↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/47

26・7 来栖の知らないライムとライムの知ってるライム

来栖とライムの出会いは中学生の頃。


だから、この話は彼女の中学の頃。


_あいつホントに女か?__

_来栖?__

_身長めっちゃ高いし、スポーツ万能__

_でも、あそこまで行くとちょっと引くよね_

_なんというか__

_気持ち悪いよな_


来栖は、不思議だった。

陰口というのは、隠れてやるもので

本人のいないところでやるものだろう?

なぜ聞こえるところでやるのだろう?


正直、来栖はそういったものに慣れていた。

中学生だけでなく、小学生の頃から言われていた言葉だ。

「気持ち悪い」と。


理解ができない、自分と違い過ぎる。

そんなものがあるとき、ほとんどの人は恐怖や嫌悪を覚える。

だが、それはほとんどの時だ。


つまり、ほとんどでない者ならば。


「フヒ、どもども、ワテくし、ライムでがす。DQNネームっぽいですし、おすし」

その少女は、その少数派であった。

来栖に親しみを覚えるマイノリティ


「ああ、何か用?」

「ワタシと貴方、多数から、外れた者」

「なんだ?つまり何が言いたい?」

「仲間、友達、知り合い以上!」

ライムはラップのように話すが

来栖はさらりと流す。


来栖とライムは、それから急速に仲が良くなっていった。

弁当を一緒に食べたり

カラオケに行ったり

ゲームしたり

勉強を教えあったり

_勉強は何気にライムのほうが出来た、来栖が頭悪いのでなく

ライムがほぼ全教科テストで満点なのだ_


そんな風に、普通じゃないことが

普通の二人の友情はどんどん深まっていった。

高身長、化け物のような身体能力、存在自体の威圧感を持つ来栖。

異様な話し方、精神、あきらかにどこか壊れてるライム。


よく気味悪がられる二人の信頼は強い。


そして、リョウトとともに来栖がデブ男と戦い

来栖は、短いようで長い戦いをさせらることになっても。


ライムが命の危険がある戦いについて来たのは来栖のためだ

来栖はそれを受け入れるべきでないと思った。

ライムは関係ない、危険にさらされる必要がない。


だが、自分がライムが命を狙われていたらどうするか考えた。

そしたら、どうせどうあろうとライムのために命賭けて頑張ると答えが出た。


じゃあ、どうせやるなら一緒にやるべきだ、と思った。


だから、ライムはついて来た。

来栖に。


そして、今。

ライムが持っていた秘密が、来栖に語られる。


「なんで、ずっとあんな口調で話してたんだ?」

「そうするしかなかったから」

来栖は血なまぐさい光景を見ないようにしながら

抱きしめたままライムにたずねる。

顔を見合わせる気になれなかった。


ホントに彼女は、ライムなのか?と、怖かった。


「来栖、ごめんね、殺しちゃった」

「え……?」

「だって、人殺しを許せる人じゃないでしょ?」


そういわれて、二つのことに気づく。

彼女は、ライムだ

その優しさは。

そして、もう一つ。

いつの間にか、人が死ぬことに来栖は疑問を思わなくなっている。


「おどろいた?私のこと、全然知らないんだから」

ライムの言葉は責めているのではない。


ただ、言いたいことを絞り出してるだけ。

必死で伝えられる時に伝えようとしているだけ。


「私は、昔っからこう

強い超能力と引き換えに、正気を失った」

「今は、まともに思考できてるし、話せてるじゃないか?」

「きっと、二時間くらいで、私はまた戻るの、これはそういうことなの」


どういうことだ。

来栖は、聞こうとした。

が、聞く前にライムは語る。


「なんで、超能力が使えるかわかる?」

「わかるわけ、ないだろう、使ったことないのに」

「深層意識で、皆繋がっているって話があるわね?」

「ああ、集合的無意識だっけ?」

「そうそれ、私はその無意識が木で、人間が葉っぱみたいなものと思う」


来栖は黙った。

ライムの話の邪魔をしてはいけないと思ったからだ。

「そして、超能力というものは、その無意識にアクセスすることで行う」

「アクセスして、他の人や自分に認識をあたえる、それがそうだという」

「例をあげるわね、リョウトのサイコキネシス。

あれは、皆が『物が浮かんだりブンブン飛んだりしてる』という認識を与えられているの」


不思議そうな来栖の顔を見て、ライムが補足した。

「それは、幻覚とかの類って思ってる?いいえそうじゃない」

「認識が世界を形作る」

「この世界は、それぞれの認識で出来る」

「その認識を勝手に変えるのが超能力」


「腦からアクセスして、他の人の脳に影響を及ぼす」

「つまり、脳をありえないほど酷使してるの」


徐々に、声が小さくなっていく。

「腦が、ダメージを、受けてる」


「……え?」


ライムが、来栖の顔を見て補足。

「ああ、大丈夫普通の人は、脳に深刻な障害が残るほど

の強い力がそもそも使えないから」

「ただ、私は使えてしまった、だからあんな体質になった

ずっと酒に酔っててたまにしらふに戻るような」


ライムは、いったん話しを区切ろう

と数秒沈黙。

そしてまた、話始める。


「長い話を聞いてくれてありがとう」

「なんで、話すかってゆうと」

「誰かに理解して欲しかったから」

「でも、来栖がわかってくれるなら、もうそれで充分」


来栖は、ライムの顔を見た。

満足している。


「ね、来栖はリョウトのこと好き?」

来栖は返答しなかった。

いや、出来なかった。

自分でもリョウトに抱く感情が、どういうものか理解できていないから。

そして、ライムが何を言いたいのかよくわからなかったから。

「来栖、私はあなたが幸せならそれでいいから」


情熱的な音楽が鳴る。

来栖のスマホの着信音だ。

リョウトからの電話で、一緒に会おうとかそんな内容。

一方的に話してきて一方的に切られた。


「どうしよう?」

来栖は迷っていた、リョウトのことがわからないから。

しかしライムは

「あなたは、リョウトと会うべきよ、そして、幸せになってね……」


来栖は、決意した。

ライムの言葉があったから。

そうだ、迷う必要は無い。

相手のことがわからなくて不安なんて当然なんだ。

初対面の時に戻ったようなだけだ。


だから、来栖は立ち上がった。



皆の車に帰ると

「フヒヒ、草でありますのな」

ライムは元に戻っていた。

来栖は、このライムと先ほどのライム、どちらが本物なのかと思い

どちらも、本物でいいか

そう感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。