6 凄く、雑に終わらせたな
(死んでしまうとは情けない。)
そんな声と共に眼を開けると、其処は石壁の朽ちかけた神殿のような建物の中だった。うん、全然意味が分からないね。俺、モンスターに懐かれたんだよね。どこに死ぬ要素があった?
「・・・どうなって死んだんだ?」
(懐いたエキュルの個体が安全だという信号を発信した為、個体が属する集団が押し寄せ圧迫でダメージを負って死亡しました。)
素朴な疑問にすかさず答えてくれるスツィさん。
「成る程。」
(デスボーナスの獲得:特殊アビリティ〈使役〉獲得しますか?)
「使役?」
(特殊アビリティ〈使役〉:自分以外の存在を手懐け使役する事ができるアビリティ。〈使役〉を獲得するとジョブが使役士に固定されます。また、〈使役〉が有効になる条件と致しまして特殊アビリティ〈使役〉に属する【種族】を獲得しなければなりません。【種族】はデスボーナスでのみ獲得可能となっております。尚、獲得出来るかは完全にランダムとなっております。〈使役〉の成功率は魅力依存となっています。〈使役〉で手懐けた存在は一定時間後解放され使役不可となります。極稀に半永久的に使役する事ができるモノも存在するようです。〈使役〉獲得後のステータス補正は精神力、魅力となっています。)
成る程、魔物使いみたいなものか。あ、だから魅力を爆上げしてくれたのか。スツィさん先回りで偉すぎる件について。
(選んでいる訳ではなく完全にランダムです。個人の特性で選出されるデスボーナスに多少の偏りがある事は認めます。)
何気にお膳立てしてくれた感のあるスツィについ、にまにまとしてしまうと慌てたように焦った感じのスツィの『声』が聞こえる。
(デスボーナスの獲得:特殊アビリティ〈使役〉獲得しますか?)
にまにまとしながらうんうん、と頷いていると、再度聞かれた。ちょっと口調がいつもの機械みたいな感じじゃなくて、照れてるようにも聞こえて、少し可愛いと思ってしまった俺は相当疲れているようです。
「獲得で。」
もうなくすものが無い、というか、得るモノは全て得るしかない状況の俺は即決で答えた。淡い紫色の光に包まれた俺は、すかさずステータスを見る。
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一神 琥珀 【使役士】
HP:1/1 MP:1/1 DC:10/∞
力:1 体力:1 素早さ:1 知力:1
器用:1 精神力:60 魅力:110
オートスキル:翻訳R.1
スキル:ステータス可視化R.1
魔法:水属性〈浄化〉R.1
光属性〈照明〉R.1
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おぉ。名前の横が使役士ってなってる。なんかかっこいい。そして精神力と魅力が爆上げ!!よくよく考えるとHPも力もMPも増えてないドン詰まりの状況でも無駄にテンションが上がってくる。
(デスボーナス10回目の特典でさらに一つ、任意で以下から獲得できます。〈使役〉【ビースト】・〈使役〉【プラントイド】・〈使役〉【ヒューマン】・オートスキル〈地図作製〉・魔法〈レイジングボム〉)
・・・なんかもう一つゲットできるらしいけど。もっと前に出てこいよってスキルもあるし、攻撃魔法っぽいのもあるし。悩ましい。いや、ここはちゃんと説明を聞いておこう。
(了解しました。〈使役〉【ビースト】【プラントイド】【ヒューマン】:それぞれ、獣族、植物族、人族を使役出来るようになる、使役士に付随する特殊なオートスキル。特殊アビリティ〈使役〉を所持した状態ではないと無効となる特殊なオートスキル。使役の成功率は魅力に依存しており、自身の魅力と対象の魅力、精神力の値如何では失敗する事もある。オートスキル〈地図作製〉:踏破した場所を平面上の地図に置き換えて記録し保存できるスキル。記録保存のオートスキルな為、対応スキル〈地図展開〉を所持していないと真価を発揮することはできない。魔法〈レイジングボム〉:火属性の魔法。攻撃魔法の一種。魔法威力は10。火の玉を発生させ、小爆発させてダメージを与える。消費MPは10。単純なMP消費型魔法のため魔法使用によるマイナス補正はなし。ランクアップで出現する火の玉が大きくなりダメージ効果が上がるまた爆発範囲も広がる。ランクアップにはデスボーナスが必要である。尚、デスボーナスでのランクアップはランダムであるため再度獲得出来るかは死亡後にしか判明しない。)
・・・聞いといて良かった。〈地図作製〉、罠アビだろ。そもそも普通のデスカウントとやらが1回の人達はこのアビリティすら取れないのか?2回だとしても、もう片割れの〈地図展開〉ができないと死にアビだし。意地の悪いスキルだな。なんでそんなスキルが存在してるんだ?
(オートスキル〈地図作製〉・スキル〈地図展開〉は生を受けた時に二種同時に個人の特性として所持している事もあります。)
「ほうほう、成る程。ってこの世界では生まれた時に何かしらスキルって持ってるものなの?」
(はい。この世界の魂を持つ生物は皆生まれ落ちた瞬間には必ず2~4のスキル、魔法、特性などを所持しています。個体の特性などによっては最高8種までのスキルや魔法、特性、極稀にそれに当てはまらない特殊な性能を所持して生まれてくる事も確認されています。主に種族や性別などによって個性が偏るので、生まれ持ったスキルや魔法、特性も個性に属したものになるようです。先程も言いましたが、極稀に突然変異のように特殊スキル、固有特性などの特殊な性能を所持して生まれる個体も存在しています。)
「えっ、待って。俺は何にもスキルなかったよ?魔法も。」
(琥珀様はこの世界に生を受けた存在では御座いません。従って、この世界の理から外れていた為、この世界での存在が確定した瞬間にはスキル、魔法、特性などは所持していませんでした。)
「成る程、分からん。」
(琥珀様は特別な存在、という事です。)
凄く、雑に終わらせたな。
「俺は、召喚でもされたのか?この世界の生まれではない事は分ってるが。」
(はい。)
え、まじか。召喚されてたのか。てか、一番最初に疑問に思うとこだったな、これ。まぁ、何も情報なしで、いきなりしょっぱな餓死したし。不思議ちゃんスツィが畳みかけるようになんか言ってくるし。ある意味、冷静なつもりだったけど混乱してたからなぁ。
「で、誰に召喚されたんだ?召喚して何をさせようとしてるんだ?どこに向かえばいい?まぁ、聞いてもここの脱出に時間取られるだろうし、俺に何かができるとは思わないけどね。だってHP1だし。すぐ死ぬし。力も体力も何もないし、一部の尖った性能だけだし。」
(御座いません。)
「ん?」
(琥珀様に行動制限は御座いません。お好きなように行動して頂いて結構です。ご自由にお生き下さい。尚、召喚者様については秘匿扱いとなっております。)
「え?」
なんか、さらに雑に放り出された。召喚しといて自由に生きろって。しかもすぐ死ぬ身体で自由に生きろって。召喚した奴についても教えれないって。うぅ、何も考えたくない。ここでじっとしてたい。




