私と友前(却下案)
評価、お気に入り、ありがとうございましたm(_ _)m感謝感激です。
続編というか、後日談。
特に進展なしです。
ただ、グダクダしてるだけとも言う。
そんなので良ければ読んで下さい。
私と友前くんが友達になって数日。
特にこれといった変化もない。しいて言えば、話す回数が増えたくらいか。
友前くんが目覚めている時だけだから、そんなに回数はないから、周りは気づいてない、はず。
席が隣の間は特に一緒にいる必要もないし、夏休みからかな、私の出番は。
「おー山本。何してんの?」
放課後、教室で勉強していると、友前くんがやってきた。
よく一緒にいる時任くんもいないし、女の子もいない。珍しい。
時期は夏休み前。つまり、テストが近い。よって、テスト勉強してるだけだけど、なにか?
きっと、頭のいい友前くんには、縁遠い話なんでしょう、けっ。
教室にはテスト前で部活も休止になっているため、私以外のクラスメイトも数人勉強している。なので、邪魔にならないような小声で聞いてきた彼に、そういう気遣いもできるんだねーと思ったのは内緒。
「見てわからない?勉強」
「ふーん。じゃあ、俺もしよっかな」
「えっ、勉強するの?」
びっくりした。なんとなく、イケメンは勉強しないでも頭がいい生き物だと思っていたよ。
「したら、悪いか?」
私の言外の言葉が聞こえてはないだろうけど、表情に出ていたのだろう。不機嫌になってしまった。
ちっちゃ、人間ちっちゃー。自分を棚にあげて思う。人間ってそんなもんよね。
「ってか、最近授業中寝てばっかだから、勉強しねえとやばい気がする」
そうだったね。いつも寝てるもんね。最近先生の目も厳しくなってるよ。
今回の席替えまでは真面目に聞いていたから、先生も気づいてなかったみたいだけど、こうも毎回だと、さすがにばれだしてるからね。
席替えしてからだと気づかれてたら、私が何かしてると思われそうで、ちょっと戦々恐々としている(ある意味それが正解だけれども)。
「家でするより山本の隣のほうがはかどるしな」
さらっとこのセリフ。うん、言いたいことはわかるけど、そういう誤解を招きそうな発言は控えようか。もし誰かに聞かれたら、私はきっと大変なことになる。
あんだけ寝たら、睡眠もバッチリだろうし、頭もスッキリ。さぞかしはかどるだろうね。
「せっかくだし、教えてやろうか」
思いついたように聞いてくる。
「授業中寝てた人に教わることってある?」
「一桁順位なめんなよ」
ちょっと、皮肉を飛ばしたら、余裕の顔で反撃をくらった。
「そういや、せっかく友達になったわけだし、友達らしくあだ名で呼んでみるか?」
数十分後、友前くんは唐突に話しかけてきた。内容も唐突、脈絡なし。
数人残っていたクラスメイトも、友前くんが席について勉強を始めると、気になるのかちらちら伺い、集中できなくなってしまったようで、場所を移したか、帰ったか、とりあえずいなくなってしまった。
私もその流れで数日前なら帰ったけど、今は事情が違う。意外と話しやすいってことも知ってるしね。
「友前くん集中力なさすぎ」
話しかけてきた内容よりも、そのことを問い詰めたい。勉強できる癖に、集中力ないとは、これいかに?
「よく考えてみるとさ、俺日々の予習復習欠かさないから、そんなに勉強することなかった」
意外と真面目なんだね。そして、耳が痛い。
それでもあんだけ寝てても内容理解できてるんだね。すごいね。
腹は立つけど、授業中起きてるのに、内職してることもあったり、予習復習してない私よりもずっとちゃんと勉強しているので、何も言えない。
「別に今のままで困らないんだけど」
言えないので、先ほどの話題に戻る。
戻りながらも、数学の問題に目を通す。図形苦手。
「俺も困りはしてないな。でも、山本とは末永い付き合いになる可能性が高いわけだし」
また、はたから聞かれたら誤解されそうなことを・・・。
たしかに、友前くんの体質を考えると、その可能性は大いにある、というか、改善されないか、何か新しい突破口が見つからない限りは、長い付き合いに絶対になる。
でも、それがあだ名で呼ぶことにつながるか?
その旨を伝えると、
「形から入るっていうのもありだと思う」
友達になってまだ数日。お互いにそのことに慣れ、より親しくなるための一歩として、今までと違う変化をつけようというのは、理にかなっている気がする。
でも、あの友前彬をあだ名で?ないわー。
「ないわー」
口に出してしまった。
「いや、なくないけども。ちょっと、周りからの目が気になるかなって」
注目度ナンバーワンの友前くんとあだ名で呼び合うとか、恐ろしいんだけど。
友前くんが名字以外で、女子を呼んでるのも聞いたことないし、男子も、よく一緒にいる時任くんだけしか、下の名前で呼んでない。
小学生じゃあるまいし、まあそんなもんだろうと思うんだけど、そんな中で呼んだり、呼ばれたりするのは御免こうむりたい。
「別に付き合っているわけでもないし」
「そうだけども。他の人、あだ名で呼んでから言ってくれるかな。でも、罰ゲーム的なあだ名なら大丈夫かも」
みんな、冗談と思うだろうし。
あっ、でも冗談を言い合える仲だと思われたら困るから、だめか。
「それは俺が断わる。でも気になるから聞くけど例えば?」
断わられなくても、却下したよ。今心の中で。
考えてはなかったけどもそう言うのなら、考えましょう。
「プリンスとか」
なかなか難しいので、実際に呼ばれてるので、私的に罰ゲームだなと感じたものを引き合いにだす。これは、一年生の間での通称であると聞いた。頭に孤高のとつく場合もあるらしい。これを聞いた時は思わず笑ってしまった。
だって、友前くんが、王子様パンツはいてるとこ想像したら、かなりうける。顔がいいだけに滑稽だと思わない?私の王子様が古いということは言わない約束。
「それないな」
実際呼ばれてるけどな!!
「ないよね」
知らない方が幸せだと思うから言ーわないっ、と。決して陰で楽しんでるわけではない。
「じゃあさ、私は友前と呼び捨てにする。で、そっちは山本さんと呼ぶ」
我ながらさえてる。これなら、なくはない。
風格ある友前くんを呼び捨てにするのには勇気がいるけど、眼鏡かけているのが友前くん、かけてないのは友前(笑)と思えば、全然いける。
「なんかそっちがやたら偉そうに聞こえるな」
私がいきなり友前くんを呼びすてに、逆に私がさん付けで呼ばれてたら、ギョッとするよね。なんか、私が弱味握って無理矢理従わせているとか言われそう。これも、なしか。
二人とも代案を考えているせいか、沈黙がおりる。フランス風に言えば、天使が通る。
そして、チャイムが鳴る。
顔を見合わせ、頷き合った後、
「保留でいっか」
「保留だな」
今更ながら
友前くんは「ともさき」と読みます。
もっともらしいことを言って、あだ名を提案した彼ですが、実際は暇だったので思いつきで話してただけ。だから、結局、保留ということに。
そのうち、変えようね。
私的には男女でお互いを呼び捨てで名字で呼んでいるのが好きです。
友達って、最初に呼び始めた名前を変えるのってなかなか大変ですよね。
結構仲いい友達の子を最初に「○○さん」って呼んでるから、今でもそう呼んでる子がいたりしますし。