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Sea frame シーフレーム 水槽を表示する能力


 牢屋に帰還した私は、さっそくクローゼットから飛び出す。

 そしたら目の前で白髪幼女がビクッとしてた。……もしかしてまたクローゼットの中を覗こうとしてたか?


 キミって結構アグレッシブだよね。私の事オバケだって怖がってるくせに、気になって調べようとしてくるんだから。


「……とうっ!」


 なんか私と目が合ったら、ベッドにダイブしてバタバタし始めた。キミ本当に何やってんの? もしかして誤魔化してるつもりなのかな?

 ヤベェ……子供のやる事が予想外過ぎて不安になって来た。


「テレサ……大人しくしなさい」

「……」


 私のせいじゃねぇだろ! 睨むんじゃないよ。


「あーっと……ちょっと来るっス」


 これも牢屋の中がヒマだからいけないんだ。白髪幼女の手を取って窓際に連れて行く。


 ん〜、今、白髪ママがチラ見してたね。なるほど……本当に私を警戒してるのは母親の方だったか。正解だよ。

 これで私を全面的に信用とかしてたら、「危機感足りてないんじゃない?」って思ってた。特にこの白髪親子は追い詰められてる状況なんだろうからね。

 警戒を緩めるハードルは、高めになってるわな。


 まぁ今回に関しては見逃してね。忙しい白髪ママの代わりに、白髪幼女の暇つぶしを作ってやったんだから。


「よ〜く見てるッスよ〜」


 シャッターが閉まって無機質な壁と化した窓際で私は両手を広げる。


「フレーム生成」


 私の両手から質量のない額縁のような物体が現れた。

 それを……


「ペタっとな」


 壁に貼り付けた。


「ふぉおおおおおお!」


 白髪幼女大歓喜である。


 『Sea frame シーフレーム』


 水族館の水槽を表示する能力。


 額縁から映し出される映像は、色とりどりの魚たちに彩られ、さながら海の中を切り取ったような幻想的な風景を表示させていた。


 一見、水槽を召喚した様にも見えるが、あくまでモニターであり、そこに実際の魚が泳いでいる訳ではない。

 というかそんな事したらリソースがいくらあっても足らんわ。


 まぁ、映像は実写と変わらないから、本当にそこに魚がいる様に見えるし、水族館で水槽を眺めてるのと一緒だよね。ゲームエネルギーとしては安めよ。


 制限としては、私がゲーム内で水族館に配置した魚しかいないことだ。だからスマン白髪幼女よ。今はあんまり種類がいないんだ。

 そのうち増えるから楽しみにしておいてくれ。


 ちなみにこのシーフレーム……DLCダウンロードコンテンツも充実しているので最終的にはとんでもない種類になる模様……。


 でも時間ギリギリで、今回の目玉となる魚を入れる事が出来たんだよね。


「ほぉおお〜」

「堪能してるとこ悪いッスけど、ここのガラスを押してみるといいよ」


 白髪幼女のほっぺを突いて現実に戻す。

 不思議そうにしていたが、私の指示通り画面を押すと水槽の画角が変わったり、移動したりして自分で操作できるようになり、目を煌めかせていた。


 ふふふ、いくら現実に見えても結局はただのモニターだからね。こんな芸当も可能よ。


 まるで潜水艦で移動しているかのようだろう。冒険心あふれる白髪幼女には楽しめるんじゃないかな?


 そして、画面がある場所まできたので、私は指を向けて白髪幼女の視線を誘導する。


「シー……ここで隠れて待ってるッスよ」


 そういって岩場の陰に画面を持って行くと、悠々とサメが泳いできて画面を横切る。


 ゲーム内で購入した、シロワニと呼ばれるサメだ。ワニとか言ってるけどサメだよ。


 いいぞ、なかなかサービス精神があるサメじゃないか。迫力ある姿でゆっくりと通り過ぎる映像は、ニセモノと分かっていても緊張する。


 ゲーム内で無理してサメを水族館に入れて来たかいがあったよ。


 ふはは、どーよ。この能力! 役に立つかと言われたら全く立たない!

 けど……面白いだろ? たまにはこんな能力があってもいいじゃない。


 なんてったって自宅で水族館よ。

 

 生き物を間近で見れるのは、子供の情操教育にもいいと聞いた事がある。

 本当かどうかは知らないけど……教育ママにとってはこういうの評価高いんじゃない?

 私に対する密かな警戒も……


「……あれ?」


 隣で、齧り付きで見ていたはずの白髪幼女が居なくなっている……。

 

 おかしいな……さっきまで居たはずなのに。もしかして、もぅ飽きちゃった? だとしたらちょっとショックなんだけど……。


「……ふぉ! ど、どしたんスか?」


 いたわ……。なんか鉄格子の手前で白髪ママに守られながらビックリした顔してる。

 白髪ママは白髪ママで、娘を後ろに隠しながら、覚悟を決めたような顔で私を睨んでるし……。

 

 いや、こっちがビックリするわ!


 なんで気づいたら白髪ママの警戒度が爆上がりしてんのよ!

 計画と違うんだけど!


 もしかして……私がサメを召喚したとか思われてる?


「……あ、あの〜」

「ッ!!」


 白髪幼女を抱き抱えてしゃがみ込んだ! 「この子だけは!」って言いそうな顔すんのヤメロ!


「せめてこの子だけはッ……」


 言ったわ! 

 白髪幼女も不安そうな顔してんだろうが!


 その後、必死の説得により、ただの映像だと何とか分かってもらった。

 白髪ママは謝ってくれたが、私への警戒度は何故か上がったままだ……。

 私への評価が、得体の知れない力を持つ、不気味な存在だと位置付けられたらしい。


 これ、私悪くないよね?





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