王都軍訓練学校 試験
「書類も何もないのか?
なら、全部の試験を受けなさい。
んーと、字は書けるか?
名前と出身地と年齢と性別を書いて、案内のとおりに行くといい。その都度この記入用紙を提示して、試験を受けなさい。
わからない時は、私と同じ制服の人聞きなさいね。」
「はい!次!」
「名前 シエル
出身地 アロエ
年齢 16歳
性別 女に丸っと、でこっちか!
ルルはどうすっぺ?」
愛馬の綱を引き案内順に従って動こうとした。
大柄な若い男がさっきと同じスタッフの服を着ていた。
「君、馬術試験がるから、こっちで預かっていいか?
あそこの広場で預かっておくよ、馬術試験もその奥だ。」
「はい、
お願いします。
ルル、後でね。」
と手綱を渡す。
トコトコと案内順に道を歩くと、広い場所についた。
「エントリーシートはこちらへ。名前と出身と年齢と性別を言って。」
そう言うスタッフはシエルのエントリーシートを見ながら、答えるシエルの声を聞いていた。
そこから同じ手順で、基礎体力、剣術、馬術、筆記試験と受けていった。
なんだか、辺境伯軍の入団試験みたいだなっと思いながら、シエルはこなしていった。
山岳を駆け巡り、魔獣を倒すシエルにはあまり手ごたえのない試験であった。
朝イチで始まった試験は昼過ぎを過ぎて、学校の食堂でランチとなった。
シエルはふと気づいた。
現金がないって事に。
「お肉モリモリ定食、330エルだよ。」
とおばちゃんが答える。
「あっ、現金!」
「なんだい、持ってないのかい?」
「ごめんなさい、田舎育ちで、現金をあまり使わないもんで。持ってくるの忘れました。」
「あは、330エルも無いって、どうやって王都に来たんだよ」
後ろの少年が答える。どこかバカにしている。
「マリアさん、これで。」
さらっと小銭を出して、シエルのランチ代を出す、男が現れた。
「今日の試験を受けに来たんだね、さあ、こっちへ、一緒に食べよう。」
バカにした少年をスルッとかわしていく。
「ありがとうございます。」
べっぴんさんだべ。
従姉妹も美人だけど、違うタイプだ。
ふっと、食堂の隅を見ると、スタッフとは別の誰かが、監視していた。これも全部試験の一つなのだろうと、思い、静かに、ついていく事にした。
「私は、サウスで、三年生だよ。
君は?」
「シエルだす。アロエ出身だす。」
「アロエ?聞いたことないけど、御領主様は誰?」
「北の辺境伯だす。」
ハニートラップだべかね。
簡単に答えて、山盛りのお肉をサクサクと平らげようと、お肉に夢中になった。
「そうなんだ。遠いとこから来たね。試験どうだった?」
「普通だべ。」とモグモグ。
「お肉美味しい?」
「うん。」
「その定食を食べるんだもの、入団試験は合格だね。」
美しい微笑みを向けてきた。
じい様が言ってべ。
イケメンと美人は警戒しろって、信用すんなって。
こうして、ランチを終えると、ハッと気づいて、ポケットから、干し肉を出した。
「お金ありがとうございました。
お礼にこれどうぞ。翼竜の干し肉でだす。」
油紙に包まれた、一本の塊を出す。
「ありがとう。でもね、部外者からは物品の受け取りは、禁止なんだ。」
「もうしわけねーだす。」
と、頭を反射的に下げた。
「ふふ、訓練生となると、部外者じゃなくなるから、合格したら、ちょうだいね。」
「へい!」
彼らはまだ気づかない。
サウスは男性で、シエルは女の子だと。
シエルがベリーショーとヘアで、こんがりと日焼けした肌と北部訛りで、女の子みえないと言う事。
北部の男は筋骨隆々で、ゴツい顔が普通である。
サウスのように、しなやかで、細くて、長身なのは北部女子の美女の特徴であった。
それから夕方になると
「名前はシエル、出身地はアロエ。合格!!」
と、スタッフではなく軍服の男が、よく通る声で答えた。
やったべ。
合格だべ。
翼竜の干し肉
夜のためのお肉。
王都では金貨一枚で、最低でも取引きされる。
猛者には効かん。
エネルギーチャージバーである。




