役所で手続きをするとなんだかんだで半日はかかる
今回はスマホから投稿してみました。
最後まで読んで頂けたら幸いです。
テレジアさんはラクタ村の事を小さな宿場町と言ったがそこまで小さくはないように見えるラクタ村の外観は越えようと思えば簡単に超えられそうな1メートルちょっとの木の柵で囲まれており、4っつの出入り口があると言うのはテレジアさんから聞いていた。もっともここからでは一つしか見えない。その出入り口は2種類に分かれており、片方は村人用の出入り口でもう片方はその他の出入り口である。中の建物は大きい建物が多く宿か倉庫と思われるものが多い、また、畑などが見られない事から完全に中継地点である事がうかがえる。ここまでは良かったが村に入る列が長かった。まあ考えてみれば、宿場町なんだから商人の出入りが激しいのは当然なのだが商人意外にも武装した冒険者と思われる人たちも多く列が長くなるとのに一役買っている。まあ、なにが言いたかと言うと。
《暇だ》
氷花だけ聞こえるようにグチをこぼす。
「スキルを確認したり、自分の事を思い出したり、やる事はたくさんあるね」
《スキルの確認は周りに他人がいる状況でやりたくない。過去はもう興味ない》
「なんで」
と頭の中に大きな氷花の声が響く
《そんな大きな声を出さずとも聞こえている。スキルは単純に人に知られる可能性は潰しておきたいし、過去はもう行けない日本での事だし、あっちじゃ俺は死んでるしな、思い出しても仕方がないだろ》
と言うと少し沈んだ声が返って来る。
「まあ、そうかも知れないけど」
村を観察したり氷花と話したりしていると意外と早く番が回ってくる。
「身分証明をお願いします」
いかにも事務的に帯剣した門番の男が声をかけてくる。
「あー、すいません俺は異世界人なんですけどここで手続きをしないといけないって話しを聞いたんですけどどうしたらいいんですか?」
「なんか、しゃべり方が変だね」
《うるさい》
「えっ、異世界人?本物か?うそだったら厳罰だぞ。分かってるのか」
なぜか門番が半ギレな上偽物か疑われているが、本物だし偽物だったら厳罰だろうが問題ない。
「大丈夫ですよ」
と言うと不機嫌そうに後ろにいた門番と交代すると
「ついて来い」
と言ってきたのでついて行くと出入り口の側に立っている建物の机と椅子があるだけの一室に案内されると。
「そこに座れ」
なぜかさっきから門番の機嫌がやたらと悪いので静かに座ると、門番はどこかからボウリング玉のような物とノートを持って来て玉を机の上に乗せてノートを開くと。
「その玉の上に手を乗せろ」
素直に手を乗せると玉が黄色く光る。
「そのまま1時間じっとしていろ」
まじかよ、本日二度目の
《暇だ》
「そうだね。でも前の門番さん見てなんかものすごい勢いでなんか書いてて『暇だ』なんて言っている余裕はなさそうだね」
確かに前の門番はノートになにか必死に書いてる。
《なるほど。これだから門番の機嫌が悪かったのか》
「確かに大変そうだね」
どっちにしろ待つしかないのだから氷花と話しながら待つとしよう。
「ふう。ようやく終わった。ええと、本物の異世界人だな、じゃあこっちの書類を書いてくれ。」
問題なく異世界人認定してもらえたようだ。
「日本語でいいんですか」
「大丈夫だ。問題ない」
《なあ氷花。これってダメなやつじゃないか》
少なからず日本ではアウトだ。神様でてきちゃうやつだ。
「まず間違いなく偶然の一致だね」
まあそう氷花が言うなら大丈夫なのだと信じて書類を書き進める、内容はほとんどアンケートのようなもので、面白い質問としては『ここにはトラックにはねられて来ましたか』や『MMOなどのゲームのアバターやキャラクターの姿ですか』と言ったものがあり面白がっている内にすぐ描き終えることができた。
「終わりました」
と言って門番に書類を渡すと軽く確認してから
「そこで待っていろ」
と言って部屋から出て行ってしまう。つまりこれは、本日三度目の
「お前が新しい異世界人か?」
暇だ。と言おうしたタイミングで扉が開き、日に焼けたガチムチが声をかけてきた。
「そうですよ」
と答えると、こちらをジロジロと見て来る。
《まさか、ホモじゃないよな》
「違うね。と言いたけどやたらとジロジロ見て来るから否定しきれないね」
そう未だにガチムチさんは俺のことわジロジロ見続けているのだ。
「すいません。何か付いてますか」
と言うと、焦ったようにガチムチさんが答える。
「すまない。あまりに強そうだったので見続けてしまった。許してくれ」
強そう?俺の見た目は背丈こそ182センチあるが、肩幅は普通、筋肉だってそこまで付いてない。少なからず前にいるボディービル世界チャンピオンみたいなガチムチさんから強そう発言をされる理由はない。などと考えているとガチムチさんが。
「すまない。ちょっと用事があるので帰らせてもらうよ」
と言うのとほぼ同時に出て行ってしまった。
《何だったんだ》
「分からないね」
まあいい、最悪の事態ではなかったのだから良しとしよう。
それから門番が異世界人証明と言うのを持ってくる頃にはすっかり日が暮れていた。
次回はテレジアさん、門番さん、ガチムチさんの視点で書いてみようと思います。