シューヨーゲンと愉快な仲間たち(仮)
ここで唐突に仲間(予定)を一度に出す。
※なお男性メンバーは変態しかいないので悪しからず。
一言で言い表せばモーゼ……で伝わると思う。
俺とリリはシューヨーゲンに無事にたどり着いたのだが、そこは人の海だった、うじゃうじゃ動く人の波、あんなに密集してよくぶつからずに居られるよなと思う。これ全部がプレイヤーだというのだからあの腹筋女神の業は深い。
そんな人の海に大型獣とも言える俺が、美少女と言って差し支えのないリリを背に乗せ悠々と歩いて来たら誰だって避けるだろう――――と思うのは傲慢か。
何にせよ、道ができたので俺達は進むことにした……仲間を探すのが目的ではあるがどこか紹介所があるわけでもないのでぶらぶら歩いて話しかけてもらえるのを待つという感じになるらしい。
少し進むと人がまばらになってきて、ベンチが設置された公園のようなところに着いた。
その公園でも俺たちの行く辺はスッと人の波が引く……避けられているのはわかるが、周囲から聞こえる単語が少し不穏なものが混じっている。
『……最後の神獣、古参プレイヤーってもしかしなくても俺のことか、既にバレてるとか人の海怖い……そんで神獣使いとか聞こえるのがリリの事で、なんか タイチ様 フッた とか聞こえる、後セイジュウチョウキョウダンってなんだ?』
全部は拾いきれなかったが重要を思われるキーワードだけ拾った、セイ獣調教団、何かのギルドらしいがなんだろうな。
後、魔王って言葉も少なからず聞こえるが、気のせいだよな? この近くが魔王ダンジョンだからそういう話題出てもおかしくはないよな……。
『聖獣調教団っていうのは私が昔居たギルドなんだけどね、その……こっちに来てからギルドマスターとか男性ギルドメンバーが女性メンバーに乱暴しようとしたことがあってね、私も襲われそうになったんだけどなんとか逃げ切れたけどその時に契約獣を全て失って、後はレオが知ってる通りかな』
『そうか……』
それ以上何言えなくなり、黙り込む。
ここは励ますところなのか慰めるとこなのか……リリから撫でることを求められれば応じるが、俺はリリを撫でたりすることは出来ない、こんな時に役に立たない獣の身が憎い。
「レオ、ここでストップ、ここで待ってたらパーティのお誘いは来ると思う」
というので俺は屈んでリリを背中から下ろすと、その場に腰を下ろしお座りをした、HATIとかいうアレである……地名がが違うがそれは些細なことだ、俺がここに座ることによって待ち合わせの聖域とも言える場所へとなったここでならいい仲間とも巡り会えるだろう。
いっそ犬科系に変化しといたほうがいいんじゃないかと思っていたら早速声を掛けてきた一団がいた。
「よぉ、リリちゃんよ。元気にしてたかよ?」
見るからにチンピラ風の狼男が近寄ってきた、後ろには魔人、鬼人、エルフにゴリラが居た、全員プレイヤー……この街にいるのはみんなプレイヤーなのは改めて言うまでもないが解せぬ、ゴリラが防具を着てるだと?
同じ獣の分際で装備とは、猿人であるならわかるが、あれはゴリラだ、なぜ知ってるかといえばキャラメイクの種族にゴリラが追加されたのは俺の魔王事件のせいだからな。
「っ……!!」
リリが露骨に嫌な表情を浮かべ顔を逸らす。状況から判断すれば噂をすれば的な感じでこいつらが聖獣調教団だろうか。
「リリちゃん、ここに来たってことは仲間探してんじゃないの? 頭下げてごめんなさいって言えば俺らの仲間に戻してやってもいいんだぜ、勿論わかってると思うが夜は手とり足とり調教を教えてやるからよ、こんなすげーのテイムしてるのはすゲーって思うがよ、リリちゃん程度じゃこんなの扱いきれねえだろ?」
色々言って俺の頭をポンポン叩く……ああ、なんでリリを苦しめるやつはこんなに長々と一人で喋るんだ……しかも俺に馴れ馴れしく触るな――――という訳で腕に噛み付いてやった。
「痛ッ! てめぇなにしやがる!」
「ガルフッガフ」
俺が敵意を込めてそう言うと「なっ!?」と驚く狼男とゴリラ……やはり獣系には言葉通じるのか?
段々と険悪なムードになるチンピラ達、一触即発である――――あまり人前で形態変化はしたくないのだが、リリに危害を加えるようなら誰であろうと許さない。例え相手が武装ゴリラであってもだ。
「そこまで――――そこまでにしましょう、双方拳……あ、片方は牙ですかね収めてもらいましょうか」
俺達の間に割って入ったのは変な仮面をつけた紳士だった。
「なんだてめぇは! そいつらの仲間か!?」
いや決して仲間ではない、一緒にはされたくない。
「そう――――ですね、そちらのモフモフな彼とはお友達ですよ、それで私が誰かという質問にお答えすると、奇面導師のロリコンと申します」
ああ、趣味じゃない、奴の名がロリコンなのだ――――これでもゲームの時は恐れられた(変態として)古参プレイヤー様だ。そんでこんなのが後二人いる。
「オレ、オマエ、マルハダカ」
武装ゴリラの背後にもう一人武装ゴリラよりふた回りでかいゴリラが現れる。
「そちらは私の仲間の“猿人”のホモ・サンピース……で、その隣にいるのがショータ……我ら三人揃って少女守護騎士団」
猿人なのにゴリラにしか見えないし猿人だから装備ができるはずなのに股間を隠す以外は全裸、その横にはちっさいエルフの少年が居るこの三名こそ、このゲームの古参プレイヤーがレベル高いと言われる主だった原因を作った変態ギルド、少女守護騎士団だった。
流石に少女守護騎士団の名前が出た段階で狼男達の動きは止まった、こいつらに目を付けられてはおしまいだもんな。
そしてそこへ更に状況を混沌にさせる一団が現れる。
「アンタ達、まだこんなことしてるの? 男八人で女の子一人を囲うだなんて――――最低ねしかも相手はリリ……? え? リリじゃないっ久しぶり~元気にしてた?」
こっちもリリの知り合いか……でも結構交友的そうだ、リリも彼女達を見て安堵している。女が四人か見た感じ狼獣人に花霊人、精霊人と天使かホントこのゲーム種族多いな。
「チッ叢雨か……おい、野郎ども引き上げるぞ――――覚えてろよ。」
狼男は狼獣人を見るとバツが悪そうに去っていた。
「あ、待ちなさい、逃げるなコ「お待ちなさい」……誰よアンタ、あいつらの仲間?」
逃げ去った狼男を追おうとする狼獣人を止めたのは変態だった。
「いえ、彼らとは縁はありませんよ私の名はロリコンと申します、今は彼らより、彼女のほうが優先すべきでは?」
そう言って変態はリリを指差す。
「それもそうね……リリ、少しお茶しない?」
狼獣人はさり気なく、リリの手を取りお茶に誘う……ナンパしているようにしか見えんが。
「うん」
リリはただ一言だけ返事をし、彼女たちについていった……状況に流されてしばらく静観していた俺は出遅れて後を追った。何故か後ろから変態三人衆がついてきたが無視してやった。
「それで、どうして貴方たちがいるのかしら?」
喫茶店についた俺達は、俺が居ることもあってかオープンテラスの席に座った……俺は床だけど。
「まあまあ、こちらは気にせず……というわけには参りませんか、私の名は先ほど言いましたね。こちらの猿人がホモ・サンピース、小さいエルフ君がショータでそこにいらっしゃるお嬢さんが使役している神獣のレオウルフの友人です」
「ウホ」
「よろ」
女性陣はなんかドン引いていた。
「……それは丁寧にどうも、私はカルム、見ての通り狼系獣人の職業は侍よ」
灰色のロングストレートに狼耳がピンと凛々しくスレンダーなお姉さんといった感じでとても面倒見が良さそうだ。
「ワタシはシダレ……職業ハ槍使い」
桜色の……ツインテールお化けとでも言うべき髪型でツインテールが頭からたくさん生えてて、和服を着こなしている花霊人だ。ちなみに花霊人とは植物型精霊人で頭から任意の花を一種咲かせている、彼女の場合は桜のようでツインテールにたくさんついていた、その様子がまさしくしだれ桜のようである。
「それで僕がディーネ、水属性精霊人で職業はハンドガンマン」
全身が真っ青でゆらゆらと揺れて女性っぽい感じの水属性精霊人……人型スライムと言ったほうが早いか。
「最後はわたしですね! 愛の超ド級撃墜天使のレレレノちゃんですよ! お仕事はパワーヒーラーです」
なんか濃い、ホモゴリラ並に濃い……天使は基本的に愛とか勇気とか正義のって名乗ってると自動回復スキルが発動するという特殊種族なので一応そう名乗ってるのだろうけど。パワーヒーラーっていうのは一種のマッサージ屋だ、整体師とも言えるか、物理的に相手に触れて癒す職業だ。
「後自己紹介終わってないのはリリだけだな」
カルムがリリに変態どもに挨拶するように促す。
「リリです、種族は人間で職業は獣使い、そしてこっちがパートナーのレオ、レオウルフ」
控えめな自己紹介をしてぺこりとお辞儀をするリリ。まだ変態たちのことを警戒しているようだな。無理もない、変態だからな奴らは……いくら俺の知り合いだって変態じゃな。
「それで、ロリコンだっけ? アンタはそこのレオの知り合いだっていうけど、この子モンスターよ? モンスターに知り合いも何もないでしょ?」
事情を知らないカルムからすればその考えは正しいが変態どもは事情を知ってる、知らないのはカルム達だけだ。
「違うの、カルムちゃん……レオはね、プレイヤーなんだよ……その、私たち付き合ってるの」
おっとリリさん最後のは今は要らないんじゃね?
「え、プレイヤー? 付き合ってる?」
「うん」
突然の爆弾発言に女性陣が固まった。
ロリコンとゴリラとショタも意外そうに「ほう」「うほっ」「へぇ」とつぶやく。
というかリリ、自分で言って顔を赤らめるなよ――――この状態は店員が注文を聞きに来るまで続き、店員に注文を言った後女性陣は一度リリを連れてトイレへと向かった。話をするのはまだまだ先になりそうだった。
【名前】ロリコン
【種族】変態紳士
【職業】奇面導師
【性別】男
【所属】少女守護騎士団【団長】
【スキル】
奇面替え
着用している仮面を別の仮面と交換するスキル。一瞬であるため素顔が見えることはない。
紳士の仮面、切り裂き魔の仮面、般若の仮面、孤高虎王の仮面
【アビリティ】
変態(常時)
性的嗜好によって能力が変化する、幼女好きは影から見守る系能力が高く。
他者を助ける能力も向上する。
【名前】ホモ・サンピース
【種族】猿人
【職業】野生解放師
【性別】男(雄)
【所属】少女守護騎士団
【スキル】
防具破壊(物理/対象男性のみ)
素手で相手の衣服や鎧、武器に至るまでを尽く破壊するスキル。
これが使える代償として他のスキルは使えなくなる。
【アビリティ】
変態(常時)
性的嗜好によって能力が変化する。同性愛者(男)の場合、その猛々しい本能に従い毛深くなり逞しく力強くなる。
野生(常時)
野生のありのままの姿になる。
獣人系なら取得可能だが、人語があまり喋れなくなる代わりに強大な力を得る。
【名前】ショータ
【種族】エルフ
【職業】不老王
【性別】男の子
【所属】少女守護騎士団
【スキル】
隠密(常時)
居るか居ないか分からなくする代わりに戦闘に参加できなくなる。
弱体化の波動(常時)
身を守るため、敵の能力を下げるスキル。
常時発動する為には戦闘に参加できなくなる。
【アビリティ】
不老(常時)
取得したその年齢から成長しなくなり、時の概念から解き放たれる。
【名前】カルム
【種族】狼獣人
【職業】侍
【性別】女
【所属】叢雨
【スキル】
斬鉄(物理)
刀用スキル、鉄をも断つが何度も使わねば切れない。
居合い切り(物理)
構えたまま力を溜め一気に放つスキル、スキル特性上使用中は無防備になる。
【アビリティ】
貫禄(任意)
他者に対して強気に出ることができる、見たものを畏怖させるが本人の精神レベルによっては効果は薄くなる。
【名前】ディーネ
【種族】精霊人
【職業】ハンドガンマン
【性別】女
【所属】叢雨
【スキル】
指鉄砲(遠距離/水)
指から水属性の粘弾を打ち出す。
砲撃拳(遠距離/水)
拳を粘弾として打ち出す。
【アビリティ】
形状変化(常時)
姿かたちがあやふやになる、物理攻撃が効きにくくなる。
【名前】シダレ
【種族】花霊人
【職業】槍使い
【性別】女
【所属】叢雨
【スキル】
螺旋槍突(中距離)
槍を回転させながら突き出すスキル。
【アビリティ】
【名前】レレレノ
【種族】天使
【職業】パワーヒーラー
【性別】女
【所属】叢雨
【スキル】
パワーヒール(瞬間治癒/興奮)
通常の瞬間治癒だが興奮付与によって一時的に痛みを忘れることができるが、のちの反動で痛みが倍増して返ってくる。
天使の抱擁(持続治癒)
抱きつくことによって治癒する。抱き着いいる間のみ治癒が働き、力の入れ具合によって治癒速度が変わる。
【アビリティ】
思考共有(種族固有)
他者と思考を共有する。
念話のようにも使え、対象者は使用者が任意で選択できる。範囲が定められており、範囲外から対象者が離れると共有されなくなるが、再び範囲内に入れば選択せずとも共有される。




