第3話「神の力とその代償」
《断罪の獣》を、たった一撃で消し飛ばした。
神と呼ばれた俺の初仕事は、華々しく成功した……はずだった。
「――ッ!?」
突然、激しい頭痛が襲ってくる。視界がぐにゃりと歪み、体が鉛のように重くなる。
「創造主様!?」
ミリアが駆け寄る。だが、俺はそれどころじゃなかった。
脳裏に、見覚えのないシステムログが浮かぶ。
《バグ魔法・システムオーバーライト》使用確認
使用回数:1/3
警告:リミッター解除に伴い、人格データに干渉が発生しています
「……干渉……?」
まさかとは思ったが、これは単なる魔法じゃない。
この世界の“システムそのもの”に干渉する力だ。
使うごとに、俺の“本来の人格”がシステムに飲まれていく――そんな感覚がある。
「ご無事ですか!? 神の力を使われた反動なのですね……!」
ミリアは涙ながらに俺を支える。
だが俺は、その事実を彼女に伝えることができなかった。
(くそ……チートにも、ちゃんと“代償”があるってわけか)
俺は思う。
もし、この力を使い続ければ、いずれ“俺”じゃなくなるかもしれない。
だが、それでも――この世界を救うためなら。
「……心配かけたな、ミリア。少し休めば、どうってことないさ」
「創造主様……!」
俺は微笑んだふりをして、村の空を見上げる。
そこには、もうかつてのゲームには存在しなかった“歪んだ太陽”が浮かんでいた。
この世界は壊れかけている。
そして、壊したのは――俺たち「プレイヤー」だった。