最後に相性占いみたいになる協力プレイ……あるよね?
後書きにご報告があります。
どーも私です。
気を取り直して、【ライドン ワールドツアー】の続きをやってくよ!
「今の説明をして下さい!」
後ろで若造兄ちゃんが悲鳴のように騒ぎたててるけど無視だ。
幼女ちゃんが牢屋から出てた? うるせぇ! さっき見間違いっつーことで話は押し通しただろうがッ!!
お前は大人しく、私らがゲームしてるところでも見てるんだな。
「ほい、ゲーム再開!」
「……やっとか」
「いや、オメェのせいで若造兄ちゃんガン見してんじゃねぇか……」
「……べつにいいだろ」
別にいいか!
渓流コースを優雅にボードで下っていた私達だが、目の前の水面が蟻地獄のように凹んで、巨大な渦巻きを作り出す。
「おわ、おわわわ! 中央に飲み込まれる」
「……ほ、ほうこうてんかん!」
バチャバチャとオールを漕いで巨大渦巻きの吸引力から逃れようとする。
「迫力エグぃ!?」
「……こげ! そとがわに向かってこげ!」
映像が綺麗な分、妙な恐怖感あんな! 傾く座席シートとゴォオオ……というスピーカーから流れる重低音の効果音が本当に渦巻きに巻き込まれているような錯覚を起こさせる。
「にゅひぃ! これコレェ! ライド筐体の醍醐味ってコレだよね!」
「……ぬひひひひ! こえぇ……」
「楽しそうですね……この子達……」
この臨場感よ! 全身を使ってゲームに没入出来るからこその興奮があるよね。これは画面見てるだけのゲームには真似できないわ。
まさにアーケードゲームならではの魅力だね。
「よっしゃ! 渦巻き脱出! おん? 演出入ったね……」
近めの俯瞰視点だった画面が寄り、一人称視点のようなムービーに変わる。
その視点が横を向いた。
「……なにかいる」
幼女ちゃんの言葉の通りドスドスという音が、流れゆくジャングルのような背景の向こう側から聞こえてくる。
そして……ジャングルの切れ目から、その正体は姿を表した。
「き、恐竜だぁあ!!」
「……魔物!?」
世界観どーなってんだよ! 悪者から逃げる物語じゃねぇのか!!
「り、リアルな映像ですね……なるほど、楽しそうです……」
ティラノサウルスのような巨大生物が、私達の乗るボートをギョロリと睨みつける。ほ、補足されとりますがな……。
画面はグルリと旋回して、今度はボードを前から見るような視点に変わった。通ってきた渓流の後ろを眺めるような感じやね。
そのお陰で一度画面から恐竜の姿はなくなったけど……あ、嫌な予感がする。
「うわぁあ! 追ってきた!」
「……あば、あばばば」
ティラノサウルスは後ろから、巨体を活かして渓流を水溜りのように迫ってくる。
そして大きな顎で私達のゴムボートに噛みついてきた。
「右右ミギぃ!」
「……そ、操作ぎゃく!」
しまった!
前からの視点だから左右逆になってんのか!?
「あ、悪者が蹴飛ばされた」
プレイヤーを追っていた悪役がティラノサウルスの足に吹き飛ばされる。
ひたすらパチャパチャと左右移動を繰り返しティラノサウルスの牙を避け続けると、ようやく振り切ったようで視点が元に戻る。
しかし、安心したのも束の間――
「あ、前方に滝があるねぇ……」
「……つんだ」
私達の乗るゴムボートの行く先には渓流の切れ目……瀑布が待っていた。
そしてポンッと空中に投げ出されたボートに合わせて、座席シートが浮遊感を煽るような動きを見せる。
画面が下を向いて、遥か下にある滝壺が確認できた。水飛沫によりる霧がその落差を思わせる。
マイナスイオン凄そう!
「おっとここでステージクリアか……」
「……ゲームオーバーじゃなかった」
ふぃ〜、トロッコステージとは違ったスリルがあって中々良かったぜ。
リザルト画面を見ながら肩を回す。
結構な運動量だねぇ。やっぱゲームと運動って相性いいと思うんだよね。
運動不足の人は、運動できるゲームおすすめよ。私が身をもって体験したから保証する。
……身をもってなッ!! VRリズム剣豪とか下手な運動部よりアスリートやってるからねぇ!!
「……」
首を回してストレッチしてたら、鉄格子の向こうにいる若造兄ちゃんと目が合う。
「……」
若造兄ちゃんは、物静かでクールな瞳を私に向けると画面に視線をやって真剣な顔で口を開いた。
「どうぞ、続けて」
「あ、ハイ……」
えっと、……よかったら近くで見る?
まぁ、お言葉に甘えて続きやっていくか。
次のステージも選べるようだね。
「ふむ、水中ステージと空中ステージか……」
水中ステージは潜水艦だな。レバーをつかって方向操作、足のペダルを使って推進力みたいな感じかな?
アヒルボートかよ。
空中ステージは……プロペラの付いた自転車を漕いでいく感じか。アレだ、二人乗りの自転車にプロペラ付いてんだな。
「どっちにする?」
「……飛ぼうぜ」
おっけ、ガチャンと私の方のレバーを下ろす。
滝から真っ逆さま停止していたムービーが再び再開して、ゴムボートが光り輝く。
そして、座席シートが滑らかなバウンドを起こしたかと思うと、画面の中の男女はプロペラ付き自転車に乗って大空を羽ばたいていた……。
「おほぉおぉお……飛んでる! 飛んでる感覚あるねぇ!!」
「……ぬぉおぉお……だ、だいじょうぶかこれ?」
大渓谷を自由に飛ぶ自転車は、滝の水霧によって出来た虹をくぐる。
「ペダルを漕ぐことでプロペラの速度アップか」
「……レバーを下げると上昇、あげると下降ぞ」
渓谷の切り立った断崖を縫うように進む空飛ぶ自転車。私達はシャカシャカ足を動かしてペダルを漕ぐ。
渓谷の至る所に点在する光のリングを潜ることでスピードアップと……浮力? が得られるらしい。
「うお、うおおお……上! 上にリングがある!」
「……ぬぬぬ。操作のクセがキツイ……」
今までのライドより妙に心許ないのは、その操作性の悪さだ。どんな行動にもラグが掛かるというか……レスポンスが遅いんだよ。
レバーハンドルを使っての上昇下降、左右への方向転換。ペダルを回してからプロペラが回り、浮力として反応するまでの時間と、全てに遅れが生じる。
たぶんこれワザとだ! 現にその上手く操作できない
もどかしい遅延が、本当にプロペラ自転車を操作しているような感覚を与えてくるからね。
そしてそれだけでは無い。
たぶんこの『プロペラ自転車』は今までで最難関だ。
「ッ! 幼女ちゃん! 後ろのペダルをもっと漕いで!」
「……承知! ぬぅ……オバケ姉ちゃん! 前のハンドルで上昇! 車体が前転しちゃう!」
「あいさ!!」
このゲームは二人プレイだ。
今までは横に並んでのプレイだったが、明確にこのステージが違っているのは、キャラクター達がプロペラ自転車の『前後』に位置すること……。
そしてこのクセのある操作性により導かれる現象は、二人の息を合わせてバランスを取らないと、マトモに飛行すら出来ないという鬼畜仕様。
「まさに【協力型ライド筐体】といったところか……」
まぁとは言っても、コツを掴んでしまえば直ぐに慣れてくる物……声かけを駆使して指示されるコースを進むことは出来るようになってきた。
しかし――
「ここに来て悪者登場!!」
「……うわ、撃ってきた!」
ステージ最後の追い込みだ。
悪役が飛行船に乗ってエネルギー弾のような物体を飛ばしてくる。それを操作性に難のあるプロペラ自転車で逃げるのは中々の高難易度!
「クライマックスと言ったところですか……はたして少年少女の運命はいかに……」
なんか若造兄ちゃんの変なモノローグ聞こえてくんだけどッ!! お前、気になるなら近くで見ろや!!
「「うぉおおおおおーーー!!」」
シャコシャコ足を動かして、ラストのお城まで直行!
ただし私と幼女ちゃんの、とちらかが速かったり遅かったりするとバランスを崩してしまう。
それでもスピードを出して悪者から逃げるラストスパートだ。
いくぜ! 幼女ちゃん!
シャコシャコシャコシャコシャコシャコ!!
「「「うぉおおおおおーーー!!」」」
なんか一人多いッ!!
「ごォーぅるッ!!」
「……ふ」
花火で祝福される二人の男女、そして最後のリザルト画面では【二人の相性】みたいな物が表示された。
あぁカップル用の演出って感じか。
【二人の相性は…………42点!】
これどうなん?
【お互い相手を気遣って行動しよう! 自分さえ良ければいいという考えが透けて見えます!】
悪そう!!
ま、一応ゲームクリアかな?
もうちょっとゲームエネルギーを貯めたいところだが……。
「能力……作ろうかね」
制限キツくなるかなぁ?
いつも見て頂き、ありがとうございます。
許可が下りましたのでご報告します。
この度、お声かけいただき書籍化が決定しました!
それもこれも、見ていただける読者の皆様のおかげです。
いつも感想やリアクション、マイリストや誤字報告をして頂き、励まされています。とても助かっています。
この場を借りてお礼申し上げます。
詳細は追ってお知らせします。
……え、マジで書籍化?




