変化
もはや「ほのぼの」じゃない気がする・・・
「ふん・・こんなもの・・」
豪鬼が刀で一つの火球をはじく。
ガンっ!!
「なに?」
はじかれた火球は豪鬼のまわりに出ている「四方陣」の一つにあたり、また豪鬼めがけてとんでいった。「四方陣」は使用者のレベルに応じて耐久度に差が出る。レベルが高ければ耐久度もたかくなり、レベルが低ければ、耐久度も低くなる。ミコトのレベルは85でそれなりに高いので、かなりの時間この状況がたもてる。それが作戦である。
「しかし・・・」
「ダンス・フレア」はかく乱用の特技である。ダメージはそれほど高くはない。
「さて・・そろそろかな・・」
そうつぶやき、右手を挙げた。ミコトへの合図だ。
ミコトは小さくうなずき、
「四方陣!解除!」
その瞬間、豪鬼のまわりにあった「四方陣」が全て消え去った。
「な!?」
次に跳ね返ってくるであろうと予測していた火球が飛んでこなかったため、一瞬だが、豪鬼は体制を崩してしまう。
「そいつをまってた!おおっ!「キル・ポイント」!!」
「キル・ポイント」相手の急所、いわゆる弱点がわかるスキルである。ゲームのときは、ボスモンスターには使えなかったが、今は関係あるまい。
(こいつの弱点は・・・頭の角か)
ちなみに、このスキルはかなり入手しずらく、あまり使わないため、過去の自分に絶賛感謝中のけんである。
ばきぃぃぃ!!
けんの剣、「破壊斬」がもろに豪鬼の角に入る。
「なっ!貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
豪鬼が激昂する。鬼にとって角は大切なようだ。
「貴様らぁぁぁ・・ゆるさんぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
その瞬間、豪鬼の体がかわった。人の形はしているが、腕が4本になり、おられた角は再生し、髪のように後ろにのびている。そしてその表情は、敵を殺すこと以外考えていないように、邪悪にゆがんでいた。
(これは・・HP減少で起こる「行動パターンの変化」か・・・)
「な・・・なんてことなの・・」
「なにがだ?」
「い・・いえ、たしかに「行動の変化」は妖撃隊のなかでも報告されています。ですがほとんど・・いえすべてが「逃げることを前提とした戦い方」になる。と報告されているんです・・・。
「つまりこの・・なんだ、行動が狂暴化したり、理性がなくなる、とかはないと」
「はい、まぁ調査されてないだけかもしれませんが・・」
「わかった。だがそんなこと言ってる場合じゃないぞ」
なんせ敵のレベルは・・「110」になっているのだから・・・。