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聖女の力は安眠のために。〜ブラック企業帰りの私は、現代知識で冷徹公爵を寝かしつけます〜  作者: サバ味噌饅頭
第14章:聖女、公爵夫人になっても寝かせてもらえません!

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番外編 聖女のいない休息時間 〜男たちの譲れないこだわり〜

1. 【アルベルトvsシリル】究極の「安眠着」マウント

公爵邸の庭先。一触即発の空気が流れていた。

対峙するのは、鉄血公爵アルベルトと、第一王子シリル。


「……殿下。そのシルクのパジャマは、睡眠効率が悪すぎる」


アルベルトが突きつけたのは、新調したばかりの「最高級綿麻リネン」の寝着だった。


「紬は言っていた。『締め付けのない天然素材が、深部体温の低下を促す』と。私は彼女の助言を、ミリ単位の誤差もなく具現化した」


対するシリルは、不敵に微笑み、自らの袖を撫でる。


「公爵、君は分かってないね。シルクの低摩擦は、寝返りのストレスをゼロにするんだ。……ああ、そういえば。紬も僕の袖を触って『いい肌触りですね』と、うっとりしていたよ?」


「……触らせたのか? 貴様、パジャマの袖を、彼女に」


アルベルトの瞳に、文字通り魔力の火花が散る。


「おっと、そこから先は想像に任せるよ。それより君のリネン、シワになりやすそうだね。紬は『清潔感』を重視する。……君のシワだらけな姿を見たら、彼女、きっと幻滅するだろうね?」


「……っ。副官! 今すぐ『防皺魔法アンチリンクル』を付与したアイロンを持ってこい!!」


結局、二人は「どちらがより紬の理論を忠実に再現できているか」で一時間論争。

その夜、興奮しすぎて二人とも一睡もできなかったのは、言うまでもない。


2. 【カイル&ゼノス】隠密の「おやつ」争奪戦

サロンのキッチン。深夜。

カイルは音もなく、一瓶の「宝石」を手に取っていた。

紬が試作した『安眠効果のあるナッツの蜂蜜漬け』。


「……これ、アルベルト閣下への贈り物だよね。でも、閣下には甘いものより『苦い仕事』の方がお似合いだし……」


カイルは躊躇なく蓋を開けた。一切れ、口に運ぶ。


「……んー。紬さんの味がする(※紬さんが作ったという意味です)。……よし。閣下には『保存状態が悪くて発酵してました』って報告して、僕が全部処分してあげよう」


「……隠密。そのナッツの糖分濃度と、安眠成分の揮発率を計測させろ」


背後から響く、感情の欠落した声。ゼノスだ。


「半分は、私の研究室へ持っていく」


「ゼノスさん。これ、閣下のために作られた大事なものですよ? 半分も持っていったら、閣下が泣いちゃいますよ(棒読み)」


「……閣下が泣くのは、私の知ったことではない。……分けろ。さもなくば、お前の靴に『歩くたびに不快な音が鳴る魔法』をかける」


「……性格、歪んでるなぁ、もう」


結局、二人は紬に内緒でナッツを等分。

背中合わせで、一切の痕跡を残さず完食するのだった。


3. 【エレノア】「高貴な」セルフマッサージの限界

エレノアは自室で、孤軍奮闘していた。

テーマは、紬直伝の『ふくらはぎのリンパ流し』。


「右足はこう……次は左。……ああっ! もう、腕が疲れますわ!」


縦ロールを振り乱し、必死に自分の足を揉みほぐす。


「どうして紬様がやってくださる時はあんなに心地よいのに、自分でするとこんなに『労働』感が出るのかしら!?」


思考が、あらぬ方向へ飛び始める。


「……いっそ、シリル様にやらせてみようかしら? いえ、あの方はすぐ不純な動機で触ってきそうですし。……はっ! そうだわ。カイル様なら指の力も強いはず……。……でもあの方は、紬様の前に出ると急に『なよなよした犬』に退化しますしね……」


周囲の男たちが全員「紬限定」でポンコツ化している事実に気づき、エレノアは深い溜息をついた。


「……この国には、まともな殿方はいないのかしら。……でも、このオイルの香りは本当に素敵」


鏡に向かって「高貴な微笑み」を練習しつつ、彼女は誰よりも、明日という名の「紬に会える日」を心待ちにするのだった。


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