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どうでも良い事を気にしていると大事な事を忘れる

最後まで読んで頂けたら幸いです。

魔方陣的な物が何か光ったり、浮遊感を感じたりする事なく気づいたら異世界と思われる森の中に立っていた、氷花の世界にいた時との違いは服装ぐらいでもともと特筆する所もないただのシャツとズボンだったが、今は時代劇なんかで見る着流しに日本刀を腰にさしている姿であることから、まず間違いなくこの日本刀が氷花だろう。

「おーい、氷花」

「なに零君?読んだ」

と氷花の声が頭の中に響く。

「ここが異世界って事で良いのか?」

「間違いなくここは異世界の森の中だね」

こころなしか弾んだ声が返ってくる。

「なら、もうチートはもらってるのか?」

「私を抜けば実感出来るね」

といわれたので氷花を抜こうとしたら、抜こうとした時点で実感出来る。剣術や抜刀術はもちろん体術や足運びと言った元の世界でも存在した物が、異世界の身体能力強化や魔法を踏まえた物に練り直され体に自分の物として定着している。

「なるほど、これはすごい」

そう言いながら近くの直径50センチ位の木を切ると抵抗なく、真っ二つに切る事が出来た。

「完璧だな。さすがチートって所か」

「そうだね。でも私としてはやっぱり生き物を切りたいね」

「大丈夫、こう言う時は都合良く魔物が来るものだ」

俺が自慢気に言うと

「記憶喪失をこじらせてるみたいだね。それは物語のお約束、いわゆるご都合主義だね」

などと言われたがそんなことはない様で、きちんと魔物が来る。それもあの緑色の肌に醜悪な顔。間違いなくゴブリンだ。

「グギャー」

「ほら見ろ。ちゃんとゴブリンさんが来てくれたぞ、しかも初手ゴブリンとは分かっているゴブリンじゃないか」

俺が胸をはって言うと、どこか残念ものを見るかの様に

「いや、まず間違いなく偶然だね。ゴブリンは雑魚の鉄板なのも物語のお約束だからね、気をつけてや戦うんだよ」

と諭された。

「言われるまでもない」

初戦と言うのはなんだかんだ負けたり劣勢になる事が多い、それでなくてもいつ安全地帯に着くか分からない。慎重に体力を温存しつつそれでいて確実に切る。

ゴブリンの数は5匹なので数の上では圧倒的な劣勢だが相手は腰布に木の棒を装備しているだけだ、冷静に1匹ずつ切ればどうと言う事はない。

まず身体能力強化をし先頭を走るゴブリンに向かってけん制のために横薙ぎの斬撃波を放つ、だがやはりゴブリンは雑魚だったらしく、けん制の一撃で5匹全員真っ二つなり光の粒になって行く。

「死体が光の粒になるとは、ゲームみたいだな」

「断末魔をあげる暇もなく殺ってしまった事に対する反応はないんだね。えっと、光の粒になるのは魔物の体が魔力で出来ているからだね、死ぬと体を構成していた魔力が散るのが光の粒に見えるみたいだね。ん?コアになっていた結晶、魔石が残っているみたいだね」

そう言われて見てみると確かに赤い小石が5個転がっているので集めておく

「何かに使えるだろ。例えば換金とか売却とか売るとか」

「もう使い方決まっちゃってるよね。お金にする気まんだよね。売れるとは限らないよね」

何をするにもふところが寂しくては始まらないのはきっと異世界でも変わらない。と言うより魔石が売れないと本気で金が稼げなくて行き倒れる。

「魔石が売れないと魔物狩りは趣味になるから氷花を使う頻度も間違いなく下がるな」

「その魔石良い値段で売れそうだね」

見事なまでの手のひら返しだな。

「今更だけどなんで木が切れてないの?」

「 やっと気づいてくれたな、なんとさっきの斬撃波は木を切らない環境に優しい斬撃波だったんだ」

我ながら完璧な技だ。

「凄いけど、イマイチすぎる技だね。森の中でしか使えないよね」

「ギャっギャ」

またゴブリンだ、しかも今度は12匹もいる、ちょうど良い環境に優しい俺の斬撃波がいかに優れているかを証明しよう。ちょうど木の陰に隠れて俺を矢で打とうしているゴブリンがいるし。

「イマイチじゃあないぞ。見てろ【環境に優しい斬撃波】×3」

木の陰のゴブリンもこちらの斬撃波に気づく事なく、真っ二つで光の粒になっている。完璧な結果だ。

「技名と×3はそれで良かったの?あと普通にこっちに来てたゴブリンも気づいてなかったよね。単純にゴブリンの認識速度超えてたから気づかなかっただけだよね、木の陰だとか関係なかったよね」

魔石を集めている間、俺の技は氷花によってよねよねとダメだしされて行く。

「俺の精神は記憶にある限り最大のダメージを受けた」

「記憶喪失だよね」

完全論破されてしまった。こう言う時は話題のすり替えだ。あと【環境に優しい斬撃波】は二度と打たない。

「こんな事ではいつまでたっても街につないぞ。それに喉も渇いてきたし食料とか水ってってどうなってるんだ」

少なからず俺は氷花しか持ってない。

「! アレだよ。そう その アレ。そのサバイバルだんね」

ひどく慌てた氷花がひねり出した答えは『サバイバルだんね』。

「聞きたい事はたくさん有るがまず『だんね』ってなんだ」

俺は今回はこちらが完全論破出来る予感と餓死の気配を同時に感じた。

改善点、要望などあったらお願いします。

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