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ヘンタイか

 翌日にはアリスはスッカリ元気になっていた。しっかりと発熱したせいか、セキも残らず、アッサリ完全回復。

 さっそく冒険者ギルドにやってきた。

 実はアト1つでCランク依頼50件達成。つまりCランク昇格試験を受ける資格を得られるのだ。


「じゃあ、サクっとコレでイイんじゃね?」

 アリスがハがした依頼書はゴブリン退治。もう10回以上は果たしてきた依頼だ。


「ゴブリンもズイブン倒したよなあ」


 マサヒコからも感慨深い言葉が出る。

 さすがにキングとはアレ以来戦っていないが、BランクのジェネラルやCランクのソルジャーとは何度も戦っている。

 本当にゴブリンは次から次へとワいてくる。


 フタリはさっそくゴブリン退治の依頼へと向かった。場所は駅馬車で1駅と近い。

 大した距離ではないため、ウルルンで移動した。

 ここ3日間部屋に閉じこもりっぱなしだったフタリにしてみれば、それも気晴らしのようなもの。

 さすがに風は冷たいため、フタリとも魔装顕現(マソーケンゲン)。レザーアーマーのマサヒコとバニーガールのアリスが、トラジマの巨大猫に跨(またが)って、スッカリ草の枯れた大地を疾走した。


 アリスは腰に回されたマサヒコの手に、ヒドく興奮した。なんというか、近いのだ。

 マサヒコの手の当たるところがジンワリと熱くなっていて。ウルルンの背中の振動もあいまって、とても、その、刺激的。


 揺れてマサヒコの手が下に下がった時など、思わず声が出そうになった。


 ヤバっ。ウチ、ヘンタイか? ヘンタイなのか?


 なんだか知らないが、看病されて以来、マサヒコとのスキンシップに体が敏感になったアリスであった。


 一方、マサヒコはアリスが寝込んでいた間、お世話しまくっていたオカゲで、スキンシップにもスッカリ慣れた。彼女とフタリでタンデムを楽しむ余裕がある。


「気持ちイイね」

 前に座るアリスの耳元に囁(ささや)く。別にエッチな意味合いはない。ただ、風を切って疾走する爽快感を楽しんでいるのだ。


「えっ、えっ、あっ、ウン」

 アリスは自身の淫靡(いんび)な状況を悟られた気がして、ヒドくアワてた。


「このままアリスと、ずっと一緒に走っていたいよ」


 だから、オメーはホストかよ。

 心の中で突っ込むアリス。だが、それは快楽へのあえない抵抗。耳元で、気持ちイイ、とか囁(ささや)かれ、直後に甘い言葉を言われ、もう、いろいろヤバイのだ。


 もう、早くついてよぉ。

 …………いや、ヤッパもうちょっとこのままで。


 依頼くれた村に到着した頃にはアリスはヒトリぐったりしていた。

 マサヒコは病み上がりで疲れたタメだろうと思った。


「ゴブリン退治、俺だけでヤってこようか?」

 心配げな顔でマサヒコが言った。


「ウウン。大丈夫。別に疲れたとかじゃないし」


「でも、なんか顔が赤いよ」


「コ、コレはその……ナンカ熱くて?」


「えっ、そう?」


「そうそう。マジ、大丈夫だから」


 さっそく村長から依頼の詳細を聞いた。

 近くの林にゴブリンが住み着いたから倒してほしいとのこと。


「どっから来んの。ゴブリンとかさ」

 アリスが不思議そうに首をカシげる。


「それは【魔界】からでしょ」


「はっ? マカイ、ナニそれ?」


「えーと、この世界には表の世界と裏の世界があるんだってさ。で、ここが表の世界。【魔界】が裏の世界。で、ときどき、【魔界】からコッチの世界に穴が空いて、ソコから魔物が来るらしいよ。穴はすぐ閉じちゃうらしいんだけどね」


「そーいうコト?」


「ウン、そーいうコト。で、魔交歴(マコーレキ)ってのは、この世界に魔界の軍団が攻めてきた年から始まってるんだって。その【魔界】の軍団を率いてたのが【魔王】で、ソレは『勇者』と『聖女』に倒されたんだってさ。あっ、つまり森本君と榊原さんね」


「あのフタリが世の中のタメとか、絶対なくね?」


「だね」


 マサヒコは陰キャだから表面的にしか知らないが、アリスはどちらのコトもそれなりに知っている。その上で、両方、間違いなくクズだと断言できる。


「とにかく、その魔王軍の侵攻のせいで、穴が空きやすくなったらしいよ」


 このあたりは本で得た知識だ。


 フタリはゴブリンが現れたという林に向かった。その間に魔物の中でも『穴』を通って来やすい魔物とそうでない魔物がいるコトを説明する。


 途中でアリスの足がピタリと止まった。

「こっからで行けそー」


「じゃあ、お願い」


「アーイ。任せて」

 言ってアリスは弓矢を顕現させた。


 今やお馴染みとなったハートの矢。バニーガールでソレを使うのは一周回って違和感がない。


 アリスが5本の矢を一気にツガえた。

 それを放つ。


 山なりの軌道を描いて5矢は林へと落ちていった。

【魔物レーダー】を見ていたマサヒコは、5つの光点が消えたことを確認。


「命中。さすが」


 すでにその時にはアリスは次の5矢をツガえていた。また5矢が放たれる。

 一度天に上ったそれが、重力に引かれて落下していく。さながら流れ星のようだった。


 チナミにアリスは【流星群(リューセーグン)】という矢が散弾のように多数の礫(つぶて)となって攻撃するスキルも持っている。その範囲攻撃をすれば敵が多数いるような場合にはカナリ効果がある。

 ただ、アリスはあまりそういう範囲攻撃は好きではない。


「だって。木とか動物とか、巻き込んでカワイそーじゃん」


 アリスは次々と矢を放つ。一度に5体減っていくので、【魔物レーダー】の光点がすべてなくなるのも、あっという間であった。


「オツカレ。アリス、スゴすぎじゃん」

 あまりにも一方的な攻撃。ヒョットして射手最強では、などと思ってしまう。


「ゴブリンだし。マサヒコだって、ヤレばすぐ終わったじゃん」


「敵の索敵外からってのが、スゴいんだよ」


「まっ、ウチも慣れてきたし?」


 とにもかくにもコレでCランク依頼50件達成。アトは昇格試験を受けるのみ。


「じゃあ、もう、今日、受けちゃうか? 昇格試験」


 マサヒコの言葉にアリスが、「モチっ」と応じる。


 フタリは村長にゴブリン殲滅(せんめつ)を報告すると、ソソクサと村をアトにした。行きと同じようにウルルンに乗っていく。

 やはりアリスはマサヒコに後ろ抱きされて、押し寄せてくる快楽の波に酔った。


 ヤバいって、コレ。クセになるからぁ。

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