後始末
どうすればいいんだよ。アレグロは信じられない量の血が出てる。俺はズボンも脱ぎ、更に腕を縛り上げる。手首の少し下辺りで骨ごとぶった斬られてる。
「アレグロ!」
「・・・カバラさん」
「なんだ!」
「・・・抱きしめてください」
俺は強くアレグロを抱きしめる。アレグロは片方の手で俺の背中を撫でた。
「カバラさん」
「なんだ!」
「・・・ダカーポが来ましたよ」
振り向くとダカーポが駆け寄ってきた。
「しゅ、襲撃!?」
「ダカーポさん!アレグロが!」
「っ、アレグロ!」
ダカーポさんは血相を変え、屋敷に戻った。俺はせめてアレグロを強く抱きしめる。
「レン!アレグロを寝かせて!」
俺はその場にアレグロを横たわらせる。もう、息も絶え絶えになってる。
「レン!しっかり抱きしめて押さえつけて!」
俺は言われる通りにする。ダカーポさんは屋敷から持ってきた何かを傷口に押し当てた。傷口から煙があがる。
「っあっあああぁあぁぁぁああっ!!」
アレグロがのたうち回るのを必死に押さえつける。ダカーポさんはすぐさま屋敷に戻って行った。
「ああっあっあああっあぁぁぁあ!っ!あぁ!」
「アレグロ!しっかりしろ!耐えろ!」
ダカーポさんが戻ってきた。手には幾つもの薬品が握られている。右腕に注射針を差し込み、薬品を入れる。
「ダカーポさん、な、何をすればいい?」
「抱きしめてて!」
アレグロ声にもならない声をあげ、俺の首筋に噛み付いた。いてぇ。でも、アレグロのが痛いんだ。ダカーポは腕に同じ注射器で様々な薬品を体内に入れていく。そしてしばらくするとアレグロの動きが止まった。
「だ、ダカーポ!」
「・・・薬品で気を失わせた」
心臓に耳を当てると弱々しくだが動いてる。
「・・・後は、アレグロの回復次第」
「・・・くそっ」
「・・・足持つから、屋敷の中に運ぶよ。それに君も軽傷じゃないし」
左足を指さされた。出血している。
屋敷のベッドにアレグロを寝かせ、俺も隣の椅子に座る。足の怪我はたぶんマッチロックの暗器のナイフかなにかっぽい。おそらく靴に仕掛けがあったんだろう。そんなことはどうでもいい。アレグロはベッドに眠っている。点滴が首に打たれている。傷はダカーポさんが縫い合わせていたから血は止まっている。もし、目を覚ませれたとしてももう武器は振れないだろう。
「アレグロ!レンさん!」
扉を開け、血相を変えたベレッタが飛び込んできた。
「・・・ベレッタ」
「怪我は!?」
「俺は軽傷。でも、アレグロが」
「っ!アレグロ!」
ベレッタは駆け寄り、右手を握った。
「・・・ベレッタ」
「っ!アレグロ!」
アレグロは目を開けずに口を開いた。
「うるさい」
「・・・」
へなへなとベレッタは尻もちをついた。俺も思わず立ち上がり、アレグロを抱きしめた。
「・・・よかった」
「・・・カバラさん」
「・・・なんや」
「・・・もう少し、このままで」
アレグロはまた俺の背中を撫でた。
「ん、んんっ、そろそろいいですか?ききたいことがいります」
「だってさ、アレグロ」
「お断りします」
「えっ」
「あ、アレグロ?」
「このままカバラさんが抱きしめてくれてるなら話します」
「・・・いいでしょう。まず、襲撃者の正体はなんですか?」
「んー、俺はよくわからんかったな。庭で煙草吸ってたらイキナリ2人がやってきて、そいつらを、その、さ、殺したらもう1人来て、そいつに、アレグロの腕を切られた」
「・・・そう、ですか」
「ベレッタ」
「はい?」
アレグロはようやく目を開けた。
「カバラさんも、カンタービレも守りました」
「わかっています」
「だから、クビにしないでください」
「・・・なにを言うかと思えば。何年一緒に暮らしてると思うんですか。やめさせるわけないです」
「・・・そうですか」
「ええ。そんな心配しないでください」
アレグロは嬉しそうに喉をゴロゴロならした。どうやってやるんだよそれ。
「それで、名前とかは聞き出しましたか?」
「えっと、マイセンの一番槍の、なんだっけ火縄銃さん」
「ヒナワジュウ?どちら様ですか?」
「えーっと、なんやっけ、パッと思い出せん」
「カバラさん」
「なんや」
「マッチロックです」
「そう」
「マイセン、ですか」
「ご存知?」
「はい。マイセンと言えば貧民街のちびっ子ギャングの名前だったハズですけど。ちびっ子ギャングって言っても本人達がそう言ってるだけでただのわんぱく盛りの子供ですけど」
「・・・じゃあ、適当言われたのか」
「いえ、マイセンという名称を知っている時点で貧民街と繋がり、少なくとも認識があるようです。これは大事な情報です」
「なるほど」
「カバラさん」
「なに?」
「少し、部屋から出てください」
「な。なんでだ?」
「いえ、トイレに行きたいのですが、薬のせいで体がロクに動きません。なので、ここでします」
「ちょっと!アレグロ!抱き抱えますのでやめてください!」
「いえ、限界です。早く、カバラさんは出てってください」
俺は背を向けた。そのまま部屋から出た。俺はどんなテンションでこの部屋に戻ればいいんだ。もういいや。自室に戻る。
自室のベッドに腰かける。ついでに下着姿になる。まーた包帯だよ。ダカーポさんが巻いてくれたけどこんなに怪我するならもう巻き方覚えるべきよな。
「し、失礼します」
カンタービレちゃんだ。
「し、しつ!失礼しました!」
開けて下着姿の俺を見て慌ててUターンした。ごめんて。俺はパジャマっぽい服を着る。
「ごめんごめん」
「い、いえ、っ、あの、勝手に開けちゃった、わ、私が悪いです」
「別にパンツくらい見られても構わないよ」
「そ、そうですか?」
「んで、なんの用?」
「いえ、あの、ダカーポさんが探してました」
「あらそう」
「それと、あと、さっき何があったんですか?」
「・・・んー、ちびっ子ギャングのイザコザだよ。さ、行こっか。どこにいるの?」
「ダカーポさんの私室です」
言うべきなんかな。まぁ、子供に無闇矢鱈に怖い思いさせる必要はなさそうだし、ベレッタに任せよう。
「ダカーポさん、入りますよ」
「どーぞー」
私室に入る。カンタービレちゃんはそそくさと出ていった。
「やぁ」
「どうしました?」
「・・・その、私が守るべきだったのに。申し訳ございません」
「な、なにがだ?」
「レン君の足の怪我です」
「ああ、こんなの致命傷だよ」
「死にかけているではありませんか」
ふふっとダカーポは笑った。ハッとしたように顔を擦り取り繕った。
「なんなりと、私に罰をお与えください」
「いや、罪と罰もなにもないよ」
「いえ、客人にご迷惑をお掛けした時点で
「ごめん、話変わるけどいい?どうしても気になって」
「は、はい」
「この、えっとさも俺が手に取りやすい位置に置いてあるこのこのロウソクは? 」
「低温蝋燭です。そのロウを私にかける罰用に」
「・・・じゃあ、この鞭は?」
「私を鞭打ちする用にです」
「・・・じゃあ、この、その、ディルドは?」
「私のお尻
「おっけわかった聞きたくない。ダカーポさんは、その、マゾヒストなのか?」
「・・・」
「答えて」
「は、はい」
頭を抱えたくなる。どんなメンバーだよ。
「あはは、騙された?」
「なにが?」
「冗談だよ。レン君が沈んだ顔してるからね」
「じゃた蝋燭は?」
「普通にいい匂いがする蝋燭だよ」
「鞭は?」
「これ、私の鞄から肩にかける紐だけ外したただの紐」
「じゃあ、ディルドは?」
「これは・・・お尻じゃなくて普通に自慰用に」
「・・・」
「レン君」
「?」
「アレグロの手はショッキングだと思う。でも、客人を守るのが私達の仕事だから気にしないで」
ダカーポは俺の手を掴むと、太ももを触らせてきた。
「ね?」
人の温度ではなく、鉄だとかの金属の温度だった。そっか、義足なんだな。
「んじゃ、それだけ」
ありがとうと言うにも照れくさいな。
「ダカーポさん」
「ん?」
「それ、自慰用って言ってたけど本当は?」
ダカーポさんは悪戯っぽく笑った。
「さーてね」
結構迷ったけど、結局アレグロの部屋に戻った。
「あれ?ベレッタは?」
「シーツと布団の掃除です」
「・・・」
「カバラさん」
「なに?」
「背中が痒いので、引っ掻いてください」
「どの辺だ?」
「右肩当たりです」アレグロの来てる服の中に手を入れ、優しく引っ掻く。
「この辺?」
「もう少し上です」
「ここか」
「もう少し強くお願いします」
「はいよ」
・・・気まず。何だこの時間。
「カバラさん」
「なんや」
「気まずいです」
「奇遇だな。俺もそう思った」
「なにか話したいこととかありますか?」
「んー、その、手は痛いか?」
「今は薬で痛みはないですが、薬に頼り切りは癪なので明日から少しずつ減らしていきます」
「へぇ」
「カバラさん」
「なんや」
「話題のチョイスが三下です」
「ほっとけ」
「カバラさん」
「なに?」
「私が話したくなりそうな話題をください」
「んだよその振り。んー、えーっと、あ、アレグレットさんについて教えてよ」
「・・・」
アレグロは露骨にそっぽを向いた。お気に召さないようだ。
「じゃあ、お気に入りの武器は?」
「・・・」
またそっぽ向かれた。
「じゃ、じゃあ星の話とか」
「・・・カバラさん」
「なんや」
「私が話したいのは自分のことと、あなたのことです」
「・・・じゃあ、俺について聞きたいことある?」
「はい。なんでベレッタと仲良くなったんですか?」
「いや、俺もわかんねーんだよね」
「・・・あなたと話すことはなにもありません」
「なんでや」
「カバラさん」
「今度はなんだよ」
「話すことはありませんが、部屋から出ていかないでください」
「まだ痒いか?」
「もう大丈夫です。でも」
「でも?」
「もう少し、私の体に触れていて欲しいです」
「・・・ああ。手、出して」
「?こうですか?」
俺はアレグロの手を握った。
「・・・カバラさん」
「なんだ?」
「・・・これは、私のただの独り言です。聞き流してください」
「ああ」
「独り言です。返事しないでください」
「・・・」
「ずっと傍にいてください。ベレッタの伴侶だとしても、アレグレットの浮気相手だとしても、ダカーポとの愛人関係だとしても、私達の傍から離れないでください」
「・・・そ
「返事をしないでください。独り言です」
きゅっと手を握られた。
「・・・カバラさん」
「・・・」
「・・・多分、これか好きってことなんでしょうね」
アレグロは手を離した。
「夜更け前です。もう寝ることを推奨します」
「・・・」
「カバラさん」
「・・・なんや」
「おやすみなさい。また明日」
「ああ」
部屋から出る。いつの間にか降り出した雨が窓を叩いている。煙草を吸う気にもならす、自室のベッドに飛び込んだ。
翌朝。まずは煙草。喫煙所にのそのそ歩いていく。雨上がりの水溜まりを踏まないように下を見て歩く。
「おはよ」
「おはよー」
ダカーポさんだ。新聞を読みながら煙草吸ってる。
「新聞ですか」
「ん?そうだよ」
「印刷技術はあるんだな」
ポケットから箱を取り出す。
「・・・空じゃねーか」
「あれ?ないの?一緒に買い行く?」
「いいんですか?」
「うん、ちょっとベレッタに言ってくるね」
数分後。何故かダカーポではなくベレッタ本人が来た。
「お、お待たせしました。さて、行きましょうか」
「あれ?ダカーポさんは?」
「何の話ですか?」
「俺ダカーポさんに
「何の話ですか?」
「・・・なんでもないです」
「さぁ、行きましょうか」
「ベレッタはなんで煙草吸わないんだ?」
「え、そちらの立場から責められることってあるんですか?」
「いや、そうじゃあなくて。街中見ても皆吸ってるからさ」
「確かに、煙草は受け入れられてから愛煙家が相当増えましたし」
「俺の住んでた所は煙草は古いみたいな空気になりつつあったんだよね」
「じゃあ、なぜ辞めようと思わなかったのですか?」
「さぁーてね」
茶屋に入り、今度は違う銘柄を吸ってみよう。この青いハイライトみたいなパッケージの煙草とハイメンみたいなパッケージの煙草を手に取る。
「あ、お金」
「はいはい」
支払って貰った。悪いねぇ。
「てかさ、国王陛下さんこっちの世界に来た人には2週間暮らせるくらいのお金渡すって言ってたよね。俺受け取ってないんだけど」
「ああ。私が面倒見ますから結構ですと辞退させてもらいました」
「なにしてんの!?」
「え、いや、陛下に美味しいお酒頂きましたし」
「酒に絆されるな!」
「と、とにかく!お小遣いは毎日煙草2箱分差し上げますから!はい!朝ご飯食べに行きます!」
強引に腕を捕まれ、引っ張られてった。
入ったレストラン。俺はいつも通りメニューの端と端を頼んだ。ベレッタはカプチーノとベーグルだ。俺に来たのはティラミスとシャンパンだ。
「・・・」
「なぜ学ばないのですか?」
「いや、この世界はデザートが1番最初のページに書いてあるんだな」
「この瓶のシャンパン、滅茶苦茶高価ですからね」
「それはごめん」
ティラミスねぇ。少し困ってたら何も言わずベレッタか自分のベーグルと入れ替えてくれた。
「レンさん、その瓶は持ち帰って家で飲みます」
「そーしよっか」
店員を呼び、コーヒーを頼む。出されたコーヒーはやっぱ砂糖とミルクが既に入ってた。クレームは入れてもクリームは入れるなって教わらんかったんか?まぁいいや。
「レンさんはそろそろ街から出てみますか?」
「んー、どうしようかね」
「特に用事がないなら、少し兄に挨拶しに行きたいのですが」
「んー、なんの挨拶?」
「いえ、普通に近況報告がでらです」
「俺は別に兄貴さんと仲良くないし、ソロで行きなよ」
「・・・そうですか」
俺がちぎって食べてたベーグルを掴み、食べられた。
「・・・レンさん」
「ん?」
「昨日のことですが」
「・・・」
・・・アレグロは手を失った。アレグロは気にしていない素振りだったけど、俺のせいみたいなもんだ。あの時、素早くスライドを引いて殺しておけば、人殺しを躊躇わなければ俺は、アレグロは無事だったのに。
「まだ、沈んだ顔のままですね」
「・・・バレた?」
「ええ。付き合・・・んんっ、関わってみてまだ3日しか経ってませんけど、少しは分かるようになってきました」
「よく見てんだな」
「い、いえ、べ、別に。あ!話逸らしましたね!」
「逸らしてねーよ」
「・・・アレグロの手は、義手があります。そんなに気を落とさなくて大丈夫です」
「いや、傷焼いてなかったか?」
「焼いた部分を切り落として、義手をくっつけます。どっちみち義手は肘から先ですので」
「義手とか義足はどれくらいの性能なんだ?」
「義足は、ワイヤーを手で操作できますからパッと見で気が付かないです。しかし、義手は、その、手の模型のようなものを付けるだけなので、かなり不自由です」
「・・・」
「・・・アレグロは、あなたが悲しむのを望んではいません」
わかってるんだけど、今、その話はしないでほしいぜ。
「・・・そもそも、私が屋敷から離れていたからこその不手際ですし」
「・・・」
「ですので、そう気に病まな
「少し黙ってくれ」
「っ」
「あっ・・・わりぃ。頭回ってなかった」
「・・・少し、歩きましょう」
俺は甘ったるいコーヒーが入ったカップを置いた。
「いや、少し1人にしてくれないか?」
「できません」
「あ?」
「できません」
少し凄んだのに、ベレッタは少しも怯まずに言った。
「あなたを今、独りにはできません。私はアレグロよりあなたの精神状態の方が不安です」
「言ってろよ」
俺は飲み干さずに椅子を立った。ベレッタもお金をターブルに置き、立ち上がった。
「・・・」
「・・・」
俺は何も言えず、店から出た。ベレッタは何も言わずに着いてきた。俺は煙草に火を付ける。ベレッタは何も言わない。俺も何も言わず、何も言えず、大通りを歩き出した。ちらりと後ろを見ると少しベレッタが小走りになっている。俺は少しだけスピードを落とした。
「・・・なぁ」
「・・・はい」
「・・・どこまでついてくる気なんだ?」
「レンさんの足が止まるまでです」
「・・・」
「・・・」
「・・・もう足が止まりましたか?」
「言ってろ」
俺はまたゆっくり歩き出した。ベレッタは俺の斜め後ろを同じペースで付いてきている。
「・・・レンさん」
「なんだ」
「この先は貧民街です。方向を変えてください」
無視してそのまま直進する。ベレッタは素早く俺の前に回り込んだ。
「・・・」
「・・・右側が歓楽街、左側は自然豊かな公園です。どっちにしますか?」
俺は意地を張り、肩を軽く押しのけた。しかし、びくともしない。
「・・・重た」
「ちょっと!乙女に何て言い草ですか!違います!筋肉です!撤回してください!」
「・・・ふっ」
「ちょっと!」
「・・・悪かったよ」
俺は左に曲がった。
「公園ねぇ。ベンチでコーヒーでも飲もうぜ」
「いえ、こっちは歓楽街ですよ」
「・・・なんで左って言ったんだよ」
「あ、私から見て左です」
俺から見て右に曲がり直す。自販機はあるかな。
「少し座って待っててください。コーヒーを買ってきます」
「あ、砂糖とミルク入れないで貰ってきて」
「そんなものコーヒーではありません」
行ってしまった。まーじで話通じないな。ベレッタを見送り、煙草に火をつける。この世界に来たばっかってのに色々ありすぎてる。能力の詳細もわからないままアレグロは手を失ったし、俺は魔獣にも人間にも襲われた。どんな世界だよ・・・この煙草美味しいな。昨日吸ってた銘柄も甘かったけどコレ全然甘くない。セブスターっぽい。まぁ俺洋モクのが好きだけど。
「お待たせしました」
コーヒーを持ってきてくれた。
「え、なんでカップに入ってるの?」
「お金払って外で飲んで、カップは店に返します」
「紙コップは?」
「何を言っていますか?紙がコップになるわけないですよ」
明らかに白濁してるコーヒーを飲む。やっぱ甘いじゃねーか。
「コーヒーと紅茶はどちらが好きですか?」
「コーヒーかな。紅茶あんま飲まない」
「そうですか。私は紅茶の方が好きです」
「そうか」
「・・・」
「・・・」
「あの、もう少し反応してもらっていいですか?」
「ふふっ」
「・・・私もあまり同年代の男性と話す機会が多く無いんですよ。ですのであまり盛り上がるような話題を知りません」
「やから?」
「や、やから?えっと、なにか話したいこととかありますか?」
「んー、エロい話する?」
「え、えっちな話ですか?」
「ああ。飲みの場では絶対出る。じゃあ無難に好きな体位は?」
「タイイ?な、なんですか?」
「・・・・とりあえず、ベレッタの性知識を知りたい」
「は、はい」
「子供ってどうやってできるの?」
「えっと・・・い、言いたくないです」
「んー、知ってはいそうだな」
「そもそも公衆の面前でこんな話しちゃダメです!」
「観客は鳥しかいねーよ」
ありゃウミネコか?
「と、とにかく他の話題はありませんか?」
「ないな」
「そ、そうですか」
「・・・」
「・・・レンさん」
「なんだ?」
「・・・少し、眠りますか?」
「ここでか?」
「ええ。疲れてそうな顔してますし」
「・・・」
ベレッタはカップを地面に置き、膝を軽く叩いた。
「どうぞ」
俺の頭を軽く押し、寝転がせた。俺はそのまま目を閉じた。




