25 お茶会という名の作戦会議 Ⅰ その2
部屋の外で話し声が聞こえる。
今までそんなことがなかったのでシェラルージェ達は気になった。
「何かあったのかしら」
セリーナが不思議そうな顔をして扉に向かった。
すると、ノックが響きユリウス兄様とカミル兄様が入ってきた。
その時に通路にいたハリー様が険しい顔をしていて、シェラルージェと瞳が合うとすぐに視線が逸らされた。
(ユリウス兄様達と何かあった? それともやはり、先ほどの自分の態度が良くなかったから怒っているのかしら)
すぐに閉じた扉にハリー様の姿が見えなくなる。
閉じた扉を見つめるシェラルージェにユリウス兄様が話しかけてきて、すぐにハリー様を気にかけている事が出来なくなった。
「シェラ、セリーナから伝言があったのだけど、何かあったのか?」
「はい」
「まずはお茶をいかがかしら?」
そこにセリーナがお茶の準備をして声をかけてきた。
「そうだね。セリーナのお茶をまずは頂こうか」
ユリウス兄様の言葉に、マリー、シェラルージェ、カミル兄様が椅子に座る。
ユリウス兄様が座るとその前にセリーナがお茶を置いて、全員分お茶を配り終えるとセリーナも座った。
「今日のお茶もとても美味しいよ。ありがとう、セリーナ」
「それは良かったですわ」
全員がお茶を飲みひと息つくと、あらためてユリウス兄様が話しかけてきた。
「それでは聞かせてもらえるかな?」
「はい、皆様もご存知だと思いますが、私は一族所有の館で創術の依頼を受けています」
シェラルージェの”館”という言葉で皆の顔色が変わった。
「ああ、アルムから聞いているよ」
「そこで最近同じような付与を付けた創術品を求められるようになりました」
「それで?」
「はい、始めはふた月前くらいにいらっしゃったお客様です。1人目のお客様はお父様くらいの男性で、その方の娘さんが馬車で移動中に何度か事故に巻き込まれるようになったので予防のためにと創術品を依頼にいらっしゃいました」
シェラルージェはまたお父様とお兄様に説明した内容を皆に話した。
皆はシェラルージェの話を黙って聞きながらも、たまに考え込むように難しい顔をしていた。
「そして7人目の方が、私と同じくらいの年の娘さんがならず者に襲われて、その時の恐怖で外出出来なくなったそうで、その為身を護る防御の付与を付けた創術品をお求めになられたので創術品をお渡ししました」
シェラルージェは話し続けて渇いた喉をお茶を一口飲んで潤わせてから皆をあらためて見つめる。
「以上の7名の方が同じような付与を付けた創術の依頼をしていらっしゃったので、流石におかしいと思ってお父様とお兄様にお話ししたところ、皆様にも聞いてみた方が良いと言われましたので、今日お話を伺いに参りました」
「なるほどね」
シェラルージェの話を聞き終えると全員が黙り込んだ。
全員が黙り込んでいる中、セリーナが言葉を発した。
「シェラの話を聞いて思い出していたのだけれど、そのような事を言っている令嬢はいなかったわ」
「そうだねー。マリーも聞いたことないよー」
「そうなのね」
セリーナやマリーのところにはそのような話は耳に入っていないようだった。
「私の方には警邏隊からそのような話があったと耳にしたことがある」
「そうですね。その話は私も聞きました。ただ小競り合いとか事故で処理されていたように思います」
「そうですか」
ユリウス兄様やカミル兄様のところにもそれほど詳しい情報は入っていないようだった。
やはり、私が気にし過ぎているだけなのだろうか。
「シェラ、私も何かあるように感じるから、もう少し待っていて」
「マリーもお茶会でそれとなく聞き込みしてくるよー」
「ありがとう、セリーナ、マリー」
シェラルージェがお礼を言っていると、ユリウス兄様とカミル兄様も声をかけてきた。
「シェラが私達に伝えてきたと言うことはアルムも何か感じてのことだろう? こちらも調べてみるから少し待っていてくれと伝えて欲しい」
「そうですね。今度は公爵家の力も使いますからもう少しは何か情報を渡せると思いますよ」
「ということだから、ランバルシア子爵とアルムにはもう少し待ってもらえるように伝えてくれるか?」
「分かりました。宜しくお願いします」
シェラルージェが答えていると、セリーナが新しいお茶の準備をしていた。
「そろそろお菓子はいかがですか?」
「いただくよ。ありがとう」
セリーナの言葉でいつものお茶会が始まった。
シェラルージェは席を立ち、セリーナを手伝いながらよく分からない不安を感じていた。




