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月をなくした街 最終章その3  悔恨のちの決意

夢を見ていた。

もしあの時ああだったらという夢

酷くむなしい。


それが意味のないこととわかっているからか

ネガティブなイメージしか湧いてこない。

人肉に錬成される来栖。

発狂して僕を殺そうとするキョウヤ。

自殺する春雪。

拳銃で撃たれる僕。


そして何度も何度も世界を作り直す力を使う僕。


これは夢か?と思う。

あまりのリアリティに困惑してる

けど、夢だ

世界を作り替える力なんて持ってない。


どこかの世界にいたかもしれない僕。

でもその可能性を考えるのは無駄だ。


僕は知っている

結局どんなに理不尽な結果で終わろうとも

僕には

世界を巻き戻すことはできない。

自分のできない事を考えていても進展することはない。


だけど、考えてしまうのはきっと

来栖がさらわれたからなんだろう。


___________________

目覚めた。

動く気にならない。


「ええ、そうです」

「兄貴久しぶり」

外から声が聞こえる

何も聞きたくなかった。


「リョウト君、学校についたよ?」

トキヤが車外から僕に話してくる。


「なんで黙ってるんだい?」


「ねえ、たしかに来栖さんはさらわれたけど」

けど……?「けど」なんだ?続く言葉によっては殴り飛ばそうと決めた。

「助ければいいんだよ」

「無理だよ……」

つい、返事をした

自分がこんなに疲れた声出せるのかの驚く。

雑巾を絞るように声は出る

「……八代の力は僕より強いんだ」


どうにか言い切った。


車内の空気がどんよりしてる。


来栖がいないから。


誰も何も言わない。


トキヤだけが話してる。

「今、僕等は学校にいるんだ君の指示に従ってね

まあ元の目的はここで暮らすことだったけど……

ここは今色んな人の共同生活場になってる

八代のことを知っている人や超能力の使い方に詳しい人がいるかもしれない」


たしかに周りの景色はいつもと違う、学校の駐車場。

車外、遠くで桜木さんが兄と再会してる。


しかしトキヤのセリフは

都合のいい

希望的な観測

ああ、そうですかその希望に縋ってここにきたんですか。

そう思ったらつい

「多少知識をつけた程度で。

何か変わるわけでもないだろうに」

声に出てた。


ライムが座席から立ち上がり僕をにらみながら言う。

ふざけた口調

「リョウト氏!激おこでぞ我

そんなあなた来栖にふさわしく無し」

ふざけた声。


それにつられかのように

キョウヤはぼそぼそ呟いた。

「俺は街の狂気を止めたい、それは人を救うってことだ」


春雪が僕の肩に手をかけて言う。

「私のこと助けてくれたじゃないっスか!来栖さんも助けるっス!」

まっすぐな瞳。

見ていると自分が惨めに感じるほど。


でも、その瞳には優しさがある。


春雪はじっと僕を見つめてくる。


そうしたらだんだんと、心の中のエンジンがかかってきた。


熱が


あの時、僕の中の僕と対峙したときのような熱が。


戻ってきて


思う

悔恨してる場合か?と

いいや、まだ後悔するには早すぎるだろ。と。


そうだ、これまで僕は

今まで何度も何度も苦難にあってきたろ痛みに叫んだろ。

僕は、僕は。


どんなにちっぽけな抵抗しかできなくとも

もう一回理不尽に立ち向かうだけだろ!!!!


車のドアに手を伸ばす

開ける

外に出て閉める。

皆に、にやりと笑顔を見せた。

もうちょっと勢いよくやったほうが決意表明になるかと思ったけど

でも、ドアに乱暴したくないし。


そしてにやり笑いをやめると

「リョウト、お前はこれまで頑張ってきたろ?」

車の外にいた

桜木さんが今の僕にそれを言う、

でももう遅い、タイミングの悪さに苦笑してしまった。

決意する前に行ってくれれば凄い良かったんだけどね。


でもありがとう桜木さん。

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