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17 冒険者ギルド

 木々に遮られていた空が開け、風の匂いが変化する。

 なんだか、加工された木のいい香りがするわね。自然を感じる生木の香りもいいけど、こっちは落ち着くような感じがするのよね〜


 こちらの街は前の街とは違って街門などはなく、通行税も取られない。

 前回の街は商業で栄えた街で、人の出入りも多い。しかし、この街は林業で栄えているため、そこまで人が多く来るわけでもないためだ。


「やっぱり木造建築ばっかりね。統一感があって心地良いわ。」

「…そうですね。なんだかリラックスできる気がします。」

「するわけではないのね…」


 常に気を張っていたら疲れるだけなのに…

 まぁ、まだアルディシア王国領内だから、わからないこともないけれど。


「とりあえず、今日中にこの街を抜けるので観光している時間は殆どありませんよ。」

「…そうね。とりあえず八百屋を探しにいこうかしら。」

「あとは冒険者ギルドで換金ですね。」


 大通りを歩くと、やっぱり材木屋が立ち並んでいたり、体格の良い男性が多く歩いていたりする。きっと木こりなのね。


 そんな人々が多くいるなか、肩身が狭そうにある八百屋を発見する。

 適当にじゃがいもやキャベツ。にんじんなどの根菜を手に取り、店主に渡す。


「…合わせて銀貨4枚と、大銅貨6枚だ。」

「……少し高いのね。」

「そうでもしねぇと食っていけねぇのさ。ほら、あいつらって野菜より肉を食って体を作るからさ。」

「確かに、それなら納得ね。じゃあこれでどうぞ。」


 私は銀貨を5枚渡す。


「お釣りはいらないわ。」

「……いいのかい?」

「そんな大した額じゃないわ。それに、この野菜も美味しそうだし。」

「…ありがとうな。」

「お気になさらず。」


 そう言って、私は店を立ち去る。まぁ正直、大銅貨4枚なんてあってもなくてもほぼ変わらないもの。


「じゃあ次は冒険者ギルドにでもいこうかしら。」

「そうですね。冒険者証は私が持っていますので。」

「…あぁ、そうだったわ。冒険者じゃないと素材の購入に追加料金がかるのよね。」

「えぇ。」


 …ってか、レティの冒険者ランクっていくつなのかしら? そもそも、何年前のカードなの…?

 そのあたりちょっと気になるわね。





「換金お願いします。」

「では冒険者証の提示と、素材をこちらにどうぞ。」

「はい。」


 冒険者ギルドの受付につき、受付嬢に買取の依頼をした。

 …絶対レティ経験があるわね。スムーズすぎるわ。


 レティはマジックバッグからスッとカードを取り出し、受付嬢に渡す。

 ……マジックバッグに入れていたのね…


「…Aランク!?」

「えっ」

「「「はぁぁっ…!?」」」


 驚いた受付嬢が声を上げ、周囲がどよめく。

 …というか、レティってAランクなの!? ほぼほぼ最高ランクみたいなものなのよ!?

 Sランクは国の中で1人しか手に入れられない称号なのだから…


「…レティシア様…「「「えぇっ!?」」」」


 ……ん? なんか雲行きが怪しくなってきた…?


「…8年前に失踪した……生きておられたのですね……」


 …8年前……私に仕え始めたタイミングじゃないの……

 失踪したことになっていたのね……冒険者時代はかなり有名だったみたい。


「早速本部に連絡を…」

「……それより先に換金してもらって良いですか?」

「……はい?」

「換金お願いします。」

「…………はい…」


 やっぱりそこはレティなのね。確かに時間はあまりないけれど、それぐらい許してあげたら? とは思うけれど。


「なぁ嬢ちゃん、あんたレティシアさんと知り合いなのか?」


 …酒臭いわね… …昼間から酔っ払っているわねこの人。


「えぇ。一緒に旅をしている友(・)達(・)ですよ。」

「そりゃあすげぇや! 最強の用心棒だな!」


 周囲にまたざわめきが起きる。…こんな昼間から飲んでる人達にも認知されているなんて、昔何していたのよ…


「えぇ。安心感は凄まじいね。」

「女で二人旅ってのは本来、俺みたいなやつが突っかかってきて危ねぇもんだがな、レティシアさんが居りゃぁ並の冒険者を護衛に付けた商人より安全だろ!」

「自分が変な人だとは理解しているのね…」

「そりゃあな! っと、変な気を起こすつもりはねぇぜ? レティシアさんの恐ろしさをよーく知っているからな。8年経とうが薄れねぇんだよ。」


 …そうとうしでかしてたみたいね。レティ……かなり気になるわ。


「…ダンジョン攻略者なんて世界に数人しかいねぇからな。Sランクじゃねぇのがおかしいくらいなんだ。せいぜい怒らせないように気をつけな。」

「え?」

「エルセ、行きましょう。」

「あ、レティ。」


 小さめの麻袋を持ったレティが後ろに立っていた。

 …早くないかしら? かなりの量だった気もするけれど。


「っと、俺はここまでみたいだな。あんたらべっぴんさんだから変な奴らにさらわれたりしねぇようにな! まぁ、万に一つの可能性もねぇだろうがな! じゃあな!」

「えぇ。さようなら。」


 なんだか愉快な人だったわね。…お酒を飲んで気が大きくなってるだけの可能性はあるけれど。


「…レティ、さっきの話だけれど…」

「…今夜話してあげますよ。」


 そういって私たちは冒険者ギルドを後にした。

※補足


冒険者ランクは

F→E→D→C→B→A→S

この順番で上がっていきます。


Aは3つの支部長以上からの推薦、もしくは本部ギルド長からの推薦。

Sは本部ギルド長+国のトップからの推薦でなることが可能。


基本的にSになるとその国の支配下になる。レティシアは一度Sにならないかとの打診を受けたが、一つの国ごときに縛られるのは嫌だとその推薦を蹴った。




ちなみに、過去にレティは"冷徹のレティシア"として恐れられていた。

基本的にどんな武器でも使いこなすオールラウンダー。


……他にも恐れられてる理由として、前にレティシアに乱暴を働こうとした男が…………おっと、私は少し喋りすぎてしまったようだ。

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