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ただのモニターだから!


「……ほぉおおお〜……」

「……へぇ……」


 水槽を覗き込みながら白髪幼女は目を煌めかせる。見たこともない海洋生物を間近で見られるのは、ヒマでしょうがない牢屋生活のトレンドと化していた。


「……随分とカラフルな魚ね……」


 そして意外にも白髪ママも水槽モニターにハマった。

 

 何処から取り出したかも分からない水槽フレームに警戒していたようだけど、私の必死の説得により危険はないと判断したのか、娘と一緒に鑑賞をするようになった。……表面上は理解を示したという事かな?


 私の事を信用出来ない気持ちと、それを申し訳なく思ってる気持ちがあるっぽい。

 私としては無理に取り繕わなくていいんだけどね。気疲れとか大丈夫?


「お母さん、貝……」

「そうね、貝ね……」


 貝だねぇ……そこに着目するのは子供ならではというか……。


「……なんて名前だろうね? お母さん」


 そして私を見てくる白髪幼女。……分かったよ。


「へ〜い……ちょっと待ってねぇ〜」


 私はモニターを操作して、貝を突く。すると図鑑が表示された。


「ハリナガリンボウ、だそうで」

「……リンボー」


 私はせっせと白髪幼女の頼みを聞いていく。


「そっちのは……生息地は淡水で……外来種みたいっスね」

「海外のお魚なのね……海外?」


 少なくともこの国ではないんじゃね?

 そういや何処の国から見た海外なんだろうね? そもそも海外製のゲームなんだけどねコレ。


 作った国から見た海外か?


 まぁいいや、どちらにせよ二人とも楽しんでくれてるならいいよ。


「……他の魚はいないの?」

「そうッスねぇ。明日になったらもっと賑やかになるんじゃないッスかねぇ?」


 悪いね。プレイ時間が足りてないのよ。ゲーム内の水族館が発展してないもんでね。所持してる生物も少ないんだよ。


「……増える」


 おお、なんかツボったらしい。目をキラキラさせ始めた。

 これは気合いを入れてプレイせんといかん



 ――――――――――――――――――――――


 

「ペンギンかぁ……確かに水族館の花形だよねぇ」


 私はショップの購入画面で次に購入する生物を確認していく。

 あ〜、専用の水槽を購入する必要があるのか。それに機材がお高いな。もうちょっと経営が安定してからにしようかな。


「オウムガイ……結構不気味だね」


 でもなんだかロマンあるよね。

 そういやDLCダウンロードコンテンツに古代生物パックってのがあるんだけど、これが面白そうなのよ。

 ラブカと呼ばれるウナギみたいな見た目のサメとかさ。何となくキモさと迫力を備えた水生生物だ。


「入れちまったぜ……」


 なんとこの見た目で現在も存在する生物らしい。

 ほぇ〜……白髪幼女じゃないけどこういうのワクワクするわぁ。


 いや、現在も生きるとか言われてもさぁ……私もうその世界居らんわ! むしろこの世界の生物に興味持てよって話しだよね。

 魔物みたいな生物がいる世界なのに一切見てないのなんなの?


 まぁいいや。その内機会があれば見れるかも知れん、その時を楽しみに待っておこう。……ただし安全に限る。


「お、シーラカンス! お前もロマンだね」


 古代生物はロマンが多いなぁ。

 お客のアピール値も高いし、経費は高いけど導入してみるのもいいなぁ。


「シャチもいいなぁ」


 次に目をつけたのは白と黒の憎いヤツ。海のギャングことシャチ君です。

 いいね。水族館といえばペンギンと並んで定番の生物だ。シャチやペンギンはショーを行うことで客へアピールすることができる。

 専用のステージを購入する事になるけど、水族館といったら外せないよね。


 こうやって少しづつやり繰りして、やれる事が増えていくのが経営ゲームの醍醐味か。面白い、そのうち他の経営ゲームに手を出してもいいかもしれないな。


 能力の観点からみると有用な能力は作れそうにないけどね。


 ―――――――――――――――――――――――


「増えたー!」


 新しく導入してきた新生物を引っ提げて現実に帰還した私は、さっそく白髪幼女に披露した。

 おぉ喜んどる喜んどる……。

 

 ふふふ、頑張ったよ。勝手に増えたみたいな言い方されてるけど、私の見えない努力で成り立ってます。

 我が水族館の所有する生物はかなり多くなっている。一日中見ていても飽きないんじゃないかな。


「ここで水槽を切り替える事ができるッス」


 そう言って別の水槽に切り替える。

 このモニターは、ある程度なあなあで同じ水槽内で表示できるのだが、それでも限度はある。


 いま見ているのはオオサンショウウオの水槽だ。

 両生類だから、水中じゃなくて陸上もある水槽じゃないとね。雰囲気的にモニターを分ける必要があるんだよ。


 だから、色々な水槽を切り替える方式にしてみた。

 私的にはクラゲだけの水槽がお気に入り。


 あ、ヤベ!

 

「あ、そっちの水槽はダメっす!」


 ロック掛けとくの忘れてた。

 あるDLCダウンロードコンテンツを導入してたんだけど、ちょっと刺激が強いヤツだったから見せないように思ってたんだ。


「ふぉおおおお!」


 画面に巨大な首長竜が通り過ぎる。その後にムカシホオジロザメが突っ込んできた。


 はい、すんません……。


 恐竜パック入れてました……。いや入れるだろ、こんなの。


「映像ッスから! ママさん! 映像ッスから! 別に召喚とかしてないから落ち着いて!」


 そして再び、白髪ママに警戒され背中に白髪幼女を隠された。

 いやホント……学習しねぇな! アンタも私もよぉ。


「ふぉおおおお!」


 焦る白髪ママと私をよそに、幼女ちゃんだけは楽しそうに興奮していた。


 喜んでもらえて嬉しいわ……。


 

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