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背後霊

本日二話投稿 コッチは二話目


「ちょっと冷蔵庫でも漁ってくるねぇ」


 おねぇちゃんとキャットファイトをしたその後、すぐに幼女ちゃんもスキマに戻ってきた。

 よく見逃して貰えたなと思ってたけど、どうやら意味の分からないことを言って混乱させた隙に有耶無耶にしてきたらしい。


「……のみもの」

「うぃ」


 スキマから出てクローゼットの中に、そして扉を開こうとしたが……


「んん? 開かないね」


 なんか扉の前でつっかえてんのか?

 ふぅ〜む、スキマを使って外に出ることも出来るけど、能力の虫干しがてら別の能力で出るか。

 こんな時でもないと使わない能力とかあるしね。

【私の領域】に入って能力を入れ替える。


 えぇっと、【言葉】と【スキマの能力】は外さないとして、【ジェットブーツ】と【妖球を生成する能力】か……。


 基本前者三つの能力は外しにくいんだよなぁ。そうなると【妖球を生成する能力】を外すかぁ。

 妖球のストックも結構溜まったし。


 ここは代わりに――

 

『闇に生きる者』

【霧化の能力】


 こんな所かな?


 私の体が黒い霧状に変化して、扉のスキマを通り抜ける。

 ぬぬぬ……少し通りづらい……。

 扉のスキマが狭すぎて霧が上手いこと流れないらしい。


 間が空きすぎるとスキマと見做されなくて、隙間が狭いと霧が上手く通れない……。


 やっぱ使い分けって大事やね。

 そもそも霧化の能力って使い所難しいし。


 まぁでも時間を掛ければ出られるね。

 クローゼットの外に少しづつ霧を通らせる。

 ある程度まで通ったら、外の様子が確認出来るようになった。


『ふむ……扉の前に椅子か……三つ編みちゃんがやったねコレ』


 その三つ編みちゃんといえば……机に座っていた。


 私は静かに三つ編みちゃんの後ろで実体化すると、バレないように覗き込む。

 ほぉん宿題でもやってんのかね。エライエライ。


 勉強の邪魔しちゃいけから話しかけないようにしとこ。

 


 すまんね……正直な感想としては、キミには悪いと思ってるよ。

 急に意味の分からん子供が妹だって言ってくるんだ……混乱もするし怖いだろう。


 でもゴメンよ。私達も一杯一杯なんだよ。


 いろんなもんに狙われてるからね。

 だから少しの間だけ、部屋を間借りさせておくれ。


 私は勉強の邪魔をしないように、静かに笑う。


 ふふ、霧化の能力で正解だったね。スキマの能力だと光で三つ編みちゃんに気づかれて、勉強の邪魔しちゃう所だった。


 配慮くらいするさ。

 迷惑掛けてる自覚はあるからね。



 ――――――――――――――――――――――




 明日はスクールは休みだ……。

 だから、本格的に部屋のクローゼットに住み着いた怪異と向き合うことにした。


 念の為に服の下には十字架のネックレスをつけて。


 まぁ結果的にいうと失敗だろうか?

 追い出すことは出来なかった。いや、出来なかったと言うか思ったより弱くて拍子抜けした。


 そして有耶無耶のままクローゼットに戻っていった。


 その時、白髪のほうの怪異が言っていた。


『あっちは違う』


 自分は人間だと……

 どうだろうか?

 長髪の方は髪が伸びて動くという怪異だろう。

 でも白髪の方も十分怪異としか思えない。


 黒く染まる白目に赤く光る瞳。

 そして見た目に反して苛烈な性格。


 まぁ……弱いと言うのが分かっただけでも安心だ。

 いざとなれば力づくで追い出すことが出来る。

 それだけでも安心感が違う。


 ふと……宿題の手を止め、机に視線をやり……


 恐怖した……。


 机に置いてあるスタンドミラー。

 そこに映る、ペンを持った私の後ろ……椅子の後ろに黒い人型の靄が映り込んでいた。


 ドクンドクンと激しく脈打つ心臓。


 黒い人型の靄は椅子の後ろから……私を見ていた。

 やがて……徐々に黒い靄は実態を現す……。


 長い髪……


 この時、白髪の少女の言葉が頭によぎる……



 『あっちは違う……』



 黒い靄は徐々に輪郭をあらわにする。


 そして、長い髪の怪異は……私を後ろから見て……



 ニィイイ……



 と口を歪めた。






「や……」


 拳を握る……


「やってやらぁああああ!!!」

「おぶっふッ!!」


 そして振り向き様にぶん殴ってやった……。


「こんガキゃあ!! 何すんじゃワレぇ!! 人が勉強の邪魔しないようにしてやったのによぉ!!」


 床で顔を押さえながらバタバタしている長髪の少女を見下ろして……私は自分の拳をみていた。



「……殴れるんだ!!」

「何言ってんのこのガキ!?」



 幽霊って殴れるんだ!!

 



――――――――――――――――――――――



「いてて……あのクソガキ……思いっきり殴りやがって」

「……どうしたの?」


「三つ編みちゃんの勉強を邪魔しないように、後ろから覗きこんでたらぶん殴られた」

「……………………………………………………………………………………なるほど」


「気をつけなよ幼女ちゃん。結構獰猛だよアレ」

「……お前がわるい」


「なんで!!」


 いちち、クソぉ。


 まぁいい、今度から後ろに立つのやめとこ、俗世を離れた達人かっての。


 

 気を取り直して……新しいゲームでも探すか。


 一応今は平和だから取り立てて必要な能力もないな。

 有名どころのゲームで攻めてみるか?


 いいねいいね。考えててテンション上がって来たぞ。

 有名ってことは面白いゲーム多いだろうしね。

 時間もあるし、ちょっとばかりボリューミーな感じのゲーム選んじゃお。


 どちらにせよ……


「明日だね」


 だってさっき能力の入れ替えで【私の領域】に入ったから今は入れんのよ。



 

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― 新着の感想 ―
この拳…… 勢力「小悪魔」の新しい戦力としてスカウトせねばd( ̄  ̄)ただし扱いはグラサン枠とする 新しいゲームと能力楽しみだなー
娘ちゃん>主人公>市長>ヴィィ つまり最強格…!
三っちゃんに幽霊は殴れる何て間違ったこと教えちゃダメだよ… と書いてる途中で幽霊殴れそうな登場人物のほうが多い気がしてきた
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