戦いの後始末
完全見切り発車です。
ラストが見えませんが、テンション高く進めたい
空は黒い雲に覆われ、彼方此方で雷鳴が聞こえる。
土は焼かれ、未だもくすぶっていて、生命の息吹は感じられない。
…私、以外には。
「…皆様、お疲れ様でした。後は、私にお任せくださいませね。…此処が綺麗になったら、私も追いかけますから、先に行って待ってて下さいませ。」
魔王との最終決戦が行われていた。
ほんの数分前までは。
結果は、相討ち…。
魔王も勇者も立っていない。
ただ、ひとり。
聖女だけは、勇者が庇ってくれたため。
瀕死だが、生き残れていた。
「相討ちだったなんて、言わせませんわ。私がこの世界に光を取り戻せば、勇者様の勝ちです!!」
闇を払い、光を戻す。
そんな力、残っていない。
指先だけでも、動かすのがツライ。
それでも。
旅の仲間が、魔王の側近を片付けてくれた。
勇者様が、魔王にトドメを刺してくれた。
それなら、聖女の私が世界を浄化しなくては、ダメでしょう?
このために、今まで聖女を続けてたのだから。
周りが、10代で恋愛しだして、みんな恋人を作り、あまつさえ結婚しだしたのを横目に、ひとり純潔を守って、修行とか。
あぁ、ダメ。余計なことまで思い出した。
…でも、キス位はしたかった…。
雑念を追い払ったから。
お願い、足動いて。
頑張って立って。
そして、舞うの。
ほら、私の得意な浄化の舞。
勇者様が綺麗だねって褒めて下さった舞。
指先まで精霊様の光を巡らせて。
どこまでも精霊様の加護が届きますように。
どうか、この地に再び光が戻るように。
私の最後の力で。
…何分?何時間?
もうわからない。
観客のいない舞台で、舞い続ける。
血が滴り続けても、腕が上がらなくなっても。
浄化の祈りは止められない。
世界に光が戻るまで。
それが、聖女の最後の役割だから。
ふと、聖女の髪がふわりと靡いた。
ゆっくりと、空を見上げる。
あれだけ厚く覆われていた雲がゆっくりとだけど、動きだした。
風が吹いたのだ。
聖女の祈りが届いた証拠。
「勇者様、私たちの、勝ちですわ。…大変お待たせしました。やっと皆さまに、追いつけます…。」
ゆっくりと雲が動き、一筋の光が差し込んだところを見届けながら。
聖女は、その場に崩れ落ち。
…動かなくなった。
魔王城があった跡地には。
魔王も勇者パーティーも。
誰もいなくなった。
だが、この日を境に。
風が吹き、光が戻り。
人々が魔物に怯える日々は無くなるだろう。
ーーーーーー勇者様。少し眠れば会えますか?
次に行く世界で会えますか?
勇者様がこの世界に勇者様として、異世界転生されたと言っておりましたから、元の世界に帰られました?
私は、以前勇者様に教えて頂いた、げえむの世界に行ってみたいです。
大きなもんすたーを大剣で退治するげえむの世界です。楽しいんだよって笑ってた。
私、皆様に守られてばかりだったから。
今度は私が剣をもって、やっつけてあげますわ。
そして、それをみんなで上手に焼いて食べるの。
楽しそうでしょ?
私たち、こんなに頑張ったのですから。
次は好きな世界に行かせてもらえても、いいと思うのですよ。
…そう言えば、ちょっとは恋も、してみたかったなぁ…。
ねぇ、神さま。
ご褒美、下さいませね。
※※※
ねぇ?神様?
確かに私は勇者様の世界のげえむの世界に行きたいって、言いましたが。
ちょっと、げえむが違うと思いますの。
何故か私、まじかる学園とか言う頭の悪そうな学校に通ってますの。
そして、私がやりたかった大剣でもんすたー狩りは、ありませんの。
それ以前に、私、剣なんて重くて持てないほどの細腕ですわ。
私が出来るのは、治癒と浄化…。
クラスメイトさんたちは、私のことを聖女と呼んで、イケメンがホイホイ近づいてくるのですが。
…ひょっとして。
私の最後の恋がしたかったの部分だけ。
願い事として、採用されました??