#12 領土戦開幕
「Hi、日本の学園の皆さんお久しぶり!」
「ええ、よろしく。」
そうして、例の戦場となる森の手前につき。
各魔砲戦車から降りて、私たち上星学園とスナイプダム学園の面々は直接対峙する。
今、スナイプダム学園代表として同じく上星学園代表の利澤先輩と握手をしているのはやはり隊長のサンダースさん。
「前は一応共同戦線という形でしたけど……これからは敵同士! 一切の妥協なく突き進みますのでよろしく!」
「Yes! それでこそ私たちのrival! ……こちらも、負けるつもりはないからNE!」
だけど、一応表面上はにこやかだった前とは違い。
この雰囲気は……まさに、バチバチ火花を散らすといったところかしら!
◆◇
「よし! 全員上星号に乗ったね?」
「はい!!!!」
「はーい♪」
……相変わらず場違いなテンションの火南香乃音はともかく。
私たちは自分たちの装甲列車に戻り、搭載された自車という持ち場にそれぞれついたわ。
「では行かせてもらおうか……魔砲鉄道大戦、起動!」
「は、はい! 魔砲鉄道大戦、起動! ログイン。オンライナー、アクセス!」
そうして、同時に手元コンソールのアプリケーションを起動させた。
毎度……というほどいちいち説明してないけど。
お馴染み私たち10代の少女にも分かりやすいよう、ゲームのように調整された制御システムよ。
「さあて、なんだかんだで人間相手は初めてね……」
私は手元コンソールを見るわ。
名前:クリスティーナ・サンダース
年齢:15歳
グレード:3
ジョブ:光線砲使い科
スキル:光子弾発射
クリティカルスキル:光輝暴投砲
装備
NP3三十七ミリ光線砲
NP1光線魔砲戦車
……相変わらず、豪華な内訳ね。
まあでも!
「さあて……先制攻撃と洒落込もうかねえ! クリティカルスキル、豪雷撃投射砲!」
利澤先輩が自分の砲塔から光線を放つ。
「critical skill! 光輝暴投砲!」
「おうや! 敵からの返礼だよ!」
「ぐっ! はい利澤先輩、かなりえげつないですね!」
だけど、やっぱりと言うべきかしら。
相手のスナイプダム学園装甲列車から、搭載されたサンダースさんの魔砲戦車による砲撃が放たれて来たわ!
「こりゃあ……上星学園第一戦車隊、魔砲戦車を離脱! 散開して、敵に突撃を仕掛けるよ!」
「はーい♪」
「了解!!!!」
それらを線路間近に受けながら、利澤先輩は業を煮やして決断を下したわ。
◆◇
「YES! クリスティーナ、敵列車砲から魔砲戦車が分離していくわ!」
「YES……こちらも、そうしましょうかね!」
一方、この様子を見ていたスナイプダム学園の装甲列車にも動きが。
やはりと言うべきか、砲撃を続けながら。
列車の装甲を開き、内部の魔砲戦車を分離・発進させたの。
「……スナイプダム学園魔砲戦車連隊、出撃!」
「了解!!!!!」
スナイプダムの魔砲戦車隊は、だけど私たちと違って散開せず。
まずは橋頭堡を作ろうとばかりに、横一線――というほどでもないけれどひとまずの戦列を組み。
尚も砲撃を続けて、遠距離からの牽制に専念しているわ。
◆◇
「! 利澤先輩、敵戦車隊はまったくこちらに向かっては来ません!」
「あたしらにはその程度で十分てかい……舐められたもんだねえ!」
その様子を、砲撃に砲撃で返しながら遠巻きながらも見ていた私たち上星学園戦車隊は。
進みながらも、歯軋りしてるわ。
「クリティカルスキル、大嵐弾幕!」
「おうや……風間、あんたかい!」
と、その時。
風間先輩が、自車の魔砲牽引二輪車が持つ身軽さを活かして。
私たちの魔砲戦車の戦列から飛び出した!
「ああ、こういうときはあたしの出番さ! 抜け駆け禁止とか白けること言うなよ、むしろ今抜け駆けしなかったら皆仲良くやられるだけなんだからさ!」
「ああ、悔しいがそうだねえ……色々複雑だけど、行って来な!」
「楓華ちゃん、頑張れ☆」
利澤先輩と、またいつも通りというべきか馴れ馴れしい火南香乃音に背中を押されて。
風間先輩は、敵から砲撃が飛び続ける中を魔砲牽引二輪車でいち早く駆け抜けて行くわ!
「くっ、また風間先輩に……美葉! 私たちも行くよ! クリティカルスキル、鋼鉄鋭弾!」
「ま、待って美葉! クリティカルスキル、投石投射。」
あらあら、石見姉妹も。
負けじと、風間先輩の方向めがけてミサイルを放って援護してるわ!
「YES……中々やるわね日本の皆さん!」
「ああああ、あたしらの根性を見なアメリカの皆さん!」
日米の魔砲少女同士が。
今こうして、ぶつかり合っているわ!
◆◇
「さあて……いつ漁夫の利を得ましょうかシャドウ?」
「サンド……あんたはあまり手を出すな。」
一方、この戦いを自分たちの装甲列車から遠巻きに見ていたのは。
あの地下鉄道の奴らだったわ!




