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188 間違いではない

 端っこに寝転がったのにやっぱり転がされて、移動させられてしまった。転がしてきたレオさんを睨むと、にこっと笑顔が返ってきて、怒りを削がれる感がある。そして、レオさんは笑顔で俺の隣に横になってきた。


 レオさんと目を合わせていたら、ネロが背中から抱き締めてきた。枕の下に腕を置かれて腕枕もしてくれてる。今日はネロの抱き枕か。いい香りがして安心する。安眠できそう。


「今日のベッドは暖かくて気持ちいいね。」


「ネロの服のおかげでこの温度でも寝られそう。朝の感じだと、俺はマジでソファで寝なきゃかと思ってた。」


 ネロの体温で温かいのもあるけど、ベッド自体がじんわり温かくて心地いい。笑顔で感想を言ってみると、レオさんが苦笑して答えてくれた。レオさん的には不快に感じる温度らしい。


「そんなに暑く感じるの?」


「ん~、暑い。と思ったけど、この服だと全然平気だ。凄いな。」


 レオさんは暑がりだから仕方ないのかも。でも、ネロに包まれていたら平気みたいで安心した。ネロに、というか、ネロの服だ。ネロも俺を代用せずに、レオさん本体を包んであげればいいのに、と思っちゃう。


 俺の心の声が分かったのか、ネロが頭を撫でてくれた。代用じゃないよ、って言ってくれたみたいだ。ネロの心は十分、分かってるんです。気を使わなくてもいいよ。


 心の声に応えたらしく、ネロが笑ったっぽい。小さく吐かれた息が首筋にあたって、ぞわっとなっちゃう。目の前のレオさんの眉がぴくっと反応したのが見える。ネロの心が伝わったみたいだ。流石、以心伝心のスキル持ちですね。


「流石ネロの服だね。ぶかぶかで重かったけど、温度を遮断してくれるのが凄いよね。」


「あの格好も思い返せば可愛かったよな。」


「そうだな。」


 気を取り直して話に戻り、ネロの服を褒めてみた。レオさんは俺が着てた時の事を思い出したのか、頬を緩めて優しい笑顔になっている。当時はヤキモチで不満そうだったけど、思い返したら笑顔になってくれて良かった。ネロの穏やかな声も同意をしている。


 二人の穏やかな意思の疎通が嬉しい。イキナリ喧嘩になったり、イキナリ仲良くなったり、イキナリ急展開になったり。二人と一緒にいると展開が目まぐるしく変化して楽しい。これも、幸せのお裾分けなんだろうな。


「ネロの体にぴったりだから、俺が着ても縮むと思ったのに駄目だった。」


 ネロの服を着た時の事を思い出して溜息を吐きながら愚痴をこぼしてしまう。俺もネロやレオさんみたいに着こなしてみたかった。レオさんはクスっと笑って頬を撫でてくれる。自分でも気付かずに不満顔をしてたらしい。


「まぁ、琥珀は小さいからね。ネロの服でも流石にそこまでは縮まない。でも、あの服がぶかぶかな琥珀はかなり可愛かったよ。」


 チャラいレオさんの言葉だけど、言葉は凄く優しくて笑顔になれた。レオさんも嬉しそうに目を細めて笑顔を返してくれた。緑の猫目がキラキラしててメッチャ綺麗。


「ネロもレオさんもお仕事は大変だと思うけど、怪我とかしないでね。」


「大丈夫だよ、琥珀が悲しむような事は起きない。多分ね。」


 二人を心配する言葉に対して、レオさんが優しく返してくれる声を聞きながら目を閉じる。ネロが〈照明〉を消してくれたらしく、目を閉じていても暗くなったのが分かった。


 ネロの体温は背中に感じるから傍にいるって分かる。腰に回されたネロの腕も微かな重さを感じる。でも、レオさんは寝息も気配も無くて不安になってしまった。不安に駆られて手を伸ばしたら、レオさんが手を握ってくれた。ちゃんといた事に安心して手を離そうとしたけど離してくれない。


「レオさん、離して。」


「不安だったんだろ?ちゃんとここにいる。手を握ってたら分かるし怖くないでしょ。いいから寝な。」


「う、ありがと。おやすみ。」


 言葉で離してって訴えてみると、レオさんの落ち着いた声が聞こえる。落ち着いて穏やかな優しい声。レオさんは俺が不安なのもお見通しらしい。レオさんには敵わない。勘が働いている感じなのかな。俺もそんな勘が欲しい。無い物ねだりの際中だけど、眠気が押し寄せてうとうとしてきた。



「ホント可愛いよな。マジで、お前は怪我とかするなよ?」

「気を付ける。お前も注意しておけ。泣くのは見たくない。」

「そうだな、十分気を付けるわ。」



 レオさんとネロがお互いを気遣う会話をしてる声が聞こえる。でも、眠りに引っ張られて会話の詳細までは頭に届かない。全身を包まれる温かい体温と、熱く感じる手のひらが凄く安心する。安心感に包まれて、スーッと眠りに入っていった。



「よく寝てたな。昨日もそうだったけど、他人が傍にいるのにお前が熟睡するとか、ヤバいよな。」

「琥珀が傍にいると眠りが深い。」

「寝首を掻かれなくて良かったな。」

「琥珀が悲しむような真似はしない、だろ?」

「正解。実際、俺も昨日と今日は爆睡した。そして、寝起きの感覚が半端なくいい。」

「そうだな、幸せな目覚めだ。」

「寝た後で抱き締めて寝るだけで満たされる。しがみ付いてきてくれるだけで充足する。って、お前の言葉。マジでそうだった。昨日の感覚が忘れられない。」

「理解できたか。」


「しっかし、不思議な感覚だな。ネロの家でネロと同じベッドとか。」

「琥珀の望みだ。仕方がない。」

「暗くなってから、不安って感じで手を伸ばしてきたのがヤバかった。メチャクチャ可愛い。アレはヤバい。引き寄せたくなるのを抑えるのがきつかった。」

「そうだな、可愛かった。お前に対して、と言うのが不満だが仕方がない。」


「一つ言っておきたい。俺を落とそうとするのは止めろ。ちょいちょい仕掛けてきただろ。」

「火の粉を振り払うには、焼き払ってしまえばいい。」

「マジで危ない思考の持ち主だよな。あのな、仮にだよ?俺がお前に本気になったらどうすんの。」

「知らん。その後は勝手にすればいい。俺は関わらない。」

「それでこそ、ネロだよな。安心した。でも、お前の瞳もあんまり効かなくなってきた感じがある。琥珀の魅力の前には、お前もそんな程度かって思ってしまう。凄いよな。」


「抗えない力。特性でもスキルでもない不思議な魅力。」

「それな、マジで不思議な魅力。後、お前の〈使い魔〉の事も不思議じゃね?」

「そうだな。琥珀の魔元素が俺の魔法に組み込まれたというのも興味深い。」

「琥珀は特別って言ってたよな。納得しかできない。」

「確かに特別。」

「まぁ、ネロが惹かれてる時点で特別以外の何物でもないのは間違いない。」

「族長も惹かれている。確実に特別だろうな。」

「まじで、族長もかよ。まぁ、あの態度。そうとしか見えないよな。俺はマジで貧乏くじ枠か。」

「しかし、レオに対してが一番心を開いている。気がする。」

「そうか?そうだといいけどな。」

「そうでなければ、火の粉とは思わん。」

「琥珀の心に火を付けられる存在だったらいいけどな。しかし、難しいな。どうすんだよ。」


「寝る前の頑張りは評価する。」

「マジでそれな。俺は本気で言ったんだぞ?まさか、ネロに向けての言葉と取られるとは思わなかった。」

「だが、琥珀の本心は引き出せていた。」

「あとな、触るように誘導したくせに、マジ睨みとか。お前はホント倒錯してるよな。」

「首筋に唇を這わせたかった。丁度いいから利用しただけ。」

「まぁ、何れにせよ、俺達のアピールは全く効いていない。唯一の成果といえば、一応、色気を読み取る事はできてるらしいって確認ができたくらいか。」

「直ぐ躱されるが、それが成果で間違いない。」


「俺はこんなに不器用だったかなってくらい、全く上手くいかない。しかも、反撃がヤバい。反撃で悶え死ぬ。」

「見ていて楽しい。」

「へぃへぃ。お前も反撃で悶え死ねばいい。」

「夕飯の時は俺もそうなりかけた。なんとか耐えたが。」

「あれな、アレは凄いと思った。事態を打開するのに一晩はかかるかと思ったのに、お前はよくやった。マジで凄いと思った。あの琥珀を落ち着かせて、尚且つ、あの可愛さを耐えるとか。お前はやっぱり凄い。」

「お前の行動を観察した結果。」


「しっかし、琥珀は頑固だろ?あの夜もあんなだったんだぞ。あの時はマジで気合を入れて時間かけたのに、お前だとモノの数分とか。」

「あの夜の事は感謝しかない。」

「ってか、あの話し方は何なの。お前は女とヤル時はあんなに甘い声を出すのかよ。腰に来る声だった。俺がヤバくなりそうだったというのに、当の琥珀はケロッとしてやがる。どうなってんだ。」

「あのような話し方をしたのは初めて、琥珀以外にはする気にもならん。話し方と声色はお前を参考にした。」

「マジで、他のヤツにアレをしたらヤバいからな。絶対ヤバいぞ。」

「琥珀以外にはする気にはならないと言っただろう。」

「もうね、お前のイメージは100%変わった感じがする。俺の前でよく、恥ずかしげもなくあんな顔と声で話せるよな。感心してしまう。二日一緒にいても二度見するくらい凄い事態だった。普段を知ってる俺には衝撃しかない。まぁ、慣れたし楽しかったけど。」


「琥珀に触れる機会が増えた事、感謝する。」

「ホントそれな。抱っことかキスとかに抵抗がないってのがもう驚きだけど。ハグとかキスも自分からしてくれるってのがヤバい。頬へのキス程度で固まったのなんて生まれて初めてだよ。自分が初心なのかと錯覚してしまう程の事態でびびってしまった。」

「そうだな。驚いた。」

「俺達の習慣としては間違ってはないけど、すんなり受け入れてくれる事態が驚き過ぎでヤバい。」

「嬉しい方が勝る。」

「外では駄目って徹底しないと、勘違いする奴が出てくるから気を付けとけよ?」

「承知している。」

「どっちにしてもだよ。あの笑顔で勘違いというか、落とすからヤバいよな。まぁ、落とされた俺が言う事ではないけどな。ハグでもキスでも、ましてや色気でもなくて、笑顔で落とされるって中々ない事だぞ。マジでヤバい。」

「それが問題だ。」


「小悪魔的に翻弄すると思えば、真剣に本を読んだり、考え込んで動き止めたりで一人の世界を作る時もある。」

「そうだな、近寄り難い時がある。」

「マジでふわふわ飛んでどっかに行っちゃいそうな雰囲気あるから怖い。あの晩、俺の所に来てくれて良かった。少し間違ってたら、俺の手には届かない所に行ってたかもって思うと恐怖しかない。」

「心臓が止まる程の衝撃だった。」

「ホントにな。頼られてるのが嬉しかった感情はあるんだけど、あんな辛そうな琥珀はもう見たくない。」

「本当にレオには感謝をしてる。」


「それにしても、どこにも行くなって言葉すらも、お前への言葉と取られるとは思わなかった。マジでどうやったら想いを届けられるのか。」

「誤解を解かない内は確実に無理。でも、琥珀の誤解は愛らしかった。」

「それな、頭の上での牽制すらも、指を絡めてると勘違いとか。マジで、可愛過ぎる。」


「過ぎた望みかもしれないが、ずっと傍にいたい。」

「あ、あの台詞はなんだよ。監禁して洗脳って、琥珀がドン引きしてて笑えたんだけど。」

「つい本音が。」

「お前はマジでヤバイな。綺麗な顔して内心ドロドロじゃねぇか。でも、少し共感できる自分が怖い。」

「実際には、手は出せない。命を差し出す事になる。」

「マジで、分かり過ぎるのが怖い。琥珀になら殺されてもいいと思ってしまう。スパイとか暗殺とか、受け入れてしまいそう。護衛的にはアウトだよな、困ったもんだね。」

「そうだな、それが望みなら受け入れる。護衛失格は俺も同じ。」


「それにしても寝顔もマジで可愛い。しかも、まだ俺の手を握ってくれてるんだぞ?ヤバいだろ。」

「寝顔が見られないのが悔しい所。手も羨ましい。」

「腕に抱いてるんだから、我慢しろよ。俺の方が悔しいし羨ましいっての。」

「そうだな。」



 暖かくていい香りの少し重い布団に包まれて意識が浮上した。閉じた瞼の裏に陽の光は感じられない。今日も薄曇りの空が広がる雨模様なのかな。髪を撫でてくれる温かい手に導かれるように、目を開けてみる。


 深く澄んだ緑の瞳が見えた。レオさんが優しい微笑みを浮かべて目の前にいる。俺の手を優しく包み込んでいるレオさんの手が熱い。手を引き抜くと、レオさんはあっさりと離してしてくれた。


 寝返りを打って仰向けになる。体を動かす間は浮かせてくれていた腕は、仰向けになった途端にしっかりと固定されてしまった。ストッパーっぽい動きだ。横を見ると、ネロと目が合った。


 レオさんは完璧に起きてたっぽいけど、ネロは起こしちゃったかもしれない。だって、ネロは少しだけぼんやりしてて、優しく微笑んでるんだもん。寝起きっぽい気がする。俺もまだ寝起きでぼんやり中だけど、起こしちゃったのなら謝らないとだ。


「おはよ、起こしちゃった?」


「起きていた。」


 少しだけぼんやりしながらネロに話し掛けてみた。金色の瞳が嬉しそうに輝いた。そして、ネロは俺の髪を優しく撫でながら、静かに答えてくれた。まったりした感じのネロはいいですね。ホンワカ気分になれちゃう。お茶をしてる時のまったり気分になってきて、また眠くなっちゃう。


「俺だけ寝てたのか。起こしてくれれば良かったのに。」


「俺達はあんまり睡眠はいらないって言ったでしょ。4時間も寝れば十分なの。それに、琥珀を眺めながら二人でゆっくりまったり会話を楽しんだからいいんだよ。大人の時間を楽しめた。」


 二人は既に起きてたなら、俺も起こしてくれればよかったのに。眠気に引き摺られながら不満を口に出してみると、レオさんがのんびりとした口調で答えてくれた。


 大人の時間。レオさんが言うと、ちょっとだけ卑猥に聞こえてしまう気がする。でも、相手はネロだし、俺の横でそんな大胆な事はしてない筈。話をしてたって言ってるし、きっと平気。会話で大人の時間を楽しむ。そんな楽しみ方もあるんだね。大人っていいね。


「俺は何時間くらい寝てたの?」


「ん~、9時間くらい?」


 寝起きでまったりした時間が嬉しくて、寝ながら会話を続けてみる。素朴な疑問を投げかけてみると、レオさんが即答してくれた。一気に目が覚めた。9時間って言ったね。俺はそんなに寝てたのか。ヤバくないか?


「そんなに寝てたの?寝過ぎじゃない?」


「普段もそれくらいは寝ている。もう少し長く寝ている時もある。」


 驚いて聞き返してしまうと、レオさんがニコっとしてくれた。何も答えてくれないけど、これは無言の肯定だよね。そして、ネロが衝撃の事実を補足してくれた。


 普段からそんなに寝てたのか。確かに、最近お昼起きだとは思ってた。明らかに寝過ぎだよね。寝る子は育つっていうけど、俺は成長できないで、ただたっぷりと睡眠をとってるだけだよ。ヤバくないか?


「それだけ寝てるのに、昼寝したり、二度寝したりする時もあるの?」


「ある。」


 恐る恐る、質問を重ねてみた。ネロはサクッと答えてくれたけど、聞くまでもなく、自分で分かってた事実だ。レオさん曰く、二人の睡眠は平均4時間。対する俺は9時間以上。実に倍以上である。この事実がヤバい。スゴク損してる感がある。


「へぇ、琥珀は昼寝もするんだ。添い寝をしてもいい?」


「レオさんは仕事だから無理でしょ。」


 呆然としていたら、レオさんが口を挟んできた。いつものチャラい冗談っぽい。でも、添い寝って、あなたはお仕事があるからそんな時間はないでしょ。ちらっとレオさんに視線を向けて、淡々と答えておく。


「仕事がない時は添い寝もできる。」


「そう言われるとそうだね。」


 直ぐにレオさんの反論が返ってきて、成る程なと思ってしまう。護衛さんのお仕事はイレギュラーっぽいのは今まで見てたので分かってた。確かに、昼間にオフの時間がある時もありそう。


「って事で、できる時に添い寝するのは確定で。」


 納得したのが分かったのか、レオさんがあっさりと決定事項を通達してきた。あれ、冗談で言ってたんじゃないのか。お子様の俺には添い寝も必要って言いたいのかもしれない。でもね、俺はネロにだって添い寝は頼んでない。全然子供じゃないから一人で平気だっての。


「でも、ソファで昼寝だから添い寝は無理だね。残念。」


 それに、お昼寝はソファなんだよ。体のデカいレオさんが添い寝をするスペースなんてないんですよ。とはいっても、レオさんは細いし、ソファの座面は転がれるほど広い。寝ようと思えば寝られるかもだけどね。ただ、二人で寝転がったら狭くて寝るどころじゃなくなりそう。


「じゃあ、ソファの横で、琥珀が寂しくないように見守ってあげる。琥珀の手も握っててあげるからね、心配せずに寝られるでしょ。」


 反論を返すと、レオさんがまた被せて言い返してくる。レオさんのああ言えばこう言う感がスゴイ。どんな切り返しをしても、きっちりと言い込められてしまいそう。


「レオさんもネロの世話好きがうつっちゃったの?俺は子供じゃないから、一人でも寝られる。一人で平気なの。」


 でも、頑張ってもう一回反論をしてみよう。拒否の姿勢を貫いたのが効いたのか、レオさんが優しく目を細めて頭を撫でてくれた。ん~、でも、9時間も寝てるのか。これも持久力とか体力的なモノの弊害なのかな。そういう事なのか?


(はい。主に持久力が関係している事柄です。)


 まじか、って事は持久力が改善しないと睡眠問題は改善しないって事だよね。困ったね。俺はこの世界で人生の大半を寝て過ごす事になっちゃう。


 まぁ、俺の睡眠問題は置いておこう。ステータスが関係してるんじゃ、俺の頑張りではどうにもならない問題だからね、それより二人が何をしてたが気になる。


「二人は起きてから何をしてたの?ずっと会話だったのかな。」


「ほぼ会話、と琥珀を眺めてた。」


 実際は起きてから何をしていたのかを聞いてみる。だって、無口なネロだよ。会話をしてたとしたら、ほぼレオさんが話してたって事なのかな。超気になる。疑問には、レオさんが目を細めて楽しそうに答えてくれた。


「5時間くらいずっと会話をしてたの?」


「5時間は流石に話してないな。まぁ、途切れ、途切れの会話をだらだらと楽しんでた。琥珀を眺めながら、まったりと過ごせて楽しめたよ。」


 ほぼ会話って、俺の睡眠時間から二人の睡眠時間を引いたら5時間だよ。って思ったけど、成る程ね~。途切れ途切れだったのね。確かに、ゆっくりまったり大人の時間って感じがする。


 ってか、レオさんはマジで、ネロと二人だと結構落ち着いてるんだ。大人な二人が、子供の寝顔を眺めながらまったりと会話をしてるのが想像できてほっこりしちゃう。それに、無口なネロなのに、恋人レオさんが相手だとまったりと会話をするんだね。


「レオさんと一緒だとネロもお喋りになるんだね。あ、ネロは武器の手入れはしないの?」


「問題無い。」


 レオさんと楽しく会話をするネロを想像して嬉しくなっちゃう。朝から幸せのお裾分けを貰えた気分だ。ご馳走様です。ネロへの感想をさらっと口に出して、ついでにいつもの日課についても聞いてみた。ネロは目を細めて、いつも通りの答えだ。


「じゃあ、起きる。」


「駄目だ。」


 寝起きのまったり時間を楽しんでいたら、完璧に目が覚めてきた。もう起きよう、と声を掛けてみる。ネロが悪戯っぽく拒否してきて、ちょっと驚いてしまった。ネロは楽しそうに目を細めて腕を上げてくれる。レオさんの真似をしたらしい。ちょっと可愛いネロだった。


「レオさんの仕事まで、あとどれくらいなのかな。」


「ん~、2時間ちょっとってトコかな。」


 体を起こしながら、あとどれくらい時間があるのかを聞いてみる。レオさんは肘枕をしながら、ニコっと答えてくれた。2時間ね。ご飯を食べる時間は残されてる。


 二人で注文に行って貰った方が早いんだけど、俺も行きたい。2時間あるなら、往復で30分くらいかかったとしても、まだ時間に余裕がある筈。


「じゃぁ、急いでご飯だね。俺も一緒に注文に行っていいかな。ユリアさんにお礼を言いたい。」


「じゃあ、行くか。」


 まだ寝転がったままの二人を交互に見て、俺も注文についていきたい旨を伝えてみる。ネロは優しく微笑んで頷いてくれて、レオさんは優しく目を細めて答えてくれた。


「あ、着替え。この服は一枚しかない。ズボンは代えがあるから大丈夫だけど、上はどうしよう。」


 行くのは決定したけど、着替えがない事に気が付いてしまった。レオさんのつけたキスマークを隠せる服は2着しかない。1着は今着ているアンダーシャツ、もう1着はピシッとした服。できるなら、この服で行きたい。チラチラとネロを見ながら困ってる風を出してみた。


「〈浄化〉をする。」


「ありがと、ネロ。お願いします。」


 望み通り、ネロが俺の望んでる答えを導いてくれた。やっぱり持つべきものはネロである。ささっと服を脱いでネロにすっと押し付ける。そして、小言を言われる前に寝室に駆け込んでみた。



「ちょ、あの子。あんなに無防備で平気なのか?」

「・・・問題ある。」

「だよな。朝からあの綺麗な体を見る事ができるとか、興奮度が半端ない。まっ平な体なのにそそられるってどうなってんだ。俺の好みの遥か外側だぞ?」

「見るな。」

「しかも、あの白くて綺麗な肌に刻まれた俺の付けたキスマーク。あれは目の毒で間違いない。俺が付けたってトコロがポイントなんだよ、あれだけでイケる。」


「その冷たい目をやめて。仕方ないでしょ、あの子が自分から脱いでるんだから。お前も興奮くらいするだろ。」

「間違いではない。」

「マジかよ。そんな冷めた顔で実は興奮してるのか。お前は何気にむっつりなタイプだったんだ。」

「戻ってきた時に見たら殺す。」

「はいはい。琥珀との約束で、俺に危害は加えられないんだよね。ネロさんは可哀想ですね。頭でも撫でてあげようか?」

「ほぅ、言うようになったな。」

「あ、戻ってくる。大人しくしてね。ってか、お前の高速詠唱、凄いな。」



 箪笥を開いてズボンを取り出して、素早く着替える。リビングに戻ってネロが手渡してくれた〈浄化〉済のアンダーシャツをささっと着込んで、ベッドの横に置かれていた綺麗に畳まれたパーカーを羽織る。ネロも着替えるらしく寝室に向かっていって、レオさんも着替えの時間らしい。


 ソファに腰を下ろして、レオさんの着替えを眺めさせて貰う。レオさんがちらっと視線を飛ばしてきたからニッコリ笑顔で視線を逸らしませんよって意思を見せてみた。


 レオさんの頬が緩んだのが見える。上着をさっと脱いでくれて、見慣れたレオさんの半裸のでき上り。いい体をしてますね。尻尾が実にいい、細くてしなやかな体躯によく似あう綺麗な尻尾ですね。


 それに、短髪から飛び出ている大きな猫耳が超可愛い。ニマニマと眺めていたら、レオさんの耳が何故か伏せられていく。その倒された耳が可愛いんですよ。身を乗り出して見ていたら、脱いだズボンを放り投げられてしまった。


 視界がレオさんのズボンで埋まって途切れた後、ズボンを剥がしたらレオさんはもう服を着こんでいた。魔法のような早業だった。着替えくらいゆっくり見させてくれればいいのに、ケチだな。


「視線がエロイんだよ。」


「そんな事ない。普通に普通の視線だった。そう思う方がエロいんです。」


「おぅ、そうだ。俺はエロいんだよ。だからお前の視線のエロさも良く分かるんだよ。」


 レオさんがいちゃもんを付けてきて、言い返して、それにレオさんが言い返す。意味のない言い合いの際中で、ネロが戻ってきた。レオさんからプイっと顔を逸らして、レオさんが脱いだ服をネロに手渡してみる。


 ネロは不満そうに片眉を上げたけど、〈浄化〉と〈乾燥〉をしてくれた。綺麗になったレオさんの服を畳んであげる。ちょっとだけ歪だけど、畳めたからまぁいいでしょう。


 畳んだ服を抱えて本棚の前に移動して、レオさんを見つめる。レオさんが首を傾げてきたから、本棚の下の収納を開けてレオさんの服を収めた。


「レオさんの服はここに入れてね。散らかしたら駄目だからね。」


「りょーかい。」


 レオさんに服の収納場所を提供して、ネロの家の綺麗さは保証された感がある。レオさんが返してくれたのは、気の抜けた適当な返事だけどまぁいいでしょう。


 ネロの傍に移動して見上げると、ネロがボタンを留めて丁寧にフードを被せてくれた。その上、前髪も優しく整えてくれる。ネロに全てを任せていたら、〈シール〉をかけてくれて支度は整った。


 レオさんにも〈シール〉を唱えているネロをの横で座り込んでサンダルを履く。外を覗くと、本降りの雨はまだ続いていて、遠くが霞んでいた。この雨が早く止んでくれたらなって思っちゃう。あ、レオさんが護衛の間に神樹のトコに行きたい。後でネロに聞いてみようかな。

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