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8話 新領地の財政を立て直した俺の元に、隣国の傲慢な将軍が「領境の砦を明け渡せ」と軍隊を率いて脅してきた。だが、ギルバート商会が一瞬で取り潰されたニュースを聞いた瞬間の顔が傑作だった

ギルバート商会から没収した莫大な隠し資産を使い、領民たちへ食料を配り、街のインフラを急速に立て直し始めた数日後のことだ。


新領主である俺の手腕に領民たちが「レイ様万歳!」と歓声を上げる中、領主館の作戦室に、ドタドタと慌たらしい足音と共に兵士が駆け込んできた。

「レ、レイ様! 大変です! 我が領と国境を接する『ガルア帝国』の軍勢が、領境の砦のすぐ目の前まで進軍してきております! その数、およそ五百!!」


新しい環境になっても、俺を無能と見くびる羽虫は次から次へと湧いてくるらしい。王都での件も含めて、この辺境の地まではまだ俺の本当の恐ろしさが伝わりきっていないようだ。


俺とエルザが馬車で領境の砦へと向かうと、そこにはギラギラとした鎧に身を包んだ帝国軍と、その先頭で傲慢に馬にまたがる大男、バルバロス将軍が待ち構えていた。


「ハハハ! 新しい領主は王都から流されてきた無能な若造だと聞いていたが、まさか本当だったとはな! おい若造、大人しくその背後にある『国境の砦』を我が帝国に明け渡せ! 拒否するなら、我が精鋭五百の軍勢で、その生ぬるい街ごと血の海に沈めてやるぞ!」


バルバロス将軍は大剣をこちらに突き付け、下品に笑い飛ばした。隣にいるエルザの目が、一瞬で凍りつくような殺意に染まる。


俺の『SSS級・絶対支配』の権能が、目の前の帝国軍の「配置の不具合」を瞬時にすべて検知する。全員、ただのナマクラだ。


「砦を力ずくで奪う、だったか。断る」


「何だと……!? 死にたいようだな、ひけちまえッ!!」

将軍が激昂し、突撃の号令をかけようと右手を振り上げた、その瞬間だった。


帝国の本陣から、一騎の伝令兵が、馬を潰さんばかりの勢いで狂ったように叫びながら走ってきた。


「しょ、将軍! 止めてください! 今すぐ進軍を止めてくださいッ!!」


「なんだ、騒々しい! 今からこの若造をなぶり殺しにするところだぞ!」


「違うんです! たった今、街の密偵から緊急連絡が入りました! あの街の経済を牛耳り、私兵を抱えていた『ギルバート商会』が、昨日付で完全に『消滅』しました! 逆らった護衛も含めて、この新領主レイ様の指先一つで一瞬にして全財産を没収され、一網打尽にされたのです!!」


「……は? ギルバートが、一瞬で……?」


バルバロス将軍の顔から、一瞬にして血の気が引いた。

ギルバートといえば、裏の武力にも通じたこの辺境のフィクサーだ。それを、着任早々たった一日で丸裸にして破滅させた存在が、今、自分の目の前で冷たい目をしている。その事実を前に、将軍の全身から冷や汗が滝のように流れ落ちた。


「お前のルールはもう終わりだ。これからは俺のルールに従ってもらう」


俺が静かに右手を前に突き出し、パチンと指先を一つ鳴らした。


ドンッッッッッ!!!!


『SSS級・絶対支配』の波動が地平線を駆け抜け、帝国軍五百が乗っていた軍馬が一斉にその場にへたり込み、恐怖で泡を吹いて失禁した。バルバロス将軍も馬から無様に転げ落ち、泥まみれになりながらガタガタと震え出す。


「命令する。武器を捨て、二度とこの領土に踏み入るな。次はないぞ」


「ひ、ひぃぃぃっ! 撤退だ! 全軍、今すぐ撤退せよーーっ!!」


プライドも大剣も放り出し、部下たちに抱えられながら一目散に逃げ出していくバルバロス将軍の背中を見送りながら、俺は静かに踵を返した。


「ふふ、レイ様。これで隣国も、貴方様がこの大地の絶対的な支配者であることを理解したでしょうね」


エルザが至福の表情で俺の外套の裾を握り締め、うっとりと微笑む。

俺を侮った世界が、俺の圧倒的な力の前に跪き、恐怖に歪む悲鳴を背にしながら、俺とエルザの、この新領地での支配領域はさらに強固なものへと変わっていくのだった。

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