19 幼い日の出来事 Ⅰ
お兄様と一緒に初めてのお茶会に参加していた。
8歳になったことで、お茶会に参加する資格を得たシェラルージェはアルム兄様に連れられて王家主催のお茶会に来ていた。
お父様とお母様、お祖父様から初めての社交場だからお祝いにと、創術で創られたブレスレット、髪飾り、ドレスを飾る花飾りをプレゼントされた。
シェラルージェは白いレースを重ねたドレスに、マーリンにお願いしてプレゼントされた装飾品を付けてもらった。
お母様達に貰ったプレゼントが嬉しくて、シェラルージェはご機嫌なままずっとニコニコと笑顔だった。
アルム兄様もそんなシェラルージェを見てニコニコと笑っていた。
会場になっているお城の庭はとても広かった。
6歳の頃からお父様に連れられてたまにお城に来ていたけれど、いつも同じところにしか行けなかったから、瞳に映るものが全部珍しかった。
会場にはテーブルが5卓配置され、真っ白いテーブルクロスの上には美味しそうなお菓子が置いてあった。
ところどころに花が生けられた飾柱が置かれ、綺麗なクリーム色の布で柱と柱の間を飾りたてていた。
「わぁ、すごく綺麗」
「そうだね」
会場の装飾に瞳を奪われていると、アルム兄様が頷いてくれた。
シェラルージェが興味の赴くまま走り出そうとした手をアルム兄様が慌てて掴む。
「シェラ、待って?」
「なんで?」
いつもは「行ってらっしゃい、気をつけてね」って言ってくれるのに、今回は違うことに疑問に思う。
「お母様に言われたでしょう?」
「?」
何か言われたかな?と思い出していると、アルム兄様が苦笑した。
「今日はお茶会だから動き回らないで大人しくしているように言われてたでしょう?」
「あっ」
アルム兄様に言われてやっとシェラルージェは思い出した。
そういえばお母様に「今日は興味の赴くまま走ってはダメよ」と言われていた。
「ごめんなさい」
「思い出してくれて良かったよ。じゃあ、ご挨拶に行こうか?」
「はい」
アルム兄様に元気よく返事すると笑い返してくれた。
アルム兄様に連れられて年上のお兄さんやお姉さんに挨拶をしていく。
みんな大きくて首が痛くなってきた。
会う人みんな5歳から8歳くらい年が離れているみたいで可愛いねって頭を撫でてくれた。
沢山の人と話してたら喉が渇いてきた。
「アルム兄様、喉乾いた。お茶飲んできてもいい?」
アルム兄様の袖を引っ張って顔を近くに寄せてもらうと、小声で伝える。
「ああ、いいよ。すぐに戻ってくるんだよ」
「はい」
アルム兄様の許可も出たので、テーブルに近づく。
すると、いつの間にか侍女が近寄ってきてお茶をいれてくれた。
「ありがとう」
笑ってお礼を言うとにこりと笑い返してくれた。
お茶を一口飲むとふわっと花の香りが広がった。
「美味しい」
そう呟くと、お茶をいれてくれた侍女がお菓子を取ってくれるみたいだったので美味しそうな2種類のお菓子を示すと取り分けてくれた。
それも一口食べるととても美味しかった。
「美味しい、ありがとう」
もう一度お礼を伝えると、にこりと笑って離れていった。
目の前にあるお菓子を観察しながら味わっていると、目線の先に色鮮やかな何かがあるように見えた。
その色が気になったシェラルージェは、急いでお菓子を食べお茶を飲み終わると早速向かった。
シェラルージェと入れ替わるようにテーブルの周りにはお茶を飲むために令嬢や子息が集まってきて賑わった。
侍女さん達がバタバタと対応している間を抜けてシェラルージェは気になる場所へ近づく。
ちょうど飾柱の後ろにあるらしく、くるりと裏に回ってみると道が続いていた。
そのまま進んでいくと、目の前に見える色が徐々に増えていった。
そして目の前の道がひらけると、いろいろな花が咲き乱れる場所に辿り着いた。
「わぁ、可愛いお花」
目の前に広がる色とりどりの花に瞳を奪われる。
家の庭で見たことのない花もいっぱいあってわくわくした。
青い花、黄色い花、赤い花、紫の花、白い花、ピンク色の花、オレンジ色の花。
形も、丸い花びら、細長い花びら、ギザギザした花びら、花びらが何枚も重なってドレスみたいにふわっと広がっているもの。
シェラルージェは飽きることもなくずうっと眺めていた。
どのくらいたったのか、後ろの方からガサッという音がした。




