【ロストグラウンド】〜lost ground〜
どーも私です。
一般家庭に『その家の子供として潜り込む』という、言葉にするとわりと常軌を逸した現状ですが、想像以上にすこぶる快適です。
ただ、こんな生活にも、少しだけ惜しいなぁ〜と感じる部分もあるんですよね。
いやはや、人間と言うものは快適な生活を求めるとキリがないね。
贅沢な悩みだとは分かってるんだよ?
でもね――
「マミィ〜、今日のご飯なにッスかねぇ〜?」
エプロンに身を包んだポワポワした雰囲気の主婦は、振り返り私を見てニッコリ笑う。
「あら〜長髪ちゃん、今日のご飯は、野菜とお肉をソースで煮込んだ料理よ〜」
「マミィ〜……それ言い方変えてもシチューだよねぇ〜……」
「うふふ〜、栄養タップリよ〜。もうすぐお姉ちゃんも帰ってくるから、そうしたらご飯にしましょうね〜」
「マミィ〜はシチューを完全栄養食とでも思ってるのかなぁ〜?」
食事に偏りがあるんだよね……。
いや、うん。美味しいんだよ? 毎回味付けも変えてるしさ……でも毎食シチューは飽きるワケよ!
このお花畑が脳内に広がってそうなママさんねぇ! ほっとくとシチューばっかり出しやがる!
しかもねぇ……なにが恐ろしいかって、毎回ちゃんと作ってんのよ。
大量に作って余ったのを次の食事に回してるんじゃないんだ。それだったら食べ切ったら次は別の料理になるって思うじゃん!! 新たにシチュー作ってんの!!
シチューが終わらねぇ!!
シチューに復活の魔法掛けてくるボスだよコイツ!
「はっはっは、母さんのシチューは美味いからね」
リビングでモニターを見ていたハンサムな父親が、新聞を広げながら笑う。
「あ、でも母さん。職場でいい肉を貰ったから今日は庭でバーベキューにしないかい?」
おやパピィ〜、もしかしてお前……勇者か?
仲間を復活させてくるボスを倒すためのイベントアイテムだったりする?
「ん〜そうね〜。せっかくいいお肉貰ったんならお庭でグリルでもしましょうか〜」
やったぜ……アンタ最高の父親だぜパピィ〜……。
というか別にマミィもシチューに固執してるワケじゃねぇのね……。
「……」
余計悪いわ!
シチューに固執してねぇのにシチューを作り続けるマミィの精神どうなってんの?
まだシチューに固執してるんなら納得できたよ!
「ふふふ〜、楽しみね〜。アナタ〜、グリルセット何処しまったかしら〜?」
「はっはっは、ガレージの木箱だよ」
たいした理由もないのに一つの料理出し続けんな!
――――――――――――――――――――――
「うぃ〜……お腹いっぱいだわ」
「……うましうまし」
庭でバーベキューをして腹一杯に焼肉食べたよ。
ちと寒かったけど……。
いや〜、最初は外に出るのを躊躇ってたんだけど、まぁ庭先くらいなら問題ないやろ。
この辺りは開けていて隣の家も遠い。それに人通りも少ないからね。
植木もあるし目立つ幼女ちゃんの白髪を帽子で隠しておけば、庭くらいならヨシと判断した。
「よっよっ、ぐぃ〜」
ベッドに飛び込んで膨れた腹を捻る。
横を見ると幼女ちゃんは、グデっと寝転がっていた。満腹で動きたくないらしい。
あ〜イカンな。このままだと幼女ちゃんが太っちまう。ただでさえこの子、用がなければ動かないのに……。
太るのは構わないけど、いざと言う時動けないのは困るし何よりママさんが怖い。
そのうち運動させよ……。
「……」
うん? 部屋の扉の前で立ちすくむのは、我らが姉の三つ編みちゃんではないかね?
どうした……そんな所で黄昏たりして。
もしかしてベッド占領したこと気にしてる?
だったら安心しなよ、すぐにクローゼットに引っ込むから。
ん〜そんな感じじゃないね。
「おねぇちゃぁん? どったん?」
ぐっと腹に力を込めて上体を起こすとそう口に出す。
可愛い妹が聞いてやろうじゃないか。
「今日バーベキューだったでしょ……」
「美味しかったねぇ肉」
私の言葉に三つ編みちゃんは、遠い目をして窓の外を眺めた。外はもう暗くなっている。
「しばらく、バーベキューが続くんだろうなって思ってさ……」
「…………………………え?」
「お父さんさ、一度バーベキュー始めると飽きるまでバーベキューし続けるからね……覚悟しなよ」
パ、パピィー!!
お前も復活魔法を使用してくるボスだったのかい!?
勘弁してくれ……シチューよりキツくないかソレ……。
誰かこの家に栄養士呼んで!!
――――――――――――――――――――――
どーも私です。
「そろそろゲームでも探すかぁ〜」
今回は気楽にゲームを探せるね。急いで欲しい能力もねぇし。
結局大変なのはさ、どんな能力が欲しいとか考えてゲームを探すことなんだよ。
ゲームサイトで記述された紹介で『こんな能力作れそう』とか思ってプレイしてみても、あんまりゲームにその要素が関係なくて、欲しい能力にしずらかったりさ。
私のゲーム能力は、やったゲームから能力を引き出すわけだけど、そのゲームのどの部分を能力にするかは私の解釈しだい……。
つまり私がゲームの能力に関係が薄いな〜って思うと、その能力の出力が悪くなるんだよ。
「だからゲームやってみてから、能力を決めるのが楽なんだよね」
こんな能力欲しいな〜で探すよりもね。
「と言う事で、今回はちょっとボリューム多めの名作ゲームで絞っていこう!」
ふむふむ、週別売り上げで探すか? それとも特集記事を漁ってみるか?
「むふふ、新作ゲームとか行ってみちゃったりぃ?」
……今更だけど、『週別売り上げ』とか『新作』って意味分からんよね?
元の世界なんて時間が止まっとるっちゅうに……。
いやまぁ気にすんな!
ここは万能の領域……『私の領域』だからね。
なんでもアリなんだよ。
「んっとぉ……『名作RPG特集』か」
RPGねぇ……、実はRPGってあんまり手を出してないジャンルなんだよね。いや、手を出してないってのは語弊があるかな?
RPG
よく聞く単語だよね。誰しもがフワッとイメージ出来るんじゃない?
でもさ……ぶっちゃけジャンルとしては困るんだよね。
まぁ、意味合いとしてはプレイヤーが『役割を演じて遊ぶゲーム』ってことらしいんだけど。
「大抵のゲームはそうやろ……」
言葉の意味を真正面から捉えれば、『主人公』の存在するゲームなんて殆どそうだ。格ゲーだろうがシミュレーションだろうがね。
『キャラクター』という割り当てられた役割を自分が操作……演じることがロールプレイならそうなる。
「ま、あくまで意味だけで言うとね」
じゃあ|ロールプレイングゲーム《RPG》とは何ぞや?
答えは『なんとなく……』
そう、私が思ったのは『何となくRPG』なんだよ。
役割を演じるのがロールプレイング。
そんなのRPGじゃなくてもそうだろって思うよね。
初期のゲームだったらソレでよかったんだよ。
でもね、ゲームが発展して増えるに連れて、ゲームにも色々な要素が追加された。
アクション要素を取り入れた『アクションRPG』
シミュレーションを取り入れた『シミュレーションRPG』
なるほど、RPGとしての枠にゲームが収まらなくなったんだね。
いや、よくわかんねぇけど、何となく今までのに近いからRPGを付けてるのに近いのか?
「同じゲームでも場所によって記載されているジャンルが違ってたりするんだよね」
アクションだとかシミュレーションだとかね。
だからゲームにおけるジャンルってフワフワ定まらない物なんじゃないかなって思うんだ。
私の見解としては……キャラクターを強くしたりして冒険をするのがRPG。あくまで私の見解だけど。
明確にはジャンルなんてRPGに限らずフワッとした物が多いんだと思う。
「でもさ、何となくは分かるんだ」
あ〜、これはアクションだなとか、これはパズルだねとかさぁ。
「まぁ色々ジャンルについて考えたけど、結局はソレっぽくジャンルが分かればいい」
ってことで。
ゲームにおけるジャンルって人それぞれですってな。
いいじゃんRPG。何となく分かるだろ?
「ということで……えっと新作RPG」
【ロストグラウンド】〜lost ground〜
ほう……新作と言うだけあって紹介ページにあるPVの映像が凄まじいね。
神のような存在と禍々しい存在が、派手なエフェクトを撒き散らして、PVの最後では大地が砕けている。
おっと早速だね。
こっちだとジャンルはアクションって書いてある。
そしてもう一つ……
「……し、死にゲー?」
ごめん! 聞いた事ないジャンルだけど、意味は何となく分かるね!
これ、『高難易度』のゲームだわ!
「え〜……どうしようかな……」
う、う〜ん……。
私も色んなゲームやってきたし……難しいゲームにも挑戦してみる?
「えーい! やったるか!」
ここは勢いが大事よ! はいポチー!
【ロストグラウンド】〜lost ground〜
パソコン専用のゲームで、わりと高スペックのPCがないと駄目らしい。まぁ『私の領域』では関係ないけど。
まず大迫力で美麗なムービーが流れる。
これはPVでみたね。
えっとストーリーとしては、
かつて神々の戦争により、大地は砕け……散り散りになってしまった。アナタは遺跡を探索する冒険者だ!
っと掻い摘んで言うとこんな感じ。
「最初に種族を決めんのね」
明確な主人公というより、自分でキャラクターを作るタイプのゲームか。
種族によって得意な事や能力値が違うと……。
「よく分からんからランダムで……」
種族は『吸血鬼』か。
わりと想像通りの見た目になったな。
チュートリアルの洞窟を抜け外に――
「う、うぉおおお!! これはグラフィックすげぇわ!!」
一気にテンションが上がった。
どうやら遺跡の洞窟にいたのであろう主人公が、外に出て真っ先に目にしたのは、何処までも広がる青空。
そして遠くに見える幾つもの『浮遊大陸』
それを見る主人公からカメラが引いてゲームタイトルが表示される。
「なるほど、ロストグラウンドか」
このゲームはオープンワールドアクションRPGに分類される。いや、盛りすぎやろとも思うけど大体そんな感じ。
主人公はこの世界を自由に冒険するワケだけど、このゲームの特徴として、死にゲーが上げられる。
うん、わりと簡単に死ぬ。
実はチュートリアルで三十回は死んだ。
雑魚敵にですら簡単に死ぬ。なんなら二匹に囲まれたら確実に死ぬ。
すでに心が折れそうだけど、何度も死ぬうちに敵の動きを覚えて倒した時の達成感はたまらない。
なんなら雑魚敵で達成感を与えてくるのが怖いくらい。
敵の攻撃を読んで、隙にコチラの攻撃を叩き込む。
そして、このゲームの最大の特徴……それが、空中戦がある事……。
基本的に主人公どころか敵キャラすら飛ぶ。
何度も死んで分かったことは、まず敵を地上に落とす事。空中戦はそれからが始まりと言える。
そして、空中と地上では動きが変わる。
基本的に地に足をつける戦いになるけど、飛翔能力もある。素早い動きで旋回して後ろに回ったりする。
でも空中戦オンリーだと絶対に敵に勝てない。
敵を地上に叩き落としてからが本番なんだ。
「なるほど、妙に飛べるのはこのせいか……」
たぶんどの種族を選んでも何らかの能力で飛べるんだろう。
そして、その飛行能力で散らばる浮遊大陸を探索するんだな。
私の使っている『吸血鬼』も背中から蝙蝠の羽を生やして空中戦を行う。
どうやら『吸血鬼』は旋回能力が高くて、スタミナが低い特徴らしい。
そして、浮遊大陸にある遺跡に潜り、ランダムで配置された武器を得ることにより、その武器に経験値を注いで技を覚える。
武器種により覚える技が違うので、自分に合った武器を極めることになるんだろう。
「ふむ、飛行に特化したアクションRPGか……」
これはもしかして……
「私……飛べちゃいます?」




