裏で起こる事件
短いので本日二話投稿 コッチは一話目
「ただいま〜」
車から飛び降りる二人の幼女……どーも私と幼女ちゃんです! 二人して玄関まで走って車に振り返る。
「二人とも〜、走ると危ないわよ〜」
「うぃ〜ッス」
私達の後から降りてきたマミぃ〜が、ポケットから鍵を出しながら家の扉を開いた。
「じゃあ私ら二階で遊んでますねぇ」
「は〜い、ご飯になったら呼ぶからね〜」
トタトタと階段を駆け上がる私達の姿を見て、三つ編みちゃんが軽くため息を吐いた。
「もぉ〜騒がしいなぁ」
うむ、実に平和で穏やかな日々ではないかね?
「……ぬ、疲れた」
ベッドに飛び込んでグッタリとした幼女ちゃんが、フードを取ってそう呟く。下からは目立つ白髪が出てきた。
「まぁまぁ、久しぶりの外だったからねぇ。最近暖かくなってきたから過ごしやすくなってたよね」
「……うむ」
はい、つーことでね。ドライブ行ってきましたわ。
前にパピィ〜が家族でドライブしてぇな的なこと言ってたけど、それが今日だったんだよね。
いつの間にかレンタカー借りてきたパピィ〜は、朝イチからニンマリ顔で全員を車に詰め込んだ。
私と幼女ちゃんは参加するか迷ったんだけどね。そろそろ、ほとぼりが冷めた頃だろうと情報収集がてら車に乗り込んだってワケよ。
情報収集つっても単純に暇だったってだけなんだけどね。
ま、単純に楽しかったわ。
そういや観光なんて優雅なことやってこなかったからね。基本的に隠れ住んで逃げ回る生活してたもんで……。
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「今日行った高原のアイスクリームは濃厚だったね」
「アナタったら〜、二つも食べるなんてお腹壊しちゃうわよ〜」
「はっはっは、確かにね! 暖かくなったとは言え流石に寒くなっちゃったよ!」
「ふふふ〜」
はい、晩御飯の時間です。
献立は……シチューですな。
モニターを見ながら手慣れた家族での団欒。
マミィ〜がシチューを作り、パピィ〜がソレを褒め、三つ編みちゃんがモニターの内容について話す。
うむうむ、理想的な家族の一時よ……。平和だね〜。
「あ、英雄リードだ」
モニターを見ていた三つ編みちゃんが、映った人物に対して反応する。
「へぇ、リード ヴァーミリオンか。最近よくモニターに出てるよね。パイプ端末のチャンネルもお父さん登録してるよ」
割とミーハーなのか、パピィ〜がモニターに映っている幼さの残る赤髪青年をニコニコ見ていた。
ん〜……ぅん? なぁ〜んかこのアイドル見たいな男見たことあんなぁ……。
「……負け犬のとこのヤツだよ」
「あぁ、なるほどね」
幼女ちゃんの補足で思い出したわ。
負け犬パーティーのリーダー、『主役ヅラ』じゃん。
『それではリードさんは教会所属なんですね』
『えぇまぁはい。いつの間にかそんな事に……』
モニターの中の青年は、インタビュー慣れしてないのかリポーターの草臥れたオッサンの質問にシドロモドロで答える。
「このスレてない感じがいいんだよね」
概ねミーハーパピィ〜の評価は悪くない模様。
『リードさんはプロの冒険者資格を持っているとの事ですが、今後活動するダンジョンのご予定などはありますか?』
『え、えっと、そうですね』
リポーターの質問に困ったのか、主役ヅラはカメラの向こう側をキョロキョロしている。
すると、ススス……と黒子のように画面脇に男がやってきて、紙をテーブルに置いて去って行った。
『そうですね。予定では――』
「「ぶはっ! あひゃひゃひゃひゃ!!」」
私と幼女ちゃん大爆笑である。
『負け犬』じゃねぇか!! お前マネージャーみたいになってんの笑うんだけどッ!!
カメラになるべく映らない様に、顔を伏せて邪魔しない様にしてたけど、私達的には主役ヅラより気になるわ。
「ど、どうしたの二人とも! 怖いんだけど!!」
「アヒャヒャ! ふぃー! な、なんでもねっす」
ま、元気でやってるようで。
向いてんじゃない? マネージャーみたいな仕事。
細かい事に気づくし、気は弱いけど真面目やしな。
それにしてもウケるわ〜……。
相変わらず幸薄そうね。
「いまリード ヴァーミリオンには雑誌社がスポンサーに付いててさ。この企画が面白いんだよね」
営業とかもやってんのかな、負け犬ニーサン。
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……
…………
………………
『続いてのニュースです。最近セッテ区域で見つかった死体について、『二代目 亡霊デュラハン』として――――』
『捜査局は一連の事件を――なお、この事件について町長は『アーハー、知らないよー! ……いや、ほんと知らないんだけど……何それ?』と――』
――――――――――――――――――――――
ここはセッテ区域のある路地裏……。
「あははは、ばーか! 結局、関係ないだろ?」
「あはは! 確かにそうだったわ!」
二人の酔っ払った若者が飲み屋の帰りに、雪の薄く積もった路地を歩く。
「おっと、わりぃ。ちょっと忘れもんしちまったわ」
「なにやってんだよ。ここで待ってるぜ」
そのうちの一人が、飲み屋に忘れたマフラーを取りに道を引き返す。
ザクッ……ザクッと雪を踏み締め、ほろ酔いの彼は道を進む。そして……
「あた!! ……なんだ?」
何かに躓き倒れた。
頭を押さえて不機嫌そうに振り返り、彼は絶叫を上げた。
「うわっ! うわーーー!! し、死体がっ!! 子供の死体がーー!!」
彼の前には、少女が倒れていた。その事に彼は驚き、恐怖を覚えるが……『あ、あれ? なんだよ。ビビらせんなよ……』と直ぐに落ち着きを取り戻す。
「……ただの人形かよ。しかしよく出来てんな」
「お、おい、どうした!?」
彼の悲鳴に只事ではないと、連れの男が走ってきた。
そんなに離れていなかったので聞こえてしまったのだろう。
彼は上げてしまった悲鳴に、少々の恥ずかしさを込めながら、連れの男に笑いかける。
「いや、わりぃわりぃ。この人形に躓いちまってな。まったく子供の死体かと思ったぜ」
「……あん?」
連れの男はその言葉に首を捻る。
そして、『酔っ払ってんのか?』と呟いたあと、口を開いた。
「……人形なんて何処にあるんだよ?」
「……え?」
男は振り返る。
金髪の人形のあった路地へと……。
「…………え?」
何もない……路地が続いていた……。




