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#22 黒き雨と霧

「ははは! さあさあ、あたしの暗黒の雨を味わいなよ魔砲少女共!」


 くっ、シャドウの奴!

 調子に乗って……今に見てなさいよ!


「クリティカルスキル、大嵐弾幕(ストーミーバレット)!」


 ええ、風間先輩の攻撃が空のあんたを迎え撃ってくれますもの!


「クリティカルスキル、業火電磁砲カタストロフィーレールガン!」


 ええ、火南香乃音の火球も……って!

 そういえばあんたも飛び出してたわね……


 ま、まあいいわとにかく!

 風間先輩と火南香乃音の砲撃が、あんたを迎え撃ってくれるんですもの!


「くっ! これは……あの炎の魔砲少女か! ワームに近い素質……ああ、いいさ。こりゃ、思いの外チャンスは巡って来たもんだぜ!」


 だけど、シャドウの奴ったら。

 何よ、その余裕は?


「よし……さあ、"スモッグ"! いよいよ最終試験だ、ちいと定刻より早い見切り発車だが、仕掛けろ……!」


 シャドウはほくそ笑んだまま。

 そう、"スモッグ"なる人物に指示を出したわ!


 ◆◇


「ん? 何だ、暗黒エネルギー弾の雨が止んだ?」

「す、すごーい楓華ちゃん! 私たち大勝利!」


 一方、地上では。

 何故かシャドウの攻撃が止んだことを、風間先輩は訝しがっているわ。


 まあ、火南香乃音は相変わらずだけどさておき。


「……クリティカルスキル、黒煙地変(スモッググランダー)……」


 え?

 な、何かしら今のは。


 い、今何か声が……


「ぐっ……ゴホッ、ゴホッ! な、何だいこれは!?」

「ゴホッ!」

「グハッ!」

「な……ぐっ、ゴホッ、ゲホッ!」

「ふ、楓華ちゃ……ゴホッ、ゲホ!」


 と、次の瞬間には。

 私たちは妙な息苦しさを覚え。


 かと思えば、それまで私たちを覆わんとせめぎ合っていたサンドの砂嵐と中国の霧の中に。


 もう一つ、何か靄のようなもの――いえ、黒い霧といった所かしら?


 それが混ざり合って来ていたわ!


「り、利澤先輩! こ、こんな苦しいのはまさか……ゲホ!」

「ああ、見えたかい向氷ちゃん……これは、ゲホゲホッ! なんか黒い霧が混じって来たからだねえ……」


 利澤先輩も感じていましたか……

 でも、どうしましょう!


「ああら、シャドウ……邪魔臭い霧が弱まっていくわ、なら! 今の内に、砂嵐を強めるぐらいはいいわよね?」

「ああ、その通り……今まで燻ってた分、暴れてやれサンド!」

「オーケーイ、さあ行くわよ……クリティカルスキル、砂嵐紊乱者(サンドコンフューザー)!」


 くっ、この機に便乗して!

 サンドの奴も、また砂嵐を強めて来たわ!


「ぐっ……くっ!」

「ち、中国の方! ゴホッ、ガボ! は、早く霧を立て直して」

「いや、ダメだよ比巫里ちゃん! 私たちでここは戦おう!」

「ひ、火南香乃音?」


 私が中国の列車魔砲に呼びかけようとしたら、通信機からは火南香乃音の声が。


 だけど、あんたねえ。


「あんたね、この状況で……ゲホ! どう戦えるってのよ、このままじゃ私たち……ゲホ!」

「大丈夫! 霧を晴らすには光……私の火があれば大丈夫だよ♪」


 な……何ですって!

 あんたが、やるっての?


 私は尚も咳き込みながら、そう問いただしたら。


「うん、その通り! 見てて、比巫里ちゃん!」


 だ、駄目よあんた! 

 止めなさい、この前のことを忘れたの?


 いや、馬鹿なあんたはもしかしたら自覚すらないのかもしれないけど……


 ――クリティカルスキル:|業■電磁□《カタ#ロフ-レー◯ガン》


 ――……クリティカルスキル、竜豪炎電磁砲カタストロフィードラゴレールガン


 そう、領土戦のさなか。

 あんた、暴走したのよ!


 それを止めるために、どれだけ周りが迷惑させられたか分かってんの?


 私はやや言い過ぎと思いつつ、火南香乃音をそんな風に責めることしかできなかった。


「ううん、自覚あるし知ってるよ! だけど……今度はもっと上手くやればいい!」


 ま、まったく……

 そんなん、できると思ってんの!?


「あ、もう行かなきゃ……じゃあね♪」


 ……って、待ちなさい火南香乃音!

 まだ説教は終わってないわ、まだそこにいなさい!


 私のそんな声は、まあ分かりきってはいるけどあいつには届かないわ!


 ◆◇


「さあ……行こう! クリティカルスキル、業火電磁砲カタストロフィーレールガン!」


 そうして火南香乃音は、私を振り切るように。

 天高く自車から火球を打ち出し、高空で炸裂させた!


 そう、かつて上星学園街を地下鉄道が襲った時にシャドウをあぶり出した時のように!


「くっ、この花火は……あたしを炙り出した時と同じかよ、むかつかせてくれんなあ!」


 シャドウは、相変わらず空から今打ち上がった花火を睨むわ。

 だけど、すぐに低く笑い。


「まあいいや……そっちじゃ全然面白くねえ! 同じこの前の奴でも、直近のをやってくれねえか?」


 そんな風に呟いた。

 ち、直近て!


 あんた、この前みたく暴走させる気なの!?


「なあサンド! "スモッグ"! これじゃ食いたりねえってよ、もっともっと砂嵐と煙をお見舞いしてやれ!」

「あいさー!」

「是!」


 くっ、この!!

 シャドウのその呼びかけで、また砂嵐と黒い霧が強化されたわ!


 ◆◇


「うーん、これっぽっちじゃ駄目かあ……仕方ない! こうなったらこの前の撃っちゃお!」


 な……火南香乃音、駄目よ!

 そんなことしたら、それこそ奴らの思う壺だわ!


「……クリティカルスキル……」


 ――クリティカルスキル:|業■電磁□《カタ#ロフ-レー◯ガン》


 あ、ああ……ま、また!


 火南香乃音の画面表示が、乱れて――

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