではない。彼女にとってはあったかい火とかげをだっこしているのと同じなんだ。


「あれ、エルフの森でも恋愛話にはまるで耳を貸さなかったのに?」

「それは内容次第よ。面白ければもちろんこの長耳を貸してかまわないわ。つまらない話を聞くなんて苦痛でしょう?」


 分かったかしら? という表情で見上げられたけど、僕の記憶の限りでは一度たりとも長耳を貸していないと思う。

 さて、どのような内容であれば彼女の興味を引くのか。貴族と平民などといった身分差のある物語だろうか。それとも敵の組織に狙われるスリルたっぷりの物語? いずれにしてもマリーにとっては恋愛話よりも暖かい空間のほうがずっと興味あるに違いない。


 ててて、と駆けてゆく黒猫を追いかけて、僕らは小道を歩いてゆく。このあたりはごく普通の住宅街で、休日の昼間であっても人通りは少ない。目当てのお店を見つけたのはやはり黒猫が先であり、しかし入り口の前まで近づいたとき、思わぬ珍客がふらりと現れた。


 なー、と鳴いたのはウリドラではない。

 真っ白い毛並みをした異なる猫が、立ち止まった彼女に近づいてゆく。青い目をした子で、鼻先と耳は綺麗なピンク色をしていた。


「あら、お友達ができたの?」


 マリーが問いかけると困ったように黒猫は振り返るが、そのあいだもスンスンと匂いを嗅がれている。


「あれは猫の挨拶だね。匂いを嗅いで、鼻をくっつけ合って、僕らには分からないたくさんの情報を集めている。どうやら魔導竜様の使い魔は気に入られたらしい」


 すりっと顔をこすりつける姿は愛らしく、ウリドラはともかく猫好きな少女にとっては「羨ましい」のひとことだろう。いいなぁ、いいなぁ、と言うようにそわそわしていた。

 大抵の猫は人から遠ざかるけど、この白い猫は違うようだ。大きな青い瞳で見上げてくると、にうぅと挨拶するようにマリーに向けて鳴いた。


「だ、大丈夫かしら、お店の前だからお邪魔にならないかしら」

「もし人が来たら教えるから大丈夫だよ。気にせず挨拶をしておいで。でないと気まぐれな猫はどこかに行ってしまうよ」


 やった、と言いながら視界いっぱいに彼女は笑う。それはもう輝かしいと思えるほどの笑みであり、僕の胸は勝手にドキリと音を立てる。

 彼女を鈍感だと思うのはこういうときだ。ぱっとあっけなく手を離して、すぐに背中を向けてしまう。そういう気まぐれさも猫っぽいなと思いながら見送った。


 しゃがみこみ、マリーが指先を伸ばすと思わずという風に、ちょんと鼻先で触れてくる。とがったものに反応するという習性であり、この日本で過ごすうちに少女は猫のことをすっかりと知り尽くした。


「あなた美人さんね。それにとっても甘えん坊。もしかしてこの辺りはあなたの縄張りなのかしら」


 少女の優しい声を聞きながら、僕もすぐ隣に腰を降ろす。ふかふかした毛並みをつい触りたくなるけれど、それはエルフ族とのご挨拶を済ませてからだ。

 しかし彼女はただの猫好きではない。精霊と意志を疎通できるおかげか、あっという間に気を許してしまい、ごろんと寝転がるまでに一分とかからなかった。


「んふふっ、かわいい。見て、すごく毛並みが綺麗。きっと毎日のようにお風呂に入れてもらっているのね。たぶん飼い主さんはすごく猫好きな人よ」


 身体を撫でられるのが気持ちいいらしく、白猫はマリーの手をしっかと抱く。そしてお返しというように、ざーりざーりと舐めていた。悲鳴を上げそうな顔で彼女は振り返り、そのたまらなそうな顔を見たらこちらまで勝手に頬が緩んでしまう。身をよじらせながら「きゃわわぁぁーっ」と口を動かしているのを見て、ついに僕は声を出して笑ってしまった。


 と、そのときチリンとベルが鳴る。お店のドアが内側から開いて、隙間には驚いた夫人の顔があった。それを見て慌てて僕は立ち上がる。


「あ、すみません、お店の前で遊んでしまって」

「いいえ、構いませんよ。お店の前がにぎやかだから覗いてみたら……チャル、あなたはまた勝手に外に出たのね。いけない子」


 寝転がったまま「にーう」と鳴く姿は「ごめんなさーい」と言っているようだった。たまらず僕ら三人はくすりと笑い、そしてドアは内側に開かれた。


「もし良かったらお店で休んで行ってください。この子たちもちょうど暇をしていたところですし、今日は底冷えする日です。暖かいお茶で良ければサービスしますよ」


 嬉しい申し出にも関わらず、僕らはすぐに返事をすることはできない。なぜなら開かれた戸口の向こうに可愛らしい猫たちがずらりと並び「だれだ」「知らないやつがいるぞ」「怪しいやつめ」と好奇心たっぷりの瞳で覗いていたからだ。



 品のある調度品と、窓辺に飾られた猫を模した小物。それらを眺めていると、入り口のあたりに「薪猫カフェ」という木彫りの看板があることに気づく。


 ここは都内にある猫カフェなる場所だ。

 たくさんの猫たちに囲まれながら過ごす場であり、都内ではそのような「癒し」を求めている人がたくさんいる。ストレス社会だからこそ、と言いたいところだけど実際はあそこで立ち尽くしているエルフさんのように、単なる猫好きなだけの人が大半だ。


「な、なんてことかしら。まさか楽園(エデン)が実在するだなんて……」


 う、うん。向こうの世界の人たちの信じている楽園(エデン)がもしもここだとしたら、都内だけでも数え切れないほど存在していそうだね。

 一方の新参者である黒猫はというと、先ほどの婦人に「君はこっち」と手慣れた様子で、ひょいと抱き上げられていた。


「ん、綺麗にしてあげようと思ったけど、毛並みがすごく綺麗。それに……んー、いい匂い。あなたは美人さんだし、ここの子たちにもモテそうね」


 ぜんぜん嬉しくない、と言うように黒猫は呆れの顔をする。猫なので些細な表情の変化に過ぎなったが、しかし婦人はそれに気づいたのかじっと黒猫を見つめる。陶芸品を観察するように右から左から眺められて、黒猫はそっと視線を逸らしていた。


「……まあいいわ。お二人とも、そちらに掛けてお待ちください。ここは一応お店なので、外から帰ってきた猫たちは綺麗にしないといけない決まりなんです」

「あ、わざわざ済みません。お風呂好きな子なので、洗うのは脚だけで大丈夫だと思います」


 にこっと婦人が上品に笑うと、笑い慣れていると分かる皺の形だと気づく。最後に「ごゆっくり」と言ってお店の奥に姿を消すと、それを待っていたように足元にわらわらと猫たちが寄ってきた。


 わっ、人懐っこいぞ。見ればマリーは僕以上に取り囲まれており、あちこち身体をこすりつけられている。だけどマリーは背を向けたまま動けない。たくさんの猫以上に驚くべきことがあったからだ。


「あったかーーいっ!」


 板張りの間の奥にあったのは黒い真鍮製の薪ストーブであり、火による優しい温もりが伝わってくる。背面や底にレンガを並べているのは、きっと熱対策のためだろう。また周囲を覆う柵は猫避け用だ。

 靴を脱いで上がると、冷たかった足は板張りの床によってあっという間に温まる。ぽかぽかとした温もりに包まれながら、少女は驚いた顔で振り返る。


「どういうことかしら、日本に暖炉があるわ!」

「あ、耐熱ガラスを使った薪ストーブか。北国だと使っている家も多いし、やっぱり暖かいよね。遠赤外線だから身体の芯まで暖まるし。そうか、だから薫子さんはこの店を教えてくれたのか」

「日本の家はどこもすごく狭いのに、どうして暖炉なんて置けるのかしら?」


 そりゃあまあ、煙突の設置や耐熱ガラスを使うといった改良をしたからであって……。あ、そうか。向こうの世界では寒さが厳しい地域であればどこにでもある代物だけど、東京だとなかなか見かけないもんね。

 などと説明をするたびに少女はうんうんと頷く。そして「ちょっと座りますよ」と周囲に声をかけてから、そろそろとした動きで床の間に座ると……。


「うあー、あんなに冷えていた腰が温まるー」


 にゃんにゃんたちまで寄ってくると、エルフ族にとっての幸福度はさらに高まる。ぎゅっぎゅっと肉球で太ももを押してくるのは「ボクここで寝るね」という合図であり、寒空の下にいたときとは異なるにっこり笑顔をマリーは浮かべる。

 ふわふわのお腹の毛を撫でながら、しかし少女の表情は苦悩に歪む。


「駄目よ。絶対に許されないわ。こんな幸せな場所を知ってしまったら住みたくて仕方なくなるじゃない。いらっしゃい、私が一匹ずつ寝かしつけてあげるわ」


 がおーと彼女が言うと、にゃおーと猫たちは鳴き返す。そうして首まわりや耳の付け根をマッサージしているときに、ことんと背後で音がした。振り返ると先ほどの婦人がテーブルに温かい飲み物を置いてくれる音だった。


「ふふ、うちの子たちがすっかり気を許していますね。黒猫ちゃんも小さいのに大人しく洗われてくれて、すごく頭の良さそうな子でしたよ」


 当のウリドラも駆けてくると、マリーと同様に薪ストーブを眺めて瞳を輝かせる。あったけえと言いたそうな表情であり、うろうろと周囲を歩き回る様はまるで小さなライオンみたいだった。さてはまたなにかを企んでいるな、と思いつつも飲み物に手を伸ばす。


 ふわんと香るのはダージリンで、確かこれは冬に作られる紅茶だったなと思い出す。じっと寒さに耐えたぶん濃厚でやわらかい口当たりをしているのだとか。

 ありがたく温かいお茶を飲み、それから婦人に頭を下げる。


「ありがとうございます、美味しいです。それと暖炉のあるお店なんて珍しいですね。やっぱり管理は大変ですか?」

「ええ、そうですね。薪がいるし煙突の掃除もいるし、でも主人はこういうのが好きなんです。このお店も定年後の趣味みたいなものですから」


 時間だけはたっぷりあるんです、と言ってまた夫人はにっこりと笑う。膝元に数匹の猫を乗せて、いじりだす様子はやはり楽しそうだった。その彼女はふと暖炉を眺めてから苦笑する。


「でもやっぱりこの暖かさを知ると、文句なんて言えません」


 そんな笑顔に釣られて僕らも笑った。年老いても素敵な笑顔の持ち主だなと思う。もしかしたら人懐っこいあの猫たちは、彼女に接していたからこんな性格になったのかもしれない。


 気ままな猫たちは奔放にあちこちに寝そべり、暖かい暖炉を満喫して過ごす。いや、それは起きている子たちをマリーが寝かしつけているからだった。お昼を待たずに一匹残らず眠りこけることになり、また最後にはマリーまでうたた寝をしてしまい、薪猫カフェなるお店には安らかな時間が流れた。


 まあね、僕だけはこういうときに眠ってはいけないんだけど。お腹の上ではゴロゴロという喉鳴らしの音が響いており、こちらの眠気をいやおうなく誘う困った子だ。

 ふむと唸り、近くで丸まっていた黒猫に手を伸ばす。隙ありとばかりにやわらかいお腹を撫でると、かぷっとウリドラに甘噛みされた。



     §



 どさっと僕のカバンが床に落ちる。

 背筋を冷たい汗が流れてゆくし、目を見開いてもいる。

 なぜ僕が会社から帰宅するなり驚愕しているのかというと、マリーとウリドラが家具の配置を変えていたからだ。テーブルの位置はベッド寄りになり、また境目の役割があった棚がどこに消えたのかは分からない。しかし僕が驚いたのはそこじゃない。


「あ、あの、それはどうしたの?」


 震えた声で問いかけると、ようやく僕の帰宅に気づいたらしく二人は振り返る。おかえりなさいと言い、僕の指さす方向に二人そろって顔を向けた。


「どうしたって……買うお金はないし、もちろん作ったに決まっているでしょう?」

「作ったって、薪ストーブを!?」

「ふ、ふ、類まれなる魔生誕(クリエイト)の技能を持つわしにとって、生み出せぬものなどひとつもない。と言いたいところじゃが、この世界は制約が極めて多い。多少ながら骨の折れる作業じゃったぞ」


 そう黒髪の女性は言い、首に手を当てながらコキンと鳴らす。しかし彼女は新たな物を生み出すのが大好きな竜人なので、職人とよく似た満足そうな表情をしていた。


「うあ、本当に薪ストーブを作っちゃったんだ」


 ぐらりと視界が揺れるほど動揺したのは当然だ。排煙用の筒が伸びている先は窓であり、壁に穴を開けないという最低限の配慮はしてくれている。しかしそこから煙が出たとしたらご近所だけでなくマンションの管理人からも苦情がくるに違いない。

 気づいたら床にうずくまっていたし、これから寄せられるであろう数々の苦情を思って大きなため息を吐く。


「あ、あんなにマンションに暖炉を置いたら駄目だと言ったのに」


 なんとなく嫌な予感はしたんだ。黒猫のときに興味津々だったし、だから何度となく注意をした。笑顔で「絶対にやめてね」と僕はしつこいくらい訴えたんだ。

 うずくまる僕を見かねてか、竜人の女性は黒髪を揺らしながら一歩ずつ近づいてくる。長時間の作業をしていたためか髪の毛を束ねており、しゃがみ込みと肩をぽんと叩いてきた。


「のう、北瀬よ。確かに暖炉で火を焚けば、管理者や周囲の者に怒られるのは道理じゃろう。しかし燃やさなければ、あれは単なる調度品に過ぎぬ」

「……どういう意味かな?」


 にこりと笑いかけてくる表情は、ふとだれかを思い出す。そうだ、先日訪れた猫カフェの婦人だ。いつの間にウリドラは笑顔の似合う人になったのだろうと、僕はこの場と関係のないことを思う。

 おいでおいでと黒髪美女に招かれて部屋の角まで連れていかれる。言うまでもなく薪ストーブの置かれている場所であり、エルフ族の少女も隣に並んでくれた。


「禁じられたことはしないわ。でないとあなたに迷惑がかかるでしょう? だからウリドラと考えたのよ」

「……考えたって、つまりなにをかな?」

「もちろん冬を暖かく快適に過ごす方法を、よ。ほら、怒らないで。私、あなたの優しい雰囲気が好きだから、はやく答えを言わせて」


 おや、どうやら僕は怒っていたらしい。言われてみると普段より呼吸が早いし、考えにいつもの柔軟性がなかった気もする。

 すーはーと深呼吸することしばし、僕は普段通りの声で「じゃあ答えを教えてもらえるかい?」と問いかけた。

 そのときに浮かべたマリーの笑みも、出会ったときよりずっとやわらかいものだと気づく。春から冬まで一緒に過ごしているうちに、彼女たちは実は変化していた。口調などではなく雰囲気が。


 数千年、かたや百余年もの歳月を生きているというのに、たったの一年足らずで変化をしたのは不思議だ。さて、それはなぜなのか。

 疑問の答えが出る前に、僕の部屋にも変化が生じる。ぐるんと回転をして宙から現れたのは、ずんぐりとした体形の火とかげだ。もしかしたらいまの回転は、彼が恰好つけようとしたのかもしれない。したたかに腰を打ちつけてしまい、マリーは「あらあら大変」と言いながら火とかげの腰を撫でた。


「やあ、あいかわらず騒々しいね。君はどこか他の精霊と違う気がするけれど、それは僕の気のせいなのかな?」


 ゴマ粒のような小さな目をぱちぱちさせて、支えを借りながら起き上がる。トカゲのような身体でありながら全身ずんぐりとしており、どこか第二階層にいる野菜の大好きなリザードマンを連想させる。その彼の頭を、ぽんとウリドラが叩く。


「おぬしの知っている通り、魔導士とは目的を達するために手段を探るという役割を担っておる。この場合、目的とはわしらの家だけは冬であろうと暖かく過ごすことじゃろう」

「見ていて頂戴。そんなバカな、と思うことだって実は手段さえ分かれば簡単にできてしまうのよ」


 そこから先は僕の予想と少し違っていた。

 先ほどの暖炉の入口を開けて火とかげが入り、尻尾がつかえてじたばたともがく。しばし二人は「設計ミスかのう」「秋から冬にかけて太りやすいのよ」などとやり取りをして、少々のグダつきはあったものの火とかげはすぽりと暖炉に収まった。


「えーと、どういうことかな?」

「つまり、この子さえきちんと逃げ出さないようにすれば薪はいらないの。夏場に作ったクーラーよりもずっとずっと簡単。ただ火とかげの覆いを用意すれば済んでしまうのよ。ね、彼が見ているからがんばって」


 腕枕をして寝そべる火とかげは、フンスと小さな鼻で息をすると全身に炎をまとう。かすかな熱を肌で感じて、だんだん暖かくなってゆく様子に僕は戸惑った。


「薪を使わない薪ストーブ!? ま、まさか、つまりこれがあれば……」

「そう、そのまさかよ。光熱費ゼロ円で、私たちだけは冬でも温かく過ごせてしまうのよ。夏場でも涼しく過ごしたようにね」

「つ、つまり、甘くてホクホクの焼き芋や、ほろほろにやわらかい煮込み料理を好きなだけ作れるということだね!」


 ぱちんと瞳を見開いたのは幻想世界の住人たちだった。

 マリーとウリドラが顔を見合わせると、すぐさま「買い物に行こうではないか!」「行きましょう!」と頷き合う。この瞬間、先ほどウリドラが口にした「目的」とやらも綺麗さっぱりと忘れ去られてしまったけれど、僕らは一人たりとも気づけない。


 きゃあきゃあと騒々しくもスーパーに向かうに、火とかげは大きなあくびをして見送った。もしかしたら彼にとって今年の冬は、例年になくとても騒々しいものになるかもしれない。

本日「日本へようこそエルフさん」第6巻の発売日です。

Web版よりもずっと楽しくなっておりますので、ぜひぜひお財布の紐を緩めてあげてくださいね。

※今回は電子書籍のみの取り扱いとなりますのでご注意ください。

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日本へようこそエルフさん、第7巻がHJノベルスより発売中!
改稿・加筆などなど、Web版では見れなかったあれやこれやをお楽しみいただけます。
↓クリックすると特設ページへ。
日本へようこそエルフさん7巻

エルフさんコミカライズも5巻発売中。
半妖精エルフ族、マリアーベルの可愛さ大爆発!必見です!
↓クリックするとコミックファイアへ。
日本へようこそエルフさんコミカライズ1巻

2巻発売&コミカライズ連載中の「気ままに東京サバイブ」もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
火トカゲの日常で活用する話は何回か出る度に意外な使い方みたいに出るけどエルフの里でみんな普通に使っていたのを考えると意外と言う反応より、懐かしいとかそう言えばこの手があったねみたいな反応の方が自然にな…
[良い点] 面白かった。 ほっこり。
[一言] となると排煙用の筒は排煙用ではなく他の用途、例えば排熱とか、火の精霊への空気供給とか、そんな感じの用途なのかな? 白いねこです。 ここはネコ喫茶です。 これからよろしくお願いします。 住所…
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